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量子の新時代 |
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佐藤文隆・井元信之・尾関章/著、
朝日新書、
819円+税 |
おすすめする人 作家・瀬名秀明
新科学が好きな人ならシュレーディンガーの猫の話を聞いたことがあるかもしれない。量子力学の考え方によると、箱の中に閉じ込められた猫は、ぼくたちがふたを開けて中を見るまで生死の状態が重なり合っているのだそうだ。いったいどういうことなんだろう? この世界はどうなっていて、ぼくたちが科学をする行為とは何を意味しているのか? 頭をひねるほどわからなくなってくる。でもそのわからなさを何とかイメージし、表現して、わくわくする感覚を誰かと分かち合いたい。それがぼくたちの本能だ。
本書の案内役の尾関さんは、かつて理系の大学に進学して量子力学の講義を聴き、常識破りのふしぎさに「そんな、ばかな」と思いつつ、「まっ、いいか」と疑問を脇へ置いて勉強を進めた。しかし大学を出て科学ジャーナリストになっても、ずっと当時の「まっ、いいか」が心に引っかかっていた。
1990年代半ば、海外で量子力学の新潮流が生まれつつあった。ロンドン特派員となった尾関さんは以前の自分に答えるべく、科学者たちの活躍を取材していった。本書は帰国後に尾関さんが友人の科学者・佐藤さんや量子コンピューターを研究する気鋭の井元さんらと共にまとめ上げた入門書だ。
尾関さんは導入部を担当、井元さんはいま進行中のフレッシュな量子情報科学を語り、最後の佐藤さんはアインシュタインの量子力学への想いを丁寧に検討し、ぼくたちを科学の深い本質へと誘う。まずは尾関さんの導入から読み進めよう。映画『スライディング・ドア』やグレッグ・イーガンの切っ先鋭いSF小説、さらには桐野夏生『OUT』まで、映画・読書好きの人の心をつかむ物語を用意して、ぼくたちの想像力をかき立ててくれる。しかも量子力学でおなじみのたとえ話も尾関さんの説明はセンスがよくてわかりやすいので、井元さん、佐藤さんの章へもぼくたちは果敢に進んで行ける。科学を考え、伝え、科学をすることの奥深さが垣間見える一冊だ。
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インフルエンザ危機 |
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河岡義裕/著、
集英社新書、
693円+税 |
おすすめする人 作家・瀬名秀明
新型インフルエンザの流行は世界各地で続いており、今後も動向に注意が必要だ。目に見えないウイルスは学校生活や家禽との触れあいなど、社会の一員として生きるぼくたちの見えない日常を浮かび上がらせる。インフルエンザを考えることは世界の見方を考え直すことでもあるのだ。
ぼくたちはパンデミックにどう立ち向かえばいいだろう。将来インフルエンザを研究して人を救いたいと思っているあなたに贈りたいのがこの一冊だ。著者の河岡さんはインフルエンザを始めSARSやエボラウイルス研究の最前線で活躍するウイルス学者。研究職の面白さ、だいご味を、これから職業を選ぼうとしている若い人たちにわかってほしいとの願いをこめてまとめられた本書には河岡さんの熱き想いが詰まっている。
河岡さんは北海道大学の獣医学部に進学し、授業中の質問を教授にほめられ、それがきっかけとなって微生物学の研究室に進み、インフルエンザウイルスと出会う。
当時は鳥やブタのウイルスが人間のインフルエンザ大流行の鍵を握っていることが解明されたばかり。河岡さんは北海道の最北端まで仲間と出かけ、渡り鳥のふんを採取してウイルスを分離する作業から研究者生活をスタートする。
やがて結婚した河岡さんは、あこがれのカリスマ研究者のもとへ留学。ちょうどそのとき、アメリカの養鶏場で鳥インフルエンザの大流行が起こり、河岡さんは奔走する。ウイルスの変異のメカニズムをつきとめ、ウイルスの人工合成にも成功すると、今度は成果を聞きつけたCIAエージェントがやってくる。ウイルス研究はバイオテロの危険とつねに背中合わせだ。
しかし「サイエンスをするのは人である。自分が正しいと思うことを発言し、実行せよ」という恩師の言葉を胸に、河岡さんは科学者としての誇りと理性を両手に進む。
文章はきびきびしてかっこよく、あなたもウイルス学者をめざしたくなるはずだ。読めば勇気がわいてくる。
