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マンションの安全どうすれば

 

イラスト・佐竹政紀

子どもの危険回避研究所
横矢真理さんに聞く
 神奈川県川崎市多摩区のマンションの15階から、小学3年生の男の子が投げ落とされて亡くなった事件は、人目につきにくい場所で起きました。たくさんの人がくらすマンションや団地などの集合住宅では、敷地の中で人と会っても、どこのだれかわからないということも、よくあります。マンションなどであぶない場所は? 危険をさけるにはどうすればいいの? 子どもの防犯対策にくわしいNPO法人「子どもの危険回避研究所」の横矢真理さんに聞きました。

気をつける場所は?
入りやすく見えにくい場所
樹木に囲まれた通路も危険

 悪いことをしようとする人は「入りやすく、(人から)見えにくい場所」をさがしています。集合住宅では、エレベーター、階段、踊り場(階段の中間の平らな場所)、駐輪場などが危険といわれています。うす暗くて子どもがひとりになる時間が多く、まわりの大人の目がとどきにくいからです。声を出したり防犯ブザーを鳴らしたりしても、音がとどきにくいという心配もあります。

 敷地内に手入れの行きとどいていない樹木があると、見えにくい「死角」をつくることになります。両側が樹木にかこまれたせまい通路なども、にげ場が少なく、注意が必要です。
 友だちと「かくれんぼ」をしたとき、「自分ならここにかくれる」という場所が、危険がひそんでいる場所と思っていいでしょう。

危険をさけるには?
いつも周りに気を配ること
階段や駐輪場では遊ばない

 いつでもまわりに気を配ることが大切です。
 たとえばエレベーター。乗るときにあやしい人が乗ってこないか。また、いっしょに乗る人が知らない人だったら乗らず、次のエレベーターを待つようにしましょう。

 学校などから家に帰ってきてカギを開けるときも、まわりに人がいないか確認。留守の家に帰っても玄関のチャイムを鳴らしたり、「ただいまー」といったりすれば、侵入者や不審者への警告になります。

 被害にあう確率をへらすためには、階段や駐輪場などで遊ぶのは、やめたほうがいいかもしれません。

 敷地内をいつもきれいにしておくことも犯罪をふせぐのに効果があります。集合ポストのまわりなどにごみがちらかっていたり、駐輪場の自転車が乱暴におかれたりしていると、悪い人に「ここは管理が行きとどいていないな」と思わせてしまいます。

 住民の「目」は、犯罪をふせぐ大きな力となります。「ごみが落ちていたら拾う」「自転車をきれいにならべる」。小学生のみなさんもできることからやってみましょう。
 あやしい人を見かけたり、電球が切れていたり、「危険だな」「こわいな」と思うことがあったら、すぐにまわりの大人に知らせることも大切です。

保護者にできること
住民同士のつながり強める

 あぶない場所はどこか? 危険をさけるために何をすればいいのか、などを家族で話し合うようにしましょう。その中で、いざというときに大きな声を出す練習や、防犯ブザーの使い方なども確認しておくといいと思います。

 日ごろから住民どうしのコミュニケーションをとることも大切。あいさつをしっかりし、バーベキュー大会などのイベントをもよおすことで住民のつながりを強めましょう。それが、子どもを見守る目をふやすことになるのです。

【事件の経過】
 2006年3月20日、神奈川県川崎市多摩区のマンションで、ここに住む小学3年の男の子が15階から転落して亡くなりました。9日後の29日にも同じマンションの15階で、清掃作業員の女性(68歳)があやしい男にかかえ上げられる事件が起きました。
 警察は男の子の転落死も殺人事件である可能性が強いとして捜査本部をもうけ、マンションの防犯ビデオにうつったあやしい男の映像を公開。今月1日、川崎市麻生区に住む無職の男(41歳)が警察に出頭、殺人未遂などの容疑で逮捕されました。男は、どちらの事件も「自分がやった」とみとめているといいます。

 

2006年4月8日 朝日小学生新聞


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