こどもアサヒ > ニュースDEジャンケンポン > ニュースDEジャンケンポン過去一覧

●「少年法」改正案が成立へ●

市川 美亜子記者(朝日新聞社会グループ)
 
ジャン

 「少年法」という法律が変わるって聞いたわ。少年というからには、わたしたちのための法律なのかしら。

市川 記者

 「少年法」の上での少年には、20歳未満の「未成年」が全部入るんだ。男子も女子もふくまれる。だから、ジャンもケンもポンも対象になっているよ。法律に違反するようなことをしたり、非行に走ったりした子どもたちの心身を正常な状態にもどし、そのために必要な処分をしたりするのが目的でつくられた法律だよ。今開かれている国会でこの法律を部分的に変えるための「改正案」が話し合われているんだ。 

14歳未満も警察が調査、少年院送致12歳から

家裁が認めれば可能に
小6の事件などきっかけ

 


 

イラスト・細川麻美

 ケン 「少年法」のなにを変えようとしてるの。

   ――14歳未満の少年に対して、警察などが強制的に調査をできるようになったことが大きい。
 これまでは、法律に違反する行為をしても、14歳未満なら、警察は、その子の家に強制的に立ち入って証拠を持ち帰ったりする権限はなかったんだ。「調査が十分できないと、事件の本当の原因がわからず、事件を起こした子の立ち直りにもつながらない」という意見から、法律を変えることになったんだ。

 ジャン 14歳より小さい子でも少年院に入れられるようになるんでしょ。

 ――よく知っているね。今の法律では、少年院に入るのは、14歳以上と決まっていて、14歳未満なら少年院ではなく「児童自立支援施設」というところに入り、学習や農作業を通して学びながら、心身を直していたんだ。
 でも今度の法律では、家庭裁判所が「必要だ」と考えれば「少年院」で職業訓練などできたえ直されることになる。

 ケン ポンのような小さな子でも少年院に入るの。

 ――もともと、政府は「何歳より小さい子は入れない」という「下限」はつくらない予定だったんだ。でも、国会議員が話し合って「おおむね12歳以上」の子しか入らないことになったよ。
 少年院も、これまでよりも幼い子たちを受け入れられるように、態勢を整備するつもりだよ。

 ジャン もともとの法律を、なんでこのように変えることになったの。

 ――今から3年前に、長崎県佐世保市で小学六年生の女の子が同級生をカッターナイフで切って殺してしまった事件は覚えているかな。

 ジャン うん。わたしと変わらない年齢の子が大きな事件を起こしたから、びっくりしたわ。

 ――そういった事件をきっかけに「14歳以上の子だけではなくて、14歳未満の子も警察が調査したり、少年院に入れたりできるようにしたい」という声が高まったんだ。

被害者「真相解明へ一歩」
弁護士会は「厳罰化」反対

 

今月から始まった高松塚古墳の石室を解体する作業。つり上げられた北側の壁の真ん中に壁画が見えます=4月17日、奈良県明日香村で、代表撮影

 ケン 法律ができるのを、待っている人はいるの。

 ――14歳未満の少年の事件の被害にあった人たちだね。こうした事件で大切な人を亡くした人たちがつくっている「少年犯罪被害当事者の会」の武るり子さんは、息子さんを少年事件で亡くした人だ。「真実が解明できるようになって、やっと一歩前に進む」と言っているよ。

 ポン 反対している人もいるの。

 ――弁護士でつくる日本弁護士連合会の人たちは「罰を厳しくすることばかりが優先されて、子どもを育て直すという点がおろそかになっている」として反対をしているよ。子どもたちが警察に調査をされた場合に、こわくて本当のことを話せなくなってしまう可能性があると心配しているよ。
 でも弁護士さんの意見を採り入れて、法案がずいぶん変わった部分もある。たとえば、重大事件で拘束された少年に、国のお金で弁護士(付添人)を付ける制度ができるんだよ。

【きょうのポイント】
 ▽少年法は、法律に違反するようなことをしたり、非行に走ったりした子どもたちの心身を正常な状態にもどし、そのために必要な処分をするのが目的でつくられた法律。
 ▽今、開かれている国会で少年法を部分的に変えるための「改正案」が話し合われている。今の法律では「14歳以上」とされている少年院に送ることができる年齢を「おおむね12歳以上」に引き下げる、などが盛り込まれた。
 ▽2004年に長崎県佐世保市で起きた小学6年生による同級生の殺害事件などがきっかけで、法改正が話し合われてきた。「14歳未満の子も警察が調査したり、少年院に入れたりできるようにしたい」という声が高まったため。しかし、日本弁護士連合会は、「罰を厳しくすることばかりが優先されて、子どもを育て直すという点がおろそかになる」として反対している。
【少年法改正案】
 刑罰をともなう法令にふれる行いをした14歳未満の少年(触法少年)への対応を厳しくするように、少年法を改める法案。4月19日、衆議院本会議で与党の自民党と公明党の賛成多数で可決、参議院へ送られました。今の国会で成立する見通しですが、「12歳以上の理由の議論が不十分」などといった声もあります。
【佐世保の事件】
 2004年6月1日、佐世保市の大久保小で6年生の御手洗怜美さんが同級生の女の子にカッターナイフで首を切られて亡くなりました。加害者の女の子は、児童自立支援施設に送られました。

(2007年5月5日)


朝日学生新聞社のホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。
すべての著作権は朝日学生新聞社に帰属します