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光るクラゲがノーベル賞をとった理由 |
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生化学若い研究者の会/編著、石浦章一/監修、
1785円+税 |
おすすめする人 作家・瀬名秀明
二日月が空にかかる夕暮れ時、ノーチラス号は船体を半分沈めてミルク色に光る海を航行してゆく。その描写のなんと幻想的なことか。冒頭で引用される『海底二万マイル』はぼくたちを惹きつけるのに十分なインパクトだ。ミルク色の正体は無数の発光バクテリア。自然界にはホタルのように発光し、サンゴのように他の光を利用して蛍光を発するものがたくさんある。
光る物質はいまも科学の最先端で大活躍している。下村脩博士がオワンクラゲから発見した緑色蛍光たんぱく質(GFP)は、昨年ノーベル化学賞の対象となった。本書はこれから科学の世界で羽ばたこうとする若き研究者が集まって、GFPの面白さを伝えようと書き下ろされた熱意の本だ。いったいどこからネタを仕入れたのかと驚くようなとびきりの話題も用意して読者を迎えてくれる。さあ、わくわくしてページをめくってほしい。皆さんに語りかけるのは、まさに十年後の皆さん自身なのだから。
下村博士がGFPを見つけ出すまでの努力の過程は、いま研究に打ち込んでいる著者らが心から共感しながら書いているのがよくわかる。そしてGFPが他の研究者によって再び注目され、改良されてゆく科学の社会のダイナミズム。調べたい物質とGFPをうまくくっつけて、生きたままの細胞を染め上げる技術を開発したチャルフィー博士の夢と成功。そして緑色だけでなくさまざまな色の蛍光物質を開発して虹色に細胞を染め上げ、複雑な体内を一目でわかるようにしたチェン博士の芸術的天才ぶり。一方で著者らは、研究に貢献しながらノーベル賞を受賞できずバスの運転手になったプラッシャー博士へのまなざしも忘れない。終盤ではいま蛍光たんぱく質の研究分野で活躍する日本人科学者へのインタビューを載せて、若き著者たちがめざす道を照らし出す。
十年後、皆さんもこのような本がきっと書ける。本書を読んで科学の面白さに目ざめたら、今度はあなたが伝える番だ。
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毛髪を科学する ―発毛と脱毛のしくみ― |
| 松崎貴/岩波書店 |
| おすすめする人 東大院生・のじ
これを読んでいる中学生の皆さんは、まだ気にすることはないでしょうが、おじさん世代からよくこんなことを耳にすることはないでしょうか? 「最近髪の毛が……(涙)」と。男性なら一度は気になってしまうこの毛髪問題、そもそも皆さんは毛についてどれぐらい知っていますか?
この本ではどのように毛の性質が決まるのかということや、脱毛のメカニズムなど、皆さんが気になることに着目しています。毛の成長には、増殖因子という細胞から放出される小さなタンパク質が必要です。毛を作る組織(毛包といい、この組織をマウスの腎臓に移植したら、毛が生えてきました)を培養した後にその増殖因子を加えると、毛が伸びたそうです。また、毛には成長期や休止期というような周期があり、「線維芽細胞増殖因子5」と呼ばれる遺伝子をもたないマウスを作製したときに、この周期が乱れて、マウスの体毛が伸び続けて長くなったそうです。
現在、様々な育毛剤などを薬局で見かけますが、まだフサフサな毛髪にするものは開発されていません。しかし、この増殖因子をうまく毛髪の部分にだけ効くようにすることができれば、フサフサも夢ではないかもしれません。これ、売れそうだな……。 |
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森博嗣の半熟セミナ 博士、質問があります! |
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森博嗣/著
講談社、1800円+税 |
おすすめする人 作家・瀬名秀明
博士という呼び名には憎めない愛らしさがある。お茶の水博士はロボット工学の専門を超えて何でも教えてくれそうだ。実際、最近は本物のハカセたちがメガネと白衣姿で給仕するおもしろい集団もあって、ぼく自身も参加したことがある。ハカセに質問して知的なひとときを過ごしたいと思っている人は多いのでは?
