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●フランス大統領にサルコジ氏●

平山 亜理記者(朝日新聞外報グループ)
 
ジャン

 フランスで大統領選挙があったみたいね?

市川 記者

 六日に決選投票があって、民衆運動連合(UMP)のニコラ・サルコジ氏が、社会党のセゴレーヌ・ロワイヤル氏に勝ったんだよ。ロワイヤル氏が当選すれば、初の女性大統領と注目されたんだけどね。

ポン

 ケッセン投票?

ジャン

 国民みんなが投票する直接選挙なんでしょ。

ケン

 何でそういう方法になっているの?

自由競争の導入など訴え決選投票を制す

首相の任命など強い権限
国民が直接投票でえらぶ

 


 

 ――日本には首相しかいないけど、フランスには大統領と首相がいる。役割を分担しているんだ。大統領がほかの国との交渉や軍事を担当して、首相は国の政治を受け持つ。
 大統領はとても大きな力を持っているので、だれがなるかが国民に大きな影響をあたえる。だから、国民が直接投票して選ぶんだよ。

 ジャン どれくらい力が大きいの?

 ――首相になる人を任命したり、議会下院(日本の衆議院にあたる)を解散したりする権利を持っている。さらに、法案などを国民投票に直接かける権利もあるから、いざというときには、議会の言うことを無視して、大事な問題を直接国民に問うことができる。

 ポン どうしてそんなに力があるの?

 ――フランスはもともと、いろいろな意見を持つ人がいっぱい政党を作って、なかなか意見がまとまらないという問題があった。それを何とかするために、ドゴール将軍という人が1958年、大統領の力を大きくして、自分で大統領になったんだ。62年には大統領を直接国民が選ぶ仕組みに変えたんだよ。

 ポン 選挙はどうやるの?

 ――まず一回目の投票をして、全体の半分より多い票をとった候補がいれば、その人に決まる。だれも半分をこえなければ、一番票が多かった人とその次に多かった人の2人で決選投票をするんだ。

 ケン 今回の選挙はどんな点が争われたの?

 ――十分な社会保障(国民が人間らしい一生を送るために必要な備え)や安定した働き口があることが、これまでフランスの福祉の目標だった。それを見直そうというのが、大きなテーマだった。
 最近は失業した若者が多く、お金のある人とそうでない人の格差が広がっている。国際化が進み、フランス人より安く働く東ヨーロッパや中国の人の労働に、企業がたよったことも背景にあるんだ。2005年には、各地で若者たちが政府へのいかりから暴動を起こした。

「もっと働き、かせごう」
EU統合に前向き姿勢

 

 ジャン 候補者は、どんな主張をしたの。

 ――フランスには、一週間に働く時間を35時間に制限する制度がある。サルコジ氏はその制度をゆるめて、「もっと働き、もっとかせごう」とうったえた。自由競争をとり入れ、会社の社会保障負担や税金を減らすというんだ。
 これに対してロワイヤル氏は「働く人の味方で、平等な社会をめざす」という考え。働いて最低限かせげる金額「最低賃金」を引き上げ、職がない人も生活できるよう保障するとうったえた。

 ポン ほかには?

 ――サルコジ氏は弁護士で、自分も移民(ほかの国から移り住んだ人)の2世なんだけど、移民には厳しい態度なんだ。特別な能力を持っている移民だけを選び、それ以外の移民は入れない考えだよ。
 反対にロワイヤル氏は、不法にフランスに入った移民も合法化すると言った。

 ジャン なぜ、サルコジ氏が選ばれたの?

 ――ロワイヤル氏は、これまでの社会党の枠をこえた政策をうったえたけど、党内で反対も多く、意見がまとまらなかったんだ。サルコジ氏は、決断力や実行力があるという印象を強く出した。その「強い感じ」で選ばれたようだね。
 ただ、サルコジ氏は弱い人に厳しすぎるという声もあり、選挙後も反対する人が暴動を起こしているんだ。

 ケン サルコジさんは、どんな問題に取り組むの。

 ――フランスは05年、ヨーロッパの国々を統合する欧州連合(EU)の憲法条約を結ぶことを国民投票で否決した。でもサルコジ氏は、EU統合の中心的な役割をフランスが再び果たす、と言っている。ヨーロッパの国々もそれを期待しているよ。

【きょうのポイント】
 ▽フランスで大統領選挙が行われ、決選投票の末、サルコジ氏がロワイヤル氏を破って大統領に決まった。
 ▽権限の大きなフランスの大統領は、国民がじかに投票する直接選挙で選ぶ。1回目の選挙で過半数を得た候補者がいない場合、上位の2人が決選投票を行う。
 ▽貧富の格差が広がる中、選挙では福祉のあり方が問われた。サルコジ氏は、労働時間の制限をゆるめて人や企業どうしの競争をうながす、移民を制限する、などを主張して当選した。

(2007年5月12日)


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