世界は6人でつながっている
あけましておめでとうございます。皆さんは年賀状を何通出しましたか? わたしは200通でした。中には、顔を覚えていない人もいます。
「なぜ、そんな人にも出すの?」と思うでしょうね。でも、こんな、「たんなる知り合い」が、社会にとってとても大事なことかもしれないということが、最近わかってきました。
スモールワールド(せまい世界)という言葉をきいたことがありませんか。
1960年代、アメリカの社会心理学者が、カンザス州などの田舎に住む人たちに、住所も知らないある株仲買人に手紙を届けてくれるよう頼みました。それぞれのつてを頼りに手紙が投函されました。この実験で届いた手紙は、平均で六回前後ポストに投函されただけでした。
アメリカの人口は2億以上です。その人たちが、たった六人の知り合いでつながっている「スモールワールド」だったのです。その後、地球全体も平均六人でつながることがわかりました。
なぜそんなことができるのか。九八年、アメリカ・コーネル大学の2人の数学者たちがその秘密を論文にして発表しました。
それによると世界をせまくしているのは「たんなる知り合い」だったのです。
人には家族や親友などごく親しいグループがいる一方、学校が同じだったというだけのたんなる知り合いもいます。親しい友人の知人は、自分の友人であることが多いですが、たんなる知り合いは自分が知らない人を多く知っています。
そんな人こそ、自分を知らない世界につなげ、世界をせまくすることができるというわけです。
インターネットの検索で、数回クリックするだけで目的の情報にたどり着けるのも、このおかげだといいます。
何か仕事をさがしているときも、ごく親しい仲間にだけ相談するより、違った情報をもっている遠い親類のほうが役立つ可能性が高いことも、この理論からわかります。
だから、顔も覚えていない人に出す年賀状も、まんざらムダとはいえないのです。
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