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キャサリン・パターソン/作、岡本浜江/訳
ポプラ社、1300円+税 |
おすすめする人 作家・瀬名秀明
”「天文学はもっとも古い科学で、記録された文明の黎明以前から存在している」エンジェルは生まれてからずっと息を止めていたくらい大きなため息をついた。今あたしは、自分だけの冒険にのり出そうとしているのだ。「記録された文明の黎明以前」に”
これは来年公開の映画『テラビシアにかける橋』の原作者パターソンさんが贈る、天文学と勇気の物語だ。主人公の少女エンジェルはもうすぐ12歳。両親は問題を抱えていて、小さな弟と曽祖母の家に預けられてしまう。そこで彼女はふしぎな星のおじさんと出会い、望遠鏡で銀河を観察し、夜空を見上げることで、学校や家庭の厳しい現実にも胸をはって立ち向かう。
ぼくたちの体は、夜空で光る星と同じ材料でできている。この事実がエンジェルにひとつの希望を与える。彼女はいつも北の空で動かない北極星を仰ぎ、自分もしっかり明るく輝いてゆこうと決意する。
彼女の心を他方で支えるのは、図書館のリザさんがお薦めするH・A・レイやピーター・シスの天文絵本だ。なんて素敵な本を選ぶのだろう、と嬉しくなってしまう。きっと皆さんも『ひとまねこざる』で有名なレイの絵本は子どものときに読んだはずだし(レイは星が大好きだった)、シスは本書で紹介されているガリレオの絵本だけでなく科学に関する流麗な絵本を出しているから、きっと書店で手に取ればたちまち魅了されることだろう。文字を持たなかった大昔の人々は空の星々をつないで物語を描いた。いまぼくたちは文字で書かれた物語をきっかけに空を見上げ、次の本へと心を広げることができる。
パターソンさんは人間の死をきちんと描く作家だ。しかし星のかけらであるぼくたちが、夜空で光を放つ星と同じく体の中で燃えているのだということを、はっきりと教えてくれる。
星はただ輝くだけだ。しかしそれを見て心を動かすのは、誰もが持つ普遍の力なのだと本書は伝えている。
(朝日中学生ウイークリー2007年12月16日号から)
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