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高田 寛記者(朝日新聞大阪本社経済グループ)
冷蔵庫や洗濯機から「ナショナル」という名前が消えると聞いたわ。
会社がなくなるの?
会社はなくならないよ。会社の名前と、その会社が使っているブランド名というのがあるんだ。「松下電器産業」という会社が、この社名とブランド名の「ナショナル」をやめて、2008年10月に「パナソニック」に統一するんだ。
へえー。せっかく有名なのに、もったいない気もするね。どうしてかえる必要があるの。
社名とブランド名を統一して知名度アップ
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「ナショナル」の名前もなくす
名前分散すると競争力も低下
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「パナソニック」に社名変更が決まった松下電器産業。二〇〇八年十月から、ナショナルのブランド名も消え、パナソニックに統一されます=〇八年一月、大阪府門真市で
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――そもそも、松下電器産業はだれがつくった会社か知ってる?
ジャン わたし聞いたことがあるわ。松下幸之助さんっていう人でしょ。たしか、「経営の神様」って呼ばれたとか。
――よく知ってるね。会社ができて90年になるんだよ。
ポン ナショナルは社名じゃないの。
――そう。社名は松下電器産業で、そのほかに、商品ごとにブランド名がある。冷蔵庫や洗濯機などにはナショナルを使い、テレビやパソコンなどの映像・音響機器にはパナソニックを使っている。すでに海外ではパナソニックで統一している。
ポン どういう意味なの?
――ナショナルは、英語で「国民の」という意味がある。「国民の必需品(どうしても必要な品)にしたい」という幸之助さんの思いがこめられているんだ。1927年、自転車用の角型ランプに初めて使った。社名の松下電器産業より歴史があるんだ。
ケン じゃあ、パナソニックは?
――61年からアメリカなどで使われ始めた。「PAN(あまねく)」と「SONIC(音)」を組み合わせて、「松下の音をあまねく世界へ」という意味なんだ。アメリカではすでに「ナショナル」のブランド名が他社に登録されていて、使えなかった事情があるんだ。
ケン それぞれいい名前なのに、どうして一つにしなければいけないの。
――社名もふくめて3つあると、ブランド力が分散してしまうからなんだ。ブランド力というのは「あそこの商品か」「あそこの商品なら」という知名度のことだ。
松下は国内では有名だけど、アメリカなどの海外では、ライバルのソニーや韓国のサムスン電子よりもブランド力が低いといわれている。ブランド力が低いと、せっかくいい商品をつくっても、売り場の端っこにしか置いてもらえないこともあるんだ。
ジャン だったらもっと早くやればよかったのに。
――そうだね。でも、すでに有名になっていたし、創業家の松下の名前や、幸之助さんが決めたブランド名をなくすのは、かんたんではなかったんだ。
まだ幸之助さんが生きていたときに、ブランド名をパナソニックに統一しようとしたら、幸之助さんは納得しなかったという話もあるんだよ。その後も、なかなか実現できなかったんだ。
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売り上げ左右する会社の名前
ソニーやニコンも変えた仲間
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ジャン 会社の名前ってそんなに大事なのかしら。
――例えば「ソニー」って会社ができた当時、どんな名前だったか知ってる。
ケン 最初からソニーだったんじゃないの。
――ちがうんだ。最初は東京通信工業といっていたんだよ。58年に社名をソニーにかえたんだ。アルファベットで「SONY」と書いて、海外での知名度を上げようとした。そのかいあって、今では売上高の4分の3は海外が占めているんだ。
ジャン へえ、知らなかったわ。
――ソニーだけじゃないよ。例えば「ケンウッド」は、前の社名の「トリオ」時代は、赤字が続いて経営がうまくいっていなかったんだ。そこでブランド名のケンウッドに統一することで、イメージアップをねらった。
「ペンタックス」は「光学」以外の事業を始めたから、旭光学工業から変更した。「ニコン」も日本光学工業から、国内外で知名度が高かったニコンにかえたんだよ。松下が社名とブランド名を統一することでどうかわっていくか、みんなも注目してみたらどうかな。
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【きょうのポイント】
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▽松下電器産業が、社名と「ナショナル」のブランド名をやめ、2008年10月から「パナソニック」に統一することを決めた。社名とブランド名が分かれていると、ブランド力が弱まり、ほかの会社との競争に不利なため。
▽松下電器産業は、松下幸之助さんが90年前につくった。すでに有名になっていたうえ、創業家の名前や、創業者がつけたブランド名をなくすことになるので、なかなかかえられなかった。
▽東京通信工業はソニー、日本光学工業はニコンなど、ブランド力をあげるために、社名をかえたり、ブランド名と統一したりした会社は多い。 |
(2008年1月26日)
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