『すべてがFになる』に始まる森博嗣さんの小説を読んだ人はたくさんいるに違いない。本書は工学博士の森さんが、あえて通俗的なハカセのイメージを受け入れて、問答形式で理学や工学のちょっとした耳より話を展開したものだ。森ファンにはおなじみのささきすばるさんがイラストを描いているので、博士はぼさぼさ頭に白衣姿、ちゃんと犬も登場する。なぜ鏡は左右が逆に見えるのか、AMとFMの違いは何かなど、気軽に読める60の問答が収録されている。森さんの専門である建築や材料工学分野はさすがにおもしろくて、鉄筋とコンクリートの相性の話などふむふむ、くすくすと読みふけってしまう。
ぼくも科学エッセーを書くので森さんの手際がわかる。噛み砕きすぎているので厳密にいえば間違いや本当でないところもあるだろう、と森さん自身もまえがきで書いているが、ぼくならここは別の説明をするだろう、とか、ここはもう少し正確に伝えておきたいな、と読みながら感じるところもある。だから愛らしいこの本に関しては、少し変わった活用法を提案したい。
まずは誰かに森さんの設定した質問テーマだけを書き出してもらう。そして「自分ならこの質問にどう答えるだろう?」と考えてみるのだ。たぶん皆さんでもインターネットや図書館を使えばおおよその正解に到達できるだろう。そして文章とイラストで答えを書き、森博士と対決してみるのだ。どちらがおもしろく、わかりやすく答えているか? みんなでひとつの質問テーマに答えて博士ぶりを競い合ってみるのもいい。科学のセンスは問答から始まる。
(朝日中学生ウイークリー2009年2月15日号から) |
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科学者とキリスト教 |
| 渡辺正雄/著、講談社ブルーバックス |
| おすすめする人 東大院生・みお
科学と宗教の切ない関係
さあ、もうすぐクリスマス! キリストの誕生を祝うこの日、世間は大騒ぎで誰もがわくわくしてしまいます。今年のクリスマスは少し視点を変えて、キリスト教と科学の切ない関係について考えてみませんか?
科学とキリスト教。一見、相いれないもののようにみえます。だって、ダーウィンの進化論を、キリスト教は認めなかったじゃないか! 地動説を唱えたガリレオは宗教裁判にかけられたんでしょう? そう、確かに、創造主が人間をつくったと考えるキリスト教はいまだに進化論を完全には認めませんし、地動説は聖書の記述と矛盾するとして迫害されました。しかし、ガリレオやニュートンなど近代科学の基礎を作った科学者たちは、敬虔なクリスチャンでもありました。近代科学はもともと、キリスト教に根拠を与えるための学問だったのです。
この本は、教会の思惑と、真理の探究を通してキリストや聖書を正当化したいという科学者たちの悲痛な思い、そしてその関係が破たんしていく様子が描かれた、スリリングな傑作です。古い本なので残念ながら書店ではもう買うことができませんが、図書館に行ったらぜひ借りたい1冊です。 |
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キュリアス・マインド ぼくらが科学者になったわけ |
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ジョン・ブロックマン/編、ふなとよし子/訳
幻冬舎、2500円+税 |
おすすめする人 作家・瀬名秀明
学校で落ち込むことがあっても、毎日をほんの少しだけ豊かにできる方法がひとつある。それは何かに興味を持ち、「おもしろい!」と感じる心を忘れずに持ち続けることだ。興味は連鎖してゆくものだ。もしきみが読書好きなら、そこからひとりの作家と巡り会い、その作家の関心を追って、どこか遠くの国が好きになるかもしれない。その国のスポーツや、そこで生まれた俳優を好きになるかもしれない。興味は巡り巡って理科にもたどり着く。仲間もきっと見つかるだろう。
アメリカで科学書をたくさんプロデュースしているジョン・ブロックマンさんが、ノーベル賞級の有名科学者27人に子どものころの話を依頼した。どうしてあなたは科学者になったのか? 子どものころの好奇心(キュリアス・マインド)を教えてくださいといって完成したのがこの本だ。利己的遺伝子説のドーキンス、ミトコンドリア共生説のマーギュリス、神経科学者のラマチャンドランに発明家のカーツワイル! もしきみが理科を好きになり、もっと科学を勉強したいと思うようになったら、必ずここに登場している人たちの本を何冊も夢中で読みふけることになるだろう。
彼らは世界の第一線で活躍する優れた科学者たちだから、ぼくたちとはちょっと境遇も違う。何人も登場しすぎて、じゃあいったい自分はどうすればいいの?と途方に暮れる人もいるかもしれない。だがここで本当に重要なのは、登場する27人全員がずっと何かに興味を持ち続け、ふしぎだ、おもしろい、と思う自分の気持ちを大切にし続けてきたことだ。それなら誰もが今日からできることだ。
