いまも発光効率は生物界一
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川沿いで乱舞するゲンジボタル=2005年6月14日、岐阜県関市の小野川で、朝日新聞・中田徹撮影(1分間露光) |
暗闇の中、黄緑色の光がフワフワ――ホタルの光ははかなげですが、発光効率は生物界一といいます。
ホタルの光はルシフェリンという発光物質が酸化することによって出ます。1950年代に測った人がいて、発光効率88パーセントとされました。でも、「いくら何でも高すぎるのでは」という疑問が出ていました。
そこで、東大物性研究所の秋山英文准教授らのグループが、半導体の技術を駆使して測り直したところ、「41パーセント前後だった」と、昨年末、発表しました。
測定したのは米国産で、日本のゲンジやヘイケボタルはこれより1、2割低いそうです。
でも、その他の代表的な発光生物のウミホタルは28パーセント、オワンクラゲ17パーセントですから、「ダントツとはいえなくなりましたが、発光生物の中ではまだ一番です」と秋山さんはいいます。
残りはどうなっているの?という質問には、「熱になっているに違いありません」。
となると、江戸庶民の歌、「恋に焦がれてなくセミよりも 鳴かぬ蛍が身を焦がす」は、科学的に案外正しいともいえそうです。
人間もがんばっています。信号機に使われている発光ダイオード(LED)の発光効率は、赤と緑は26パーセントですが、青色は50パーセントを超え、ホタルに勝っています。
日本電球工業会によれば、蛍の光と書く蛍光灯は、使う電力の約25パーセントが光になります。
一方、白熱電球は約10パーセントしか光にならず、残りは熱になってしまいます。点灯している白熱電球にさわるとやけどするほど熱いのはそのせいです。
電気が光に変わる率が高いほど地球温暖化防止に役立ちます。照明用LEDの開発が進められていますが、今のところは蛍光灯が一番実用的。
政府は「照明には蛍光灯を」という運動を進めています。
この連載は今回で終わります。ご愛読ありがとうございました。
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