朝日小学生新聞
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中学受験に役立つ

2016年度中学入試の時事問題を分析!
憲法や選挙権年齢、火山の出題めだつ

中学入試で多くの学校が出題する「時事問題」。朝日小学生新聞(朝小)編集部は全国の国立・私立中学50校あまりの入試問題をチェックし、2016年度はどのようなテーマがよく取り上げられたのか調べました。来年度以降の受験を視野に入れているみなさんは、参考にしてください。

集団的自衛権、安全保障関連法を入り口に出題

今春の入試でめだったのが「憲法」。2015年が戦後から70年にあたり、憲法をもとに平和的・民主的な国づくりをめざしたことや、集団的自衛権の行使を認める安全保障関連法が成立したことなどが出題の「入り口」になりました。
密接な関係にある外国が攻撃されたとき、自国が攻められていなくても外国を助け、反撃する権利が集団的自衛権。千葉・市川中や東京・早稲田中などがこの権利の名前を問いました。
東京・豊島岡女子学園中など改正の手続きを定めた第96条を出題する学校も。「各議院の総議員の3分の2以上の賛成で国会が発議」「承認には特別の国民投票または~(一部省略)において、その過半数の賛成を必要」といった部分を取り上げて「各議院の総議員」「3分の2以上の賛成で発議」「過半数の賛成」といった語句が問われました。東京・慶応義塾中等部では計七つの条文を出題。それぞれに空欄をもうけ、適切な語句を答えさせました。

国政選挙などで投票できる年齢を満18歳以上にする「選挙権年齢の引き下げ」もよく出ました。東京・駒場東邦中や京都・京都女子中のように年齢を問うのが典型。東京・青山学院中等部では次の参議院議員選挙から「合区(となり合う都道府県の選挙区をひとまとめにする)」の対象になる組み合わせを問いました(鳥取と島根、徳島と高知)。

世界遺産も定番

15年は九州にある五つの県と山口、岩手、静岡の計8県にまたがる23の資産で構成される「明治日本の産業革命遺産」が世界文化遺産に登録されたことから、関連事項も出題されました。多かったのが「ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)」を答えさせる問題。千葉・国府台女子学院中は大砲などを製造した遺産で、いまの静岡県にあるものとして「韮山反射炉」を選ばせ、長野・佐久長聖中は世界遺産に登録された松下村塾で多くの人材を育てた人物を記述させました(吉田松陰)。

理科はノーベル賞、火山など

15年の「ノーベル賞」に関して医学生理学賞の大村智さん、物理学賞の梶田隆章さんの業績も出題。大阪・四天王寺中は大村さんの受賞分野、東京・学習院中等科は物理学賞に選ばれた理由などを答えさせました(ニュートリノに質量があることを発見)。
理科でめだったのが「火山」。東京・女子学院中では最近噴火した火山の説明を読んで位置を解答。奈良・西大和学園中ではキラウエア火山(アメリカ・ハワイ)や富士山、昭和新山の図を示し、キラウエア火山がなだらかな傾斜をしている理由を説明させました(マグマのねばりけが弱く、流れやすいから)。

朝小は去年の秋から時事問題対策をサポート。12月中旬まで週1回掲載した「ニュースおぼえているかな?」や週1回配信したPDF(読者限定)でポイントを解説しました。そのアドバイスが実際の入試でも出題されました。
東京・開成中などが出題した環太平洋経済連携協定のアルファベットでの略称「TPP」がその一例。東京・武蔵中では「選挙権の拡大」をテーマに、1925年に選挙権にかんする法律が改正され、有権者の条件がどうかわったか(満25歳以上のすべての男子になる)、1928年より1947年の有権者が多いいちばんの理由は何か(満20歳以上のすべての男女に選挙権があたえられたから)など、図表をもりこんで問いました。
「選挙権年齢の引き下げ」を取り上げたPDFは、こうした出題をイメージして解説しました。


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