きれいなカラーイラストに彩られた27のエッセーは、意外なほど奥深い。本書は大人になるまでずっと座右に置いてほしい。10年後、20年後に読み返し、自分と比べてみてほしい。たぶんそのころにはきみのキュリアス・マインドが大きな成果として花開き、世界を変えているはずだ。
(朝日中学生ウイークリー2008年4月20日号から) |
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カソウケンへようこそ |
| 内田麻理香/著、講談社 |
| おすすめする人 東大院生・かむかむ
家庭で発見、なるほど科学
著者はカソウケンの研究員。といっても科学捜査で事件を解決するあの科捜研ではありません。正式名称は「家庭科学総合研究所」。カソウケンの研究員は全部でたったの4人。主婦である著者が、夫や4歳と2歳の息子たちと過ごす、カソウケンでの日々の研究内容(つまり、家事や育児)を報告してくれます。
似たもの同士は溶けやすいという「極性の大原則」を使うと赤ワインのシミは白ワインで落とせてしまう。キュウリの塩もみはナメクジに塩をかけると溶けるのと同じ原理。他にも、部屋が散らかる理由やダシのおいしい組み合わせなど、ついつい友達に自慢したくなるようなお話が満載です。
ひとつひとつの話が5〜6ページと短いので読みやすいし、なんといってもイラストがかわいい! カソウケンのほのぼのとした雰囲気が伝わってきます。 |
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ロウソクの科学 |
| ファラデー/著、角川文庫など |
| おすすめする人 東大院生・みやび
イギリスの貧しい家庭に生まれたマイケル・ファラデー少年は、ある著名な化学者の講演を聴いて目を輝かせ、科学者になることを心に決めました。そして、小学校しか卒業していないにもかかわらず、独力で偉大な科学者になりました。この本は、ファラデーが少年少女に向けて行った、クリスマスの講演を記録したものです。
「ロウソクは、どうして芯の先だけ燃えるのだろう」。ファラデーは、お皿に盛った食塩の山の底に、青色に染めた飽和食塩水を注ぎます。すると、魔法のように、その青色が食塩の山を静かに上っていきます。これが、謎を解き明かすヒントです。
「何でそんなことが起こるのだろうかと疑問を持つことを、忘れてはいけません」と、ファラデーは語りかけます。自然の不思議に心躍らせた少年時代の自分を思いながら、講演したに違いありません。
この講演に感動して科学者を志した少年少女がたくさんいたことでしょう。僕もそんな少年の一人です。 |
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アフリカにょろり旅 |
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青山潤/著
講談社 |
おすすめする人 作家・瀬名秀明
いきなりこの本は、ひとりの黒人青年が周囲の人からボコボコにされているシーンから始まる。あわてる著者の横で、塚本先生は「いい跳躍だ」と涼しげな顔。もうひとりの旅仲間・俊は、無謀にも日本語で仲裁に入る。ここはアフリカのマラウイ共和国、彼らはなんと、幻のウナギを探しにやってきた科学者なのだ。
ウナギが海で産卵する瞬間を見た人はいない、といったらびっくりするかもしれない。ではウナギは海のどこで生まれて、数千キロも旅するんだろう。このウナギの不思議な生態を解明しようとしているのが、東京大学の塚本先生のグループだ。著者の青山さんは塚本先生の弟子になり、ウナギを採集する旅に出た。ところがアフリカに生息するラビアータだけが見つからない。本書はその最後のウナギを追い求める青山さんたちの旅行記なのだ。
いつどこで見つかるかわからないから、旅費は極力切り詰めなければならない。カバが外で大声を上げ、蚊が飛び交う安宿を点々としながら、青山さんたちは地元の人々にあの手この手で交渉し、漁に出てもらって目的のウナギを手に入れようとする。いつまで待てばいいかを見極めるのも肝心。ぎゅうぎゅう詰めのバスに揺られて別の場所に行っても当てが外れる。途中で塚本先生は帰国してしまい、青山さんは俊とふたりで旅を続けることになる。
地雷原の近くで車もなく途方に暮れ、大便が山盛りのホテルで寝泊まりし、大笑いの珍道中なのだけれど、彼らの目的はあくまでも学術研究。ぎりぎりまで体調に気を配り、ウナギを採集して帰国することを最後まで優先して考える。決して無謀はしないのだ。このバランス感覚があるからこそ、本書は科学の面白さをしっかり伝えてくれる。
ウナギの科学がこんなに楽しいなんて、驚くに違いない。これを読めば、科学のイメージが少し変わる。中学校に進学して、これから科学の面白さを知りたい!という新1年生にもおすすめの1冊。
(朝日中学生ウイークリー
4月15日号より) |
わたしも読みました!
