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●春闘ってなに?●

多田敏男記者(朝日新聞労働グループ)
 

 ジャン このごろ「春闘」という言葉をよく聞くよ。 

 多田記者 春闘は、働く人たちが、給料など働く条件(待遇)について、春に交渉することなんだ。みんなの生活にも深くかかわることなんだよ。

 ポン 何か、けんかみたい。

 多田記者 「春季闘争」を短くした言葉で、文字だけ見ると「春にけんかすること」のように思えるね。

 ケン 実際にはどんなことをするの。

 
働く人が給料アップを会社と交渉
 
組合に入って団結して交渉
憲法が保障する「労働三権」
春闘の集会で、デモ行進をする日本労働組合総連合会(連合)の組合員=東京都内で、2008年3月1日

 ――働く人(労働者)が給料を上げてほしいと、会社を経営する人(経営者)に要求し、みんなで交渉するんだ。労働者は給料を少しでも上げてもらって生活を豊かにしたい。経営者は、できるだけ上げるのをさけて、会社のもうけを増やしたい。両者の考えが激しくぶつかることから「闘争」という言葉が使われているんだ。

 ケン 給料以外のことも話し合うって聞いたよ。
 ――働く時間を短くすることや子育て支援といった、いろんなことも話し合う。働きすぎて病気になってはいけないし、お父さんやお母さんの休みが増えて、いっしょに遊びに行く回数が増えるとうれしいよね。労働組合も給料を上げること(賃上げ)だけでなく、仕事と生活の調和を大事に考えているんだ。

 ポン 労働組合?

 ――交渉するとき、一人ひとりバラバラだと立場が弱い。賃上げをしつこく求めると、会社を辞めさせられるかもしれない。そこで、労働者が集まって組織をつくり、代表者が経営側と対等の立場で交渉するんだ。
 どうしても経営者が言うことを聞かなければ、ストライキといってみんなで仕事をしない行動もとれる。

 ケン そんなこともできるの?

 ――日本国憲法の28条で「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」と定めている。組合をつくる団結権、組合が経営者と交渉する団体交渉権、ストライキをする争議権は「労働三権」といい、労働者の大切な権利だ。

 ジャン お父さんも労働組合に入っていると言ってたわ。

 ――労働者ならだれでも組合に入れるんだ。同じ会社で長く働く「正社員」はもちろん、労働時間が短いパートの人や、働く期間が区切られている契約社員といった「非正社員」でもいい。組合に入る人は減り続けてきたけど、パートの人が入るようになって少し持ち直している。

 
景気が悪いと上がらない
今年は大幅な値上げを要求

 ケン 給料が上がれば、おこづかいも増えるかな。

 ――おこづかいは多いほうがいいよね。労働者だって給料は高いほうがいいに決まっている。経営者も、どうしても給料を上げないというわけではない。会社の経営が順調でいっぱいもうかれば、給料に回す分も増やせる。でも業績が悪かったり、今後もうけが減るのが分かっていたりしたら、出しにくい。

 ポン どういうこと?

 ――景気が悪い時期が長引けば賃上げが難しくなる。数年前までは、全然上がらないこともめずらしくなかった。逆に、経済が大きくのびていた時代は給料も大幅に上がった。

 ケン 今年は?

 ――労働組合は会社は十分もうけているとして、大幅な賃上げを求めている。給料が増えないと物を買う人が減って、景気が悪くなると主張している。燃料や食品の価格が上がっているので、給料が上がらないと生活が苦しくなるしね。
 一方の経営者は、景気が今後悪くなりそうだからと、大幅な賃上げはしたくない。パートら非正社員の待遇改善も、費用がかかるといって簡単には応じそうもない。おこづかいも、あんまり上がらないかもね。

 
【きょうのポイント】
 ▽春闘は、働く人(労働者)が、会社を経営する人(経営者)と給料などの待遇について交渉すること。個人では弱い立場にある労働者は、労働組合に入り団結して交渉する。
 ▽労働者には、団結権、団体交渉権、争議権の「労働三権」が憲法で保障されている。労働者は経営者と対等の立場で交渉できる。
 ▽賃上げ交渉には景気が大きく影響する。景気のいいときはもうけが増えるので給料も上がるが、景気が悪ければ上がらない。
 

(2008年3月15日)

 

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