●夏の節電対策

中川 仁樹記者(朝日新聞経済グループ)

 ジャン スーパーに行ったら、電灯やテレビが消えていたわ。
中川記者 東日本大震災で原子力発電所(原発)が使えなくなり、電気が足りなくなっているんだ。節電をしないと、冷房を使う夏には大停電が起きるかもしれない。
 そんなことにならないように、電気をたくさん使う企業はいま、知恵をしぼっている。
 ポン なんで、そんなことになったの。


大停電避けるため各企業が工夫
 

40年ぶり電力使用制限令?

サマータイムやクールビズ
西日本に生産拠点移転も
 
パソコンメーカーのNECが開発した会社向けの節電システム。パソコンの画面に節電の目標値や達成率が表示され、社員らの意識向上に役立ちます ©朝日新聞

――震災による大津波が東京電力の福島第一原発を直撃し、六基ある原発のうち4基の建物がこわれた。放射能に汚染されたがれきが現場に転がり、水蒸気はいまだに止まっていない。とても運転を再開できる状態ではない。ほかに東京電力の福島第二原発や東北電力の女川原発なども止まったままだ。
 東京電力では、電力の供給能力が震災前後で5200万キロワットから3100万キロワットに落ちた。夏までには火力発電所などを動かして5000万キロワット程度まで増やす計画だが、去年夏は最大で6000万キロワットの電力を使っており、足りなくなる心配は残っている。


ジャン こわれていない原発を動かせないの。


――放射能汚染を避けるため、約八万人が避難し、農作物や水産物にも被害が出た。これまで原発は、どんな天災が起こっても大丈夫といわれていただけに、ほかの原発の安全性も再確認する必要がある。点検で停止中の全国の原発も、いつ動かせるか分からない。


ケン 節電しないとどうなるんだろう。


――供給能力を超える電気を使おうとすると、電気の流れが不安定になり、突然、広い地域で停電になる心配がある。電車やエレベーターが突然止まり、病院でも手術中に停電になるかもしれない。そのため、東京電力と東北電力は3月14日に計画停電を始めた。地域ごとに順番に停電して電気の使用量を抑えるしくみだ。
ただ、電車が運休したり、工場が閉鎖したりするなどの混乱が起こったほか、信号も停止して交通事故が起きた。家でも冷蔵庫が止まり、水が出なくなったマンションもあった。これらを避けるには節電をがんばらないといけない。


ポン どれぐらい節約するのかな。


――最も電気を使うのは、オフィスや工場が動いている夏の平日の昼間。エアコンを使う家庭も多い。そこで、経済産業省は今年の夏の最大使用電力を、企業、家庭ともに去年の夏に比べて15%減らす目標を決めた。
多くの電力を使う企業には罰則のある「電力使用制限令」を使う考えだ。1974年の第一次石油危機以来となる。ほかにも電力料金を値上げして使用量を減らす案もあったが、それは消えたようだ。


ジャン どういう節電方法があるの。


――ソニーは始業時間を前倒しする「サマータイム制度」を導入するつもり。東京証券取引所はビジネスマンの代名詞である背広に代わり、社員にポロシャツの着用を認める。このほか土日に工場を動かしたり、夏休みを長くしたりする例もある。
自動販売機も昼間は少し冷却を止める。東京ディズニーリゾートは自家発電機を設けて、電力の購入量を減らす考えだ。自治体でもエレベーターを使うのをやめ、図書館の閉館時間を繰り上げるところもある。原発は国内の発電量の3割を担っており、使用電力量を3割減らすと宣言する企業もある。


ケン ぼくもなにかやらないといけないね。


――テレビは見ていないときでも電気を使うので、見るのをがまんするだけでなく、コンセントをぬく方がいい。エアコンや冷蔵庫、照明を省エネ型に交換するのも効果的。汗を吸って冷たく感じる下着や服を着る方法もある。


ジャン パパの会社は仕事ができるのかな。


――どの会社も、工場の生産や商品の販売を減らさないように一生懸命やっている。電力不足の心配がない西日本に拠点や生産を一時的に移す企業もあるので、そんなに心配はいらない。

 

 

(2011年4月30日)

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