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戦争における「人殺し」の心理学
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| デーヴ・グロスマン、ちくま学芸文庫 |
| おすすめする人 東大院生・べぇ
戦争ではやさしい人、おとなしい人であっても自分や祖国を守るために敵を倒さなければいけません。しかし、人はたとえ戦争といえども簡単には冷酷な殺人鬼に変化できない、と陸軍で心理学を研究し、教える著者はいいます。
その証拠に、銃撃戦のさなか全く発砲しない兵士や、塹壕で敵兵と一緒になって隠れる兵士が多数存在していたというデータがあります。人には人殺しに対する強い心理的な抵抗があるのです。
残念なことに、人の心理にはいくつかのクセもあります。ベトナム戦争では条件反射というクセが利用され、訓練によって殺人鬼がつくられました。幸いなことに、この殺人鬼は冷酷ではありませんでした。訓練に従い条件反射で敵を撃ってしまったあとで、深く後悔したといいます。
本書は、いかにして有能な兵士に訓練するかという兵法を説き、暴力や虐待といった極限状態での人の心理の暗部を暴く不気味な内容の本といえます。でもぼくは、ここからささやかな希望を見いだすことができました。みなさんは、本書からなにを見いだすことができるでしょうか? |
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MIND
HACKS 実験で知る脳と心のシステム |
| トム・スタッフォード、マット・ウェッブ/著、オライリー・ジャパン |
| おすすめする人 東大院生・べぇ
僕は昆虫の行動を撮影し、そこから彼らの生き残り戦略を探っています。実験には温度を一定に保つ恒温器や撮影装置が必要で、全部で200万円くらいかかります。
未解明の部分が多い複雑なシステムである脳の研究には、もっとたくさんのお金が必要です。お小遣いの範囲内でできる脳の実験はないものでしょうか?
あります。たかだか数千円のこの本の中に、自分の脳で確かめられる実験と解説がピッタリ100も詰まっています。
たとえば授業中、ふと時計に目をやったとき、秒針が1秒以上止まっているように感じたことはありませんか? これは、脳の予測力に関する実験になっています。なぜならこの現象は、針に目をやる前にも針は止まっていたはずだと脳が無意識に予測してしまうために起きているからです。
あるいは階段を下りるとき、もう階段を下りきったのに、あと1段あるぞと思ったままもう一歩進んでしまい変な感じがしたことはありませんか? この違和感も本当はない階段を予測してしまった結果です。
日常のささいな違和感が脳の秘密への入り口かもしれません。さあ、実験だ! |
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だまされる視覚 錯視の楽しみ方 |
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おすすめする人 作家・瀬名秀明
まずはこの本の著者、北岡さんのウェブサイトを覗いてほしい。いきなりとぐろを巻いたヘビのような模様が現れて、それがぐるぐる回転しているように見えるだろう。これは「錯視」、つまり目の錯覚だ。でもこれほど強烈な錯覚に、きみはびっくりするに違いない。いったいどうやったらこんな図が描けるんだ?
ぼくたちの脳は騙されやすい。でもなぜ騙されるのかはいまだに難しい科学の問題だ。著者の北岡さんは大学で知覚心理学という分野を研究し、その成果をもとにたくさんの錯視図をデザインし、『トリック・アイズ』という本をつくった。模様が揺れ動いて見えたり、光がぱちぱちと点滅して見えたり、ぼくもだまし絵や錯覚の絵は大好きでよく画集を買うのだが、北岡さんのデザインはちょっと他では見かけないほどダイナミックで、圧倒させられる。
本書は世界初の錯視デザインの指南書だ。錯視の研究は19世紀から盛んにおこなわれて、さまざまな効果が発見された。例えば、灰色の四角は黒い背景の前に置かれると実際より明るく見えて、白色の前だと暗く見える。だがそれだけでは面白くならない。ここからいかに人を驚かせ、楽しませる作品をつくり上げるか? 科学の知識だけでなく芸術的センスも問われる。
北岡さんは本書でひとつずつ有名な錯視効果を紹介し、そこからいかにオリジナルの作品が出来てゆくかを説明してゆく。そして興味のある人は自分でもパソコンで創作してみてほしいとハッパをかけるのだ。
ぼく自身はこの本を読みながら、エッシャーや福田繁雄、安野光雅らの作品に夢中になっていた子どもの頃を思い出した。やはりぼくもエッシャーを真似てだまし絵をよく描いていた。
現在、錯視デザインのプロアーティストは世界で北岡さんただひとり(と本人がいっている)。でもこれを読んだきみが、世界で2番目になるかもしれない。科学と芸術の根はひとつ。心の謎は、アートなんだ。
(朝日中学生ウイークリー 2007年2月18日号より) |
わたしも読みました!
東大院生・かむかむ
まずはこの本の著者、北岡さんのウェブサイトを僕も覗いてみた。北岡さんの代表作である「蛇の回転」の錯視には圧倒される。パソコンの画面で見ると、実際に回転しているのではないか、と疑いたくなる。しかし、紙に印刷されたものを見ても回転して見えるので、錯視であることにやっと納得できる。
錯視はなにも特別なことではない。例えば、日の出や日の入りに水平線に見える太陽は、昼の空に見える太陽に比べて大きく感じる。これも錯視である。では、錯視はなぜ起きるのか。その原因については、この本にはほとんど書かれていない。なぜなら、錯視の原因となる脳や神経活動の仕組みが、まだほとんど分かっていないからである。しかし、原因が分からなくても、見て楽しむことはできる。そして、作ることもできるのである。それが、「究極の錯視ガイドブック」とうたっている本書の最大の特徴だ。
そこで、実際に僕もひとつ作ってみた。ホワイト効果と呼ばれる明るさの錯視だ(ちなみに、『ホワイト』は研究者の名前だそうだ)。上下の「朝中」という文字は同じ明るさだが、下が上よりも明るく見える。自分で作ってみると、見るときとはまた違った面白さを実感できる。錯視作りは間違いなくお勧めである。 |
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だまされる脳 バーチャルリアリティと知覚心理学入門
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| 講談社ブルーバックス |
| おすすめする人 東大院生・細川研知
もし火星にいけるとしたら何をしてみたいですか?
私たちが火星に行けるのは当分先になりそうです。現在の技術では火星に行っても帰ってこられません。でも、ロボットなら行けます。ロボットが火星で見たこと、触ったことを私たちの脳に伝え、脳をうまく「だます」ことができれば、ロボットを通じて火星旅行ができるかもしれません。
脳を「だます」ためには、私たちの脳が何を感じて、どのような情報を送れば現実感のあるだまし方ができるか調べる必要があります。脳を「だます」技術をバーチャルリアリティーと言い、脳が何を感じているか調べるのが知覚心理学や脳科学です。
この本では、その両方を紹介しています。 |

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