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「共通性」と「多様性」のバランス  (この連載はkの回で終了です)

加村啓一郎(理化学研究所 研究員)

(朝日中学生ウイークリー 2011年3月27日号から)

 

イラスト・松尾 萌

(東京大学大学院理学系研究科博士課程

  そろそろ桜の季節。これから開花前線が北上して、どんどん春めいてきます。他にも、スミレやタンポポ、桃などとても華やかです。色とりどりの花を見ていると自然の多様な美しさにほれぼれします。お花見ついでに、もう少しじっくり花を観察してみましょう。
  桜や桃は5枚の花びらが対称に、スミレは非対称に付いています。一方、タンポポはたくさんの花びらが付いているように見えますが、実はそれぞれが1つの花。そして、5枚の花びらがくっついたものなのです。虫眼鏡で見ると、花びらの先が5枚に分かれて、スジが入っているのがわかります。見た目は違っても、5枚の花びらにめしべ、おしべがついた共通の構造を持っているのです。「多様」なものから「共通」の仕組みを見つけていくこと、これが科学研究の醍醐味です。
  数学や物理はまさに「共通性」の学問。数字や公式で世の中のあらゆることを表してしまいます。リンゴが木から落ちるのも、地球が太陽の周りを回るのも同じ万有引力の法則で説明できます。
  しかし、科学でも「多様性」は大切。去年は国際生物多様性年だったように、生物では共通性だけではなく、それぞれの特性を理解するということも重要になってきています。
  医療の考え方も変わってきています。今までは同じ病気には同じ薬や治療が使われてきました。「共通性」の科学の成果です。しかし、同じ病気でも実際には人によって症状は変わります。そのため、人それぞれに合ったオーダーメードの治療をする研究が進んでいます。「多様性」の科学の時代です。
  学校や社会でも、お互いの同じ点と違う点を認め合って個性が光ります。「共通性」と「多様性」のバランス、これが大切です。


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