学校ビオトープで環境学習しました
コンクール上位入賞校の取り組み
 自然を再現した「学校ビオトープ」を環境学習などに活用する小学校が増えています。ビオトープの特徴も、学習の仕方も、学校によってさまざま。「全国学校ビオトープ・コンクール2007」で上位に入賞した学校のようすを紹介します。
環境大臣賞 大袋東小(埼玉県越谷市)
生き物集め観察の拠点に
「ならばやし」に鳥の巣箱をかける5年生と先生=埼玉県越谷市の大袋東小で
 住宅地の中でひときわ目を引く高い林。埼玉県越谷市の大袋東小の「ならばやし」と呼ばれる雑木林は、学校ができた1974年以前からあったそうです。学校は10年以上前から環境教育に力を入れ、特に2005年度からの3年間は、「ならばやし」をビオトープに改修する作業に取り組んできました。

 05年度は、生き物を集めるための、計画を立てました。06年度は、どろがたまった池をなおし、水もれしない池にするなどの作業を進め、07年度から観察を始めました。ビオトープにかかわるのは主に5年生。林ではコノハズクやコゲラなどの鳥、池ではタニシやヤゴなどが観察できます。

 ビオトープの池には外来生物(外国から持ちこまれた生物)のアメリカザリガニが入りこんで、せっかく放した在来種(もともと日本にすむ種)のメダカが食べられてしまうという問題も。

 富山貴史くんは「アメリカザリガニはわなにかからず、つかまえるのが大変でした。ちょうど外来生物の問題をとり上げたテレビ番組を見る機会もあって、かなり関心が出てきました」。


国土交通大臣賞 点野小(大阪府寝屋川市)
ミズアオイの花咲かせる
育ちすぎた水草を取り除くなどして、ビオトープの自然環境を守っています(点野小提供)

 大阪府寝屋川市の点野小のビオトープは、2002年に完成した池に生き物が育つ環境が整いつつあり、絶滅が心配されている植物が見られます。

 夏にうすい青むらさき色の花をさかせる「ミズアオイ」もその一つ。校区を流れる水路で04年に発見したミズアオイを容器の中で栽培、07年夏にビオトープの池で花をさかせることに成功しました。ほかにもアサザ、ミクリなどが育っています。

 チョウが好む草木を植えた「バタフライ・ガーデン」と合わせると、これまでにカマキリやトンボ、チョウなど25種類以上の昆虫も確認されています。

 ビオトープ委員会のメンバーが育ちすぎた水草を取り除くなど、みんなで協力して環境を守ってきました。「身近な自然を学べる場所。これからもみんなで世話や手入れを続け、大切にしていきたい」と渡辺建くん(5年)。

 体育館の屋根に雨水をためて、池の水をきれいにするために役立てるなど、新しい試みにも挑戦しています。


日本生態系協会会長賞 神谷小(茨城県牛久市)
荒れた田んぼを再生する
谷津田に集まる生き物を観察する神谷小の5年生たち。この日はカエルの卵を見つけました=茨城県牛久市で

 茨城県牛久市の神谷小では、市や専門家の力も借りながら、学校のとなりにあった荒れた谷津田の再生に取り組んでいます。谷津田とは、谷間の湿地につくられた田んぼで、とくに関東地方での呼び名です。米などを育てながら、生き物も観察するビオトープとして活用しています。

 水路のそうじ中、水の中にすむクモを見つけた畑和貴くんは「このクモをカワセミが食べに来るよ。将来はもっと水草を増やし、生き物も増やして、トキが来る場所にしたい」と夢を語ります。

 校長の染谷郁夫先生は「生き物の立場で考えることは、人間同士でも相手の立場で考える姿勢につながります」。4年生は校内にある小さなビオトープで学び、谷津田の作業は主に5年生の仕事。6年生になると、作業を手伝ってくれる地域の人たちのために、谷津田の説明会を開きます。


金賞 豊科南小(長野県安曇野市)
16年守り続けてきた活動
1〜6年生みんながビオトープにかかわる活動を続けています(豊科南小提供)

 長野県安曇野市の豊科南小は、地域の豊かな自然環境を校内にいつまでも残そうと、1992年からビオトープをつくり始めました。いまでは、12のビオトープがあり、計約3300平方メートルの広さになります。子どもたちは今年度、全体で60種ほどの生き物を見つけました。

 日本列島の形をした「日本列島の小川」には、メダカやアメンボ、絶滅危惧種に指定されている水生植物のアサザなどが生息。カルガモがヒナをかえしたこともあります。

 先輩たちから引きついだきれいな環境を守り、よりよいビオトープをつくるため、1〜6年生がそれぞれ決められた場所を管理。総合学習の時間を中心にそうじや生き物調査、イネを育てる活動などをしています。

 4年生は「人に都合のいい環境ではなく、生き物にとってすみやすい環境」を目標に、みんなにごみを捨てないよう呼びかけています。


金賞 山ノ内小(熊本市)
生物に学ぶ命のつながり
野菜を育てている畑もビオトープの一部。収穫の時期には、多くの虫がきます(山ノ内小提供)

 2万平方メートルをこえるビオトープがあるのは、熊本市の山ノ内小です。学校全体で動植物といっしょに生活しようと、子どもと先生、地域の人たちが協力して、約20年間かけて木を植えたり、水辺をつくったりしてきました。

 カエルやトンボなどが産卵をくり返す「ふれあいの池」や、20種類ほどの野鳥が見られる「みんなの森」。木の枝や石などでつくった「虫ランド」には、ミミズやダンゴムシなど暗い場所を好む生き物がすんでいます。

 全学年が授業でビオトープとかかわり、虫の居場所を地図にまとめたり、140種ほどある樹木と親しんだりしながら、命のつながりを学びます。毎週金曜日の朝には15分間の「さわやかタイム」をもうけ、みんなで草取りやごみ拾いをします。

 
【ビオトープ】
 ドイツ語の生き物(bio)と場所(top)をあわせたことばで、野生の生物が生きる空間のことです。自然環境を取りもどし、生き物を守るためにつくられます。ドイツで1970年代ごろから始まり、日本でも90年代から自治体や学校などの取り組みが広がりました。
  【全国学校ビオトープ・コンクール】
 財団法人日本生態系協会が主催するコンクール。環境教育を広げていくのを目的に、1999年度から2年に一度、学校のビオトープのすぐれた活用事例を表彰しています。2007年度は全国から153校の応募がありました。

朝日小学生新聞 2008年3月30日付

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