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リスクかかわる問題 誰が判断するか |
| 東京大学大学院総合文化研究科博士課程 関谷 翔 |
(朝日中学生ウイークリー 2010年3月7日号から)
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| イラスト・阿部真理子(東京大学大学院工学系研究科 博士課程) |
「インフォームド・コンセント」という言葉を聞いたことがありますか? 薬の処方や手術など、医師や薬剤師などが行う医療行為に対して、それを受ける人やその代理として家族が、医療行為の内容やそのリスク、他の選択肢などについて十分に説明を受けた上で合意をしたり、あるいは合意せずに別の案を新たに探して合意を目指す、という考え方です。1997年に医療法という法律が改正された時、日本の法律に初めてこのインフォームド・コンセントという考え方が登場しました。
インフォームド・コンセントの根本にある考え方は、医療行為を受ける者が医療行為のリスクを自覚し、リスクだけでなく他の要素も考慮しながら、自らの判断で決定するということです。私は高校2年生の頃から花粉症をわずらっています。今年も2月中旬くらいから症状が出始めました。昔はそれほど選択肢がなかったようなのですが、いまではアレルギー反応を抑えるための内服薬が何種類もあります。いま私が処方を受けている薬を決めた時には、それぞれの薬について医師から説明を受け、実際に症状が緩和されるか、副作用は出ないかなどを観察し、最終的には私自身が選んだのを覚えています。
リスクのかかわってくる問題の判断は難しいものです。前に、リスクは良くないことを測るモノサシのようなものであり、良くないことがどのくらいの確率で起こるか、その良くないことがどのくらいの被害をもたらすかなどを測って、対策に役立てようというものだと言いました。手術の成功率などの場合、たいていはいままでに同じような手術でどのくらい成功しているかをもとに計算されます。10回中7回成功しているなら成功率70%などというふうにです。しかし、自分は何度も同じ手術を受けるわけではありません。たった1回の手術を受けるかどうかを決めるのに、確率を使わなくてはならないのは難しい判断です。降水確率を見ながら、傘を持っていくか持っていかないかを決めるのと似ていますが、雨に降られるのと手術に失敗するのとでは、深刻さがまったく違います。自分の命にかかわるものだからこそ、より慎重な判断が求められます。
しかも、その判断を専門家である医師など他の誰かに任せてしまうのではなく、自分で行うことをインフォームド・コンセントは求めていると言えるでしょう。
リスクがかかわる判断を誰が行うのか、そのリスクについてよく知っている人が行うのか、それともそのリスクによって被害を受ける可能性がある人が行うのか。これは私の学んでいるリスク学の中でも大きな問題だとされています。 |
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