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●岩手・宮城内陸地震のしくみは●

大木聖子記者(東大地震研究所・広報専任助教/理学博士)
 

 ジャン 20人以上の人が亡くなったり行方不明になったりしている岩手・宮城内陸地震。6月14日に起きました。

 ケン どういうしくみで起きたのか、地震の多い日本に暮らすぼくたちは、どんな知識を持っておけばいいのかなどを教わりに、東大地震研究所をたずねました。

 
地下の断層がずれ動く「内陸型」
 
上に山脈、大きな山くずれに
梅雨…土砂災害に注意が必要
日本では5分間に1回の地震

 ケン まず、地震のしくみをおさらいしたい。
 ――ゆでタマゴを思いうかべて。その殻にはたくさんのひび割れがあって、ゆっくり動きながら、押し合いへし合いしているの。

 ポン ゆでタマゴの殻は動かないよ!
 ケン たとえ話だよ。
 ――そう。ゆでタマゴは地球。割れた殻は、地球をおおっている、ぶあつい岩の板よ。厚さは百キロ前後もあるんだ。

 ジャン プレートっていうのね。四川大地震(5月12日)の勉強で覚えたよ。
 ――日本周辺の地下には四枚のプレートがあって、押しくらまんじゅうをしている。太平洋プレート、北米プレート、ユーラシアプレート、フィリピン海プレートと名前があるのよ。

 ケン 東北地方では?
 ――東からゆっくり押してくる太平洋プレートが、海底で陸側の北米プレートの下にもぐりこんでいる。

 ポン ゆっくりって?
 ――年に約10センチ。人のつめがのびる速度にたとえられる。陸側はいつも強い力で押され、先っちょが太平洋プレートに引きずりこまれている。

 ケン えっ、だんだん陸地がしずんじゃう!?
 ――それはない。陸側のプレートのへりは、ときどき上にはねて、もとにもどる。50〜100年に1度くらいは、大きくはねるよ。

 ジャン 「プレート境界型」の地震ね。岩手・宮城内陸地震も同じ?
 ――ちがう。もう1つの地震の種類を覚えている?

 ケン 「内陸型」だね?
 ――そう。東北地方の陸地の中のひび割れ、つまり断層がずれ動いた。いつも太平洋プレートに押されて、東西から押し縮めるような力が加わり、ひずみがたまっていたのね。四川大地震も、この「内陸型」よ。

 ポン 二つの地震は関係があるの。
 ――となり合う地震でないので、関係はない。

 ケン 岩手・宮城内陸地震では、何が起きたの。
 ――岩手県南部から宮城県北部にかけて走る断層が、長さ約40キロにわたって、ずれ動いたらしい。断層の西側の地盤が東側に向かって、ななめ上方向に数メートルはね上がったの。

 ポン 四川の地震とどっちが大きいの?
 ――四川大地震はマグニチュード(M)8。岩手・宮城内陸地震は、阪神大震災(1995年)とほぼ同じM7・2。数字が1ちがうとエネルギーは?

 ケン たしか、30倍ちがうんだね?
 ――正解。四川の約30分の1ね。でも、宮城県栗原市の荒砥沢ダムのそばでは、長さ1キロ、幅700メートルにわたって山がくずれた。山肌が、もとの位置より最大で150メートルもすべり落ちたそうよ。地震ではね上がった地盤の上に、奥羽山脈がのっていたこと、火山の灰が積もった弱い地盤だったことも、山くずれを大きくしたの。

 ジャン まだ、約300人が避難しているんでしょ。
 ――東北地方は6月19日に梅雨入りした。雨がふると、さらに土砂がくずれたり、土砂にせき止められた川があふれたりと、二次災害が起きやすくなる。余震も、1か月くらいは注意しないといけないわ。

 ポン ぼくたちの町はだいじょうぶかな?
 ――4枚のプレートがひしめき合う日本は、「地震の巣」。世界の地震(M5以上)の10個に1個は日本で起きているの。体に感じないけれど地震計には記録される震度0もふくめると、日本では5分に1回の割合で起きているのよ。

 ケン そんなに!
 ――家具の固定や防災用品の準備、家族の話し合いなど、備えを忘れないでね。

 
【きょうのポイント】
 ▽岩手・宮城内陸地震は、陸地の中で断層(ひび割れ)がずれ動く「内陸型」の地震。四川大地震と同じしくみだ。
 ▽地震のエネルギーを示すマグニチュードは7.2で四川の約30分の1だが、上に奥羽山脈があり、大きな山くずれを引き起こした。梅雨をむかえ、新たな土砂災害に注意が必要。
 ▽体に感じないものもふくめ、日本では5分に1回の割で地震が起きている。ふだんからの備えが大切。
 

(2008年6月27日)

 

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