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●東京都足立区の学力テスト問題●

相関 真樹子記者(朝日新聞東部支局)
 
ジャン

 東京都足立区が行っている学力テストで、区立小学校一校が、障害のある子3人の答案を採点から外したというニュースを聞いたけど、どういうこと?

相関 記者

 テストが終わった後に、六年生三人の答案を校長先生が、その子たちや保護者に何も言わずぬいてしまった。校長先生は、学校の学力の実態を知るためにそうした、と答えている。

ケン

だまってぬいてしまうなんてひどい。どうしてそんなことをしたの?
 

平均点を上げるため? 小学校が不正行為

障害ある子の答案を除外
学校選択制や予算で競争

 


 

学力テスト問題で会見する足立区の教育長(左から3人目)ら〓今月16日、東京の足立区役所で

 ――足立区は、東京都が行う学力テストで、去年は23区の中で小学校が21位、中学校が22位。そのため、子どもたちの成績を上げることにとても力を入れている。
 今回、問題が起こった足立区の学力テストは、区が2005年度から始めた。計109の区立校に通う小学2年生〜中学3年生の全員が対象。小学生は国語・算数、中学生は国語・数学・英語で受ける。前の年に勉強したことがどれぐらい身についているかを見るのが目的だよ。

 ケン そうなの。

 ――「学校だけでなく家庭や地域にも状況を知ってほしい」と、テストを始めたときから小中学校全部の成績を、1位から最下位まで順に並べて公表している。だから、その学校の校長先生は「できるだけ成績を上げたい」と思ったのではないか、と指摘する声がある。

 ジャン なぜそこまで公開するの?

 ――足立区は、02年度から学校選択制を始めた。住んでいる地域で通う学校が決まるのではなく、子どもと保護者が行きたい学校を選べる。区の教育委員会(教委)は、学力テストの成績が子どもと保護者の選択の材料の一つになれば、とも考えている。
 このほかに足立区は、前の年よりどれぐらい成績がのびたかを、学校が自主的な取り組みに使う予算の配分を決める材料の一つにしているんだ。がんばった学校を支援することで、学校の間にきそい合う気持ちが生まれ、全体の学力の底上げにつながると考えている。

 ケン 本当にそうなるのかな。三人は、答案をぬかれたことを知ってどう思ったんだろう。

 ――校長先生は後であやまったけど、納得していない保護者もいるそうよ。

 ジャン どうして障害がある子の答案をぬいてもいいと思ったのかしら?

 ――区教委が、そういう子どもたちをテストやその採点から外してもいいと決めている。でも、どんな場合に外していいかは各校の校長先生の判断にまかせているんだ。


事前練習や間違い指摘も
区教委「公表の仕方工夫」

 

 ケン なんだか変だなあ。

 ――うん。これは難しい問題だよ。この学校は、ほかにもやってはいけないことをしていたんだ。

 ポン どんなこと?

 ――前の年のテスト問題をコピーして、子どもたちに練習させていたんだ。

 ジャン 前の年の問題を練習するのはいけないことじゃないでしょう?

 ――毎年ちがう問題が出されるなら、もちろんいい。でも、区のテストは、05年と06年で9割同じ問題だった。それに区教委は、問題をコピーしてはいけませんよ、と説明していたのに、校長先生は05年の問題をコピーしていたんだ。

 ポン ルールを守らなかったんだね。

 ――その上、校長先生とほかの5人の先生がテスト中、答えをまちがっている子に、まちがっている問題文を指さして知らせていた。この小学校の成績は、05年は72校中44位で、06年は1位にぐんとのびた。
 前年の問題をコピーしての事前練習は、ほかに4つの小中学校が行っていたそうだよ。

 ケン こんなことが起きても、仕組みは変えないの?

 ――区教委は今後、テストの結果の公表方法を工夫したいと言っている。学校への予算の配分を決めるのに、成績を材料の一つにすることは見直すと、区長がはっきりと言っている。足立区には、本当に子どもたちががんばって勉強できる環境づくりをしてほしいね。
 

【きょうのポイント】
  ▽東京都足立区教育委員会(区教委)が去年行った独自の学力テストで、小学校1校が障害のある子3人の答案を採点から外していたことが分かった。この学校は、前の年の問題をコピーするなどルールを破る行為をしていた。
 ▽足立区の学力テストは2005年度から、小学2年生〜中学3年生全員を対象に行われている。全小中学校の成績を1位から最下位まで公表。成績は、学校が自主的な取り組みに使う予算の配分を決める材料の1つにもなっていた。
 ▽区と区教委は今後、テストの結果の公表方法を工夫し、予算配分を決める材料にすることを見直すと言っている。
 ●学力テスト(学力調査)
 対象学年や規模、教科のちがいはありますが、自治体が独自に行う学力調査は広がっています。文部科学省(文科省)の調べによると、2005年度は東京都、京都府など50の自治体が行いました。
 全国的な小、中学生の学力状況をつかむため、文科省も今年4月24日に「全国学力・学習状況調査」(小学6年生と中学3年生の約233万2000人が対象)を行いました。これからは毎年、実施していく予定です。
 こうした学力調査は、子どもたちの学力の目安となる一方で、子どもや学校どうしの行き過ぎた競争につながるのではないかという声もあります。

(2007年7月22日)


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