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ニュースでジャンケンポン

  

地球温暖化が進むとどうなるの?

 

 

大雪、洪水、日本はミカンできず…


香取啓介記者 (朝日新聞文化くらし報道部)

 

ケン 地球がどんどん暖かくなってきているって聞いたけど、どういうこと?

 

香取記者 地球温暖化だね。国際連合(国連)の組織の一つに「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」というのがある。各国の政府の推薦などで選ばれた専門家が、世界中で発表された温暖化問題に関する科学者の論文をまとめているよ。
 そのIPCCが去年の秋に6年ぶりに公表した報告書では、世界の平均気温は1880年から2012年の間に0・85度上がったというんだ。

 

ポン 0・85度って、たいしたことないんじゃないの?

 

 

 

イラスト・きくちろう

 

 

――甘く見てはいけないよ。空気や海水の温度が上がると熱のバランスがくずれて、それを修正しようと空気や海水に激しい流れが起きる。台風みたいな低気圧が急に発達して、冬には寒波や大雪になったり、夏には台風が予想外のコースを進んだり、せまい地域で突然激しい雨が降る「ゲリラ豪雨」につながったりするんだ。


ジャン そういえば最近、大雪とか、洪水のニュースが多いよね。なんで地球が温暖化するの?


――IPCCの専門家は、人間の活動が原因だという可能性が極めて高いといっているよ。18〜19世紀に始まった産業革命以来、人間は石炭や石油などの化石燃料を使ってきた。これらを燃やすときに出る二酸化炭素(CO2)などのガスが、太陽から届いた熱を逃がさずに、温室のように地球を暖めてしまうというんだ。


ケン だから温室効果ガスって言うんだね。


――その通り。IPCCは、CO2を出せば出すほど気温が上がるという見方をしているよ。人間がこのままのペースで温室効果ガスを出し続けると、今世紀末までに2・6〜4・8度も気温が上がると予測しているんだ。


ポン そうなると、何が起きるの?


――日本への影響について、環境省の研究プロジェクトチームが報告書を17日に発表した。それによると、日本は本州の多くの地域が沖縄や香港のような亜熱帯になってしまうというんだ。気温は、3・5〜6・4度上がるという。降る雨の量は9〜16%増え、海水面は最大63センチ上昇。85%の砂浜が消えてしまうと書かれている。


ケン えー。想像できない。


――それだけじゃない。洪水が起きたときの被害額が3倍以上になるほか、熱中症のような暑さで死んでしまうおそれが最大13倍にまで高まる。原生林としてなじみ深いブナの生える場所も、本州の太平洋側や西日本で大きく減ってしまう。そこに住む生きものや景色だけじゃなくて、日本の伝統や文化にも影響するかもしれない。ミカン(温州ミカン)は栽培できる場所がほぼなくなってしまうといわれているよ。


ジャン どうすればいいのかしら。


――報告書では、被害を減らすような対策が必要だといっているよ。例えば、より大きな洪水にたえられる堤防を造ったり、洪水が起きそうなときに警報を出す仕組みを作ったりすることが考えられる。熱中症も、エアコンを使ったり、街路樹を植えたりすることで、被害を減らせるという。


ポン そうか。よかった。


――でも対策にどれだけお金がかかるかわからない。専門家は、温室効果ガスを減らして気温が上がるのを食い止めるのが大前提で、それでも起きる被害に対策をとることが大事だといっている。
25日から神奈川県で開かれているIPCCの会議でも、そこが大事な議題になっているんだ。



 

過去の記事↓

◆南極海でクジラを捕れなくなるの?(2014年4月12日)

◆「袴田事件」で裁判やり直しって?(2014年4月5日)

◆地球温暖化が進むとどうなるの?(2014年3月29日)

 

2014年3月29日付

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