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●参議院の役割は?●

国分 高史記者(朝日新聞政治グループ)
 
ジャン

 今度、社会科見学で国会に行くことになったの。楽しみだわ。

ケン

 ぼくは東京都の議会を見学したことがあるよ。

国分 記者

 都道府県や市町村の議会と、国会との大きなちがいはなんだかわかる? 

ケン

 国会は、国の法律とかを決めるところだよね。

 国分 記者

 そうだね。もう1つちがうのは、国会には衆議院と参議院の2つの院がある点だ。参議院の方は今月、議員を選ぶ選挙があるよ。

ジャン

 どうして2つの院があるのかしら。

政党の枠をこえ、じっくり議論する「良識の府」

二院制で良い結論を導く
憲法では衆議院の「優位」

 


 

空から見た国会議事堂。奥が参議院、手前が衆議院〓朝日新聞社のヘリから
衆議院と参議院の主なちがい
参議院の本会議で年金などに関する法案に投票する議員たち..6月30日、国会内で

 ――国会は、みんなの生活にかかわる法律や、予算といってわたしたちが国に納めた税金の使い道を決める大事な役割がある。だから1回だけでなく、同じ法律や予算の案を2つの院でそれぞれ話し合って結論を出した方が、まちがいが少なくなるという考えからなんだ。

 ケン 衆議院と参議院にちがいはあるの? 

 ――議員の数や、当選した後に議員でいられる「任期」という期間がちがうんだ。それに、衆議院には参議院に対する「優位」が憲法で認められている。

 ポン どういうことなの? 

 ――国会が決めることの中でも、とりわけ大事だと考えられていることが3つある。税金の使い道を決める予算、外国との約束ごとを定める条約、そしてだれを総理大臣(首相)にするかの3点だ。
 これらを決めるときに、衆議院と参議院で多数決の結果がちがった場合、それぞれの代表者の話し合いがまとまらなければ、衆議院が出した結果に従わなければならないんだ。

 ジャン その3つを決めるときだけ?

 ――それ以外の法律案でも、衆議院で認められたものが参議院で認められなかった場合、衆議院がもう1度3分の2以上の賛成で認めれば法律になるんだ。

 ポン ふーん。でもそんな差をつけるのは不公平みたい。

 ――そうだね。でも衆議院の優位が認められているのは、衆議院の方が、国民の意見をより直接的に反映できる制度になっているからだ。

 ケン どういうところが? 

 ――衆議院議員も参議院議員も、選挙で選ばれたわたしたちの代表である点は変わらない。
 ただ、衆議院議員は任期が四年で、参議院議員の6年より短い。それに任期の途中でも、首相が「選挙で国民の意見を聴きたい」と言って衆議院を解散して、選挙をすることができる。この解散という制度は参議院にはない。だから衆議院の方が、国民が選挙を通じて自分たちの考えを表す機会が多いというわけ。

最近は政党の争い目立つ
存在の意義問われている

 

 ジャン だったら、参議院はなくてもいいような気がするけど。 

 ――確かに同じことを2度話し合うのは、時間のむだと思うかもしれないね。ただ、衆議院には、政党と政党が自分たちの代表を首相にするために激しく争う場という性格がある。そのため、必ずしもじっくりと議論できるわけではない。
 解散がなく、議員の任期も長い参議院は、そうした政党どうしの争いをはなれて落ち着いて審議し、衆議院の行き過ぎに「待った」をかける役割が期待されている。参議院のこうした面をとらえて、「良識の府」という言い方をすることもある。

 ポン そう聞くと参議院の方がえらいように思えてきた。

 ――今の憲法のもとで参議院ができてから、今年で60年になる。最初の参議院選挙では、どの政党にも入っていない議員がたくさん当選し、政党の枠にとらわれない自由な議論をしていたんだ。だけど最近、政党どうしの争いが持ちこまれたり、衆議院とまったく同じ議論がくり返されたりすることが目立ってきた。

 ケン 最初のねらいとはちがってきたというわけだね。 

 ――そうなんだ。だから最近は「参議院はもういらない」という人も増えてきた。そう言われないためにも、選挙のやり方を大きく変えようとか、参議院議員が大臣になるのはやめようとか、いろいろな意見も出ている。でも、まず必要なのは、わたしたちが納得できる質の高い議論をしていることをしめしてもらうことだね。

【きょうのポイント】
  ▽国会には衆議院と参議院がある。予算案などで両院の意見が合わなかった場合、衆議院の多数決結果が優先されるなど、衆議院は参議院に対して「優位」が認められている。
 ▽参議院は、任期が長く解散がないので、ゆっくりと審議ができる。そのことから、衆議院の行き過ぎに待ったをかける「良識の府」としての役割が期待されている。
 ▽最近は政党間の争いや衆議院と同じ議論のくり返しが見られ、参議院のあり方が問われている。政党の枠にとらわれない、質の高い話し合いが求められている。

(2007年7月7日)


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