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●「かぐや」で何をするの?●

高山裕喜記者(朝日新聞科学グループ)
 
ケン

 月探査機「かぐや」は、今どうしているんだろう。

高山 記者

 地球の周りを回りながら、月に向かうタイミングを調整しているんだよ。十四日に打ち上げられた「かぐや」は地球の周りを二周してから月に向かうんだ。今ごろは二周目の中ごろあたりだと思う。十二月ごろから観測が始まる予定だよ。

ジャン

 いま、なぜ月を調べるのかしら?

高山 記者

 月は地球の衛星で、最も近い天体だってことは、みんなも知ってるよね。でも、月の素顔は意外に知られていないんだ。

一年間回りながら月の成り立ちなどを調べるよ

岩石の特徴など詳しく
水や氷があれば大ニュース

 


太陽電池パネルとアンテナを広げて飛んでいる「かぐや」の想像図〓画像、池下章裕さん提供

 ケン アポロが地球に持ち帰った月の石をくわしく調べたって聞いたことがあるけど……。

 ――アメリカ(米国)のアポロ計画では6回も宇宙飛行士が月面に降り立ったんだけど、月の表面のたったの1割しか調べられなかったんだ。飛行士の安全を最優先にしたため、6回とも地球から見える月の表側の平らな場所に着陸するしかなかったからね。アメリカが1990年代に打ち上げた小型の探査機二機は、観測機器の大きさや精度が十分でなく、満足のいくデータが集められなかったんだ。

 ジャン そもそも月はどうやってできたのかしら?

 ――月の起源について、おもに次の4つの仮説があるよ。▽45億年ほど前に地球といっしょにできた▽地球からちぎれて生まれた▽地球の引力につかまった▽地球にほかの天体がぶつかったときに飛び散った破片が集まった。今のところ、天体が衝突した説が有力なんだ。

 ポン 「かぐや」は、どうやって月を調べるのかな?

 ――「かぐや」は日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機で、38年前に月に初めて人間が着陸したアポロ計画以来の本格的な探査なんだ。月の上空100キロほどの高度を一年間ほどぐるぐる回りながら、岩石の特徴やクレーターの形、地下数キロメートルのようすなどをカメラや電波でくまなく調べるんだ。

 ケン ふーん。ずいぶんいろんなことが分かりそうだね。

 ――世界の研究者は、水や氷について何か手がかりが見つかるんじゃないかって楽しみにしているみたいだよ。過去のアメリカの探査機が「月の極地(地球でいえば北極や南極)にたくさんの水や氷があるかもしれない」というデータを送ってきたので、さらにくわしい情報がつかめれば大きな発見になるね。

 ジャン どうして、月の水や氷が大ニュースになるのかな?

 ――だって、人間が月で暮らすのに必要な空気と飲み水をつくることができるし、水にふくまれる水素をロケットの燃料として使えるかもしれないからね。将来、人間が月に滞在できるようになれば、さらに遠い火星のような天体をめざす足がかりにもなるって期待されてるんだ。

 ケン すごーい。月から火星に飛ぶ時代がくるんだあ。

 ――もちろん、月で暮らすのはかんたんじゃないよ。月面では昼と夜の温度の差が200度以上もあるし、人体に有害な放射線の一種(宇宙線)も降り注いでいるからね。人間が月面で安全に過ごすには、課題が多い。

米・中・インドも打ち上げへ
日本は月面着陸も検討中


 ジャン 月をめざしている国はたくさんあるのかな?

 ――アメリカは新しい宇宙船をつくって、再び人間を月に送って滞在させることをめざしている。ロシアも独自の計画を持っているみたいだよ。「かぐや」のすぐ後にも、中国の「チャンア1号」が年内に、来年にはインドの「チャンドラヤーン1号」が打ち上げられるんだ。ヨーロッパの国々も探査を検討していて、まさに月探査ラッシュだね。

 ケン 日本はどうなの?

 ――「かぐや」を月に着陸させようという計画もあったんだけど、一歩ずつ着実に進めるために着陸はあきらめたんだ。「かぐや」が成功すれば、月面探査車「ローバー」を走らせようという構想もあるよ。国の宇宙開発委員会は、日本人を月面に降り立たせるような有人探査をやるかどうか、いま話し合っているんだ。まずは、「かぐや」による観測を成功させることが大事だね。

●おもな月探査機
1959年「ルナ3号」(旧ソ連)月の裏側を初めて撮影
  66年「ルナ9号」(旧ソ連)月面着陸に初めて成功
  69年「アポロ11号」(アメリカ)人類が初めて降り立つ
  90年「ひてん」(日本)日本初の探査機
  98年「ルナ・プロスペクター」(アメリカ)月の極地に「氷の可能性」
2003年「スマート1」(ヨーロッパ)
2007年〜「かぐや」(日本)、「チャンア1号」(中国)、「チャンドラヤーン1号」(インド)、「ルナ・リコネサンス・オービター」(アメリカ)

【きょうのポイント】
  ▽月探査機「かぐや」がH2Aロケットで打ち上げられた(9月14日)。月の周りを回る軌道に入って、12月ごろから観測が始まる。
 ▽38年前に月に着陸したアメリカのアポロ計画以来の本格的な探査になる。月の周りを約1年間回りながら、岩石の特徴やクレーターの形などをカメラや電波でくわしく調べる。
 ▽日本に続き、来年までにアメリカ、中国、インドが探査機を月の周回軌道に送りこむ予定。ヨーロッパの国々も探査を検討していて、各国の月探査への関心が高まっている。

(2007年9月22日)

 


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