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●1年切った北京五輪、準備は?●

 

茂木 克信記者(朝日新聞社会グループ)
 
ケン

 北京オリンピック(五輪)まで一年を切ったって聞いたよ。

茂木 記者

 そうなんだ。北京五輪は来年の8月8日に始まるよ。アジアでの夏の五輪は、1964年の東京、88年の韓国・ソウルに次いで20年ぶり3度目。

ポン

 いくつぐらいの国が参加するの。

茂木 記者

  参加国・地域は、過去最多だった前回のアテネ大会より3つ多い205になりそうだ。体操や柔道、水泳、陸上など、28競技302種目が行われる。これも過去最多だよ。

ジャン

 すごいね! でも、準備はだいじょうぶなの?

着々と進んでいるけど、問題もあるよ

開幕まで一年を祝う、華やかな記念イベント(右)。五輪のメーン会場「鳥の巣」の工事現場では、地方からの出かせぎ労働者がもくもくと働いています(下)〓どちらも中国・北京で
会場づくりは予定通り
「大国」と認められたい中国

 


 ――37の競技会場のうち12会場が新しく造られる。「鳥の巣」の愛称があるメーンスタジアムもその一つ。ここで開会・閉会式、陸上競技、サッカー決勝などを行う。となりでは、水の泡に包まれたような水泳会場が建設中だ。メーンスタジアムは来年3月、ほかの会場は年内に完成する予定だよ。
 中国は今、景気がとても良くて、高層ビルやマンションがどんどん建っている。街の変わりぶりにはおどろくよ。

 ケン 活気があるんだなあ。

 ――でも、昔ながらの庶民の家や路地がこわされて、郊外に引っ越さなければならなくなった人も多いんだよ。

 ジャン ちょっと気の毒ね。そうまでして、中国はなぜ五輪を開くの?

 ――「大国」として世界に認められたいんじゃないかな。1945年に第2次世界大戦が終わるまで、中国は約百年間、ヨーロッパや日本の侵略を受けた。その後、社会が混乱した時期もあったけれど、ここ20年は経済改革や海外との交流を進めて、急速に発展している。

 ケン 64年の東京五輪のころ、日本はどうだったの?

 ――このときに東海道新幹線や高速道路が整備され、都市開発が進んだ。大会の成功と70年代初めまでの経済成長によって、日本は敗戦のショックから完全に立ち直り、先進国の仲間入りをした。中国も、似たような期待を持っている。

広がる大気汚染・貧富の差
金メダルより国の品格を


 ジャン 世界の人に元気な姿を見てもらいたいのね?

 ――でも、心配なこともある。まずは空気の悪さだね。北京はスモッグで街が白くかすむ日が少なくない。交通渋滞による自動車の排ガスや、建設現場のほこり、工場の煙などが原因だ。

 ポン マラソンとか、外で競技をする選手は大変だね。

 ――うん。食べ物の問題もある。中国産の食品から、体に良くない添加物や農薬が次々に見つかっているからね。品質に問題がある飲み水が出回っているとも言われているよ。

 ケン 観客にも関係してくるね。

 ――そうだね。ほかにも、アメリカの一部の議員らは、中国が人権を軽視しているとして五輪への不参加を訴えている。競技会場を造っているのは農村から出かせぎに来た貧しい人たち。都市と農村の貧富の差も大きな社会問題だよ。

 ジャン 課題が多いのね。

 ――そうなんだ。「人より先に豊かになろう」として、人々のマナーも悪くなった。駅などで列を作らず、ごみをポイ捨てしたり、たんをはいたりする。

 ケン どうにかならないのかな。

 ――中国の人たちも努力している。自動車の排ガスの基準を厳しくしたり、空気を汚す工場を北京の外に移したりしている。食品の安全の確保にも力を入れているんだ。
 また、毎月11日を「行列の日」にして、整列を呼びかけている。たんをはくと最高50元(約800円)の罰金だ。街のあちこちに、マナー向上を呼びかける標語がかかげられているんだよ。

 ポン 五輪を成功させてほしいな。

 ――そうだね。中国では「金メダル獲得数世界一」への期待もふくらんでいる。ただ、金メダルの数よりも、国家の品格を示せるかが大切じゃないかな。

【きょうのポイント】
 ▽中国・北京五輪は来年8月8日に開幕する。アジアでは東京(1964年)、韓国・ソウル(88年)に次いで3度目。
 ▽中国はここ20年、経済改革や海外との交流を進め、今とても景気がいい。五輪を機会に世界に「大国」として認められたい思いがある。
 ▽大気汚染や都市と農村の貧富の差、食べ物やマナーなど、問題も山積み。排ガス基準を厳しくしたり、マナー向上を呼びかけたりと、改善の努力をしている。

(2007年8月18日)


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