東大院生・ようへい
科学の研究がどうやって行われているか、知ってる?
僕が中学生のときはそんなこと全然考えたことがなかった。もし考えたとしても、白衣を着て、牛乳瓶の底みたいな分厚い眼鏡をかけた、アインシュタインみたいなぼさぼさした白髪の人があれこれ考えてる、っていうくらいのイメージしかなかったと思う。そんな中学生だった僕が今や大学院なんてところで科学の研究なんてしてる。で、白衣はたまに着るけど、牛乳瓶の底みたいな分厚い眼鏡はかけてないし、アインシュタインみたいな髪型にはなってない。
じゃあ、研究って一体どうやってするのかだけど、僕はこれまでで一つ気付いたことがある。
科学の研究は知的な冒険から始まる。
色々な知識を頑張ってため込むと、色々な疑問が沸き上がる。その疑問がこれまでの知識で解けないとしたら、その疑問に対する答えを必死で考えて探す。その答えがどこかに「ある!」と信じたら、何が何でも見つけ出そうとする。それが研究という冒険。
僕もこの冒険をしている。体の中の色々な組織がどうやってできるのか? どんな物質がそこに関わっているのか? ES細胞というどんな組織にでもなれる細胞を使って、探している真っ最中だ。
この本はそんな冒険の一番面白いところが詰まってて、僕の冒険のガイドブックになってくれている。筆者の先生である塚本先生はこう言っている。「誰がなんと言おうと、いつの時代にも、どんな世界にも、やっぱり冒険は必要だよ。それもわくわくするようなスケールの大きな冒険が必要だと思うよ」
この本はそんなわくわくする知的冒険をこれからしてみたい君達に、ガイドブックとして読んでほしい。 |
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新しい科学論 |
| 村上陽一郎/著、講談社ブルーバックス |
| おすすめする人 東大院生・みお
「事実」は理論をたおせるか、という魅力的な副題がこの本にはついています。普通、理論は事実の積み重ねによって出来上がると考えられているけれど、本当にそうなの?というのが作者の問いです。例えば医者はレントゲン写真の中に「がんの病巣」という「事実」をみます。でも私たちが同じ写真をみると、白黒のまだら模様という「事実」しかみえません。実は「事実」は人によって異なるのです。
「何で事実が人によって異なるの? それじゃあ科学や理論はどうなるの?」
この本をゆっくり読んでいくと、そんな問いが自然と生まれ、答えもみえてきます。科学の考え方の基本や、科学と宗教との関係なども詳しく書いてあります。
科学に翻弄されずに生きるためにぜひ読んで欲しい本です。 |
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科学者という仕事 独創性はどのように生まれるか
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| 酒井邦嘉/著、中公新書 |
| おすすめする人 東大院生・とってぃ
「将来は科学者になりたい」と酒井さんがはっきり意識するようになったのは、中学1年生のころだったそうです。それから30年、いま大活躍の脳科学者です。
科学者の心がまえを語るなかで、音楽や工芸などで活躍する人たちの言葉が紹介されています。そこにひとつ共通しているのは、物理学者・朝永振一郎の言う「ひとと同じことはしない」ということです。バイオリニストの諏訪内晶子さんも、「小さいときから、みんなと同じことは、すごくいやで……」と語っています。
さて、ここで問題です。
問題1 何かおもしろい問題を考えよ。
問題2 問題1で作った問題に答えよ。
「これが解ければ、あなたはすぐれた研究者である」と酒井さん。きょうから毎日考えてみては。 |