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大久保 泰記者(朝日新聞社会グループ)
この冬はあたたかい日が多いね。
去年の豪雪とちがって暖冬になっているよ。
タンポポがもう、さいたとか?
各地で記録的な早ざきになっている。
あたたかいほうがいいけどなあ。
そうばかりもいっていられない。こまっている人たちもいるんだ。
どんなことで?
エルニーニョで「西高東低」の気圧配置が崩れる
――北陸地方の雪は平年の10%しかふっていない。これまでのうち、もっとも少なかった1988〜89年の冬が平年の30%だった。それを大幅に下回っている。このため、営業できないスキー場もあるんだ。群馬県高崎市の榛名湖は、凍結しないために、湖面に穴をあけてつるワカサギつりができなくなった。青森冬まつりも中止になったよ。
ジャン そういえば、東京でも雪がふっていないね。
――そうなんだ。気象庁に記録がのこっている1876年(明治9年)以来、東京都心(千代田区)で初雪がもっともおそかったのが1960年(昭和35年)の2月10日。ことしはこれよりもおそくなりそうだ。これまで東京で雪がふらなかった冬はないんだ。
ポン なぜそんなに雪が少ないの?
――テレビの天気予報なんかで「西高東低の冬型の気圧配置」って聞いたことない?
ケン 高気圧と低気圧のことだよね。
――そう。日本の西側のシベリア付近に高気圧があり、東の太平洋付近に低気圧があることなんだ。冬によく見られる気圧配置で、高気圧のあるシベリア大陸から冷たい北西の風が、列島に向かってふきこむ。
日本海には対馬暖流が流れ、冬でもあたたかい。かわいた冷たい風が日本海を通ると、あたたかい水蒸気があるために雪雲が発達し、北陸地方などに大雪をもたらす。この冬型のパターンがことしは少ない。
ポン どうして?
――日本の南東に高気圧ができやすくなっているからなんだ。そのせいで「西高東低」でいう東側の低気圧ができにくいんだ。「エルニーニョ現象」って聞いたことがあるかな?
ジャン 赤道の海水温が高くなるんだっけ?
――そう。南アメリカのペルー沖から太平洋の真ん中ぐらいまでの赤道付近の海水温がいつもの年より高くなる現象だよ。そうなると、東からふく貿易風が弱まって、インドネシア付近で活発な雨雲が、太平洋の中心あたりにくるようになる。
ある場所で上にのぼった気流は、別の場所で下におりるように、地球規模の大気の流れがあるんだ。気象庁は、インドネシア付近の天気の変化が、日本の南東付近に高気圧をつくりやすくしているとみているよ。
ケン だったら、日本だけでなく、ほかの国でもいつもの冬とちがうの?
――ヨーロッパでは北部を中心に暖冬がつづいているし、北アメリカや南アメリカでは記録的な高温となっている。オーストラリア南部では雨がふらず、干ばつや森林火災があいついでいる。
ケン 暖冬はつづくのかな?
――気象庁は、エルニーニョ現象は春までつづくとみている。2.月もあたたかい日が多いと予想している。
ジャン 地球が温暖化しているとかいわれているけれど。
――この冬の暖冬に温暖化がどのくらい影響しているかはわからない。ただ、気象庁が予測する今世紀末(2100年ぐらい)は、冬場の気温の上昇で北陸地方の雪は半分くらいにへるとみている。この冬と似ているよ。
世界の科学者らがまとめた最新の予測では、世界の気温は百年後には1.8〜4度上昇するとなっている。海面の水位も18〜59センチ上昇すると予測されている。
「暖冬だからあたたかくていいな」とばかりもいっていられないんだ。わたしたちのまわりの気象や気候について関心を持っていこうね。
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【きょうのポイント】
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▽この冬は記録的な暖冬。北陸ではふだんの年の10パーセントしか雪がふらず、東京ではもっともおそい初雪の記録をこえそう。
▽冬はふつう「西高東低」の気圧配置になる。かわいた冷たい風が北西からふきこみ、日本海の暖流で湿気をふくんで、北陸などに大雪をもたらす。
▽暖冬の原因は、日本の南東に高気圧ができやすく、「西高東低」になりにくいため。赤道付近の海水温が上がる「エルニーニョ現象」が影響している。暖冬と地球温暖化がどこまで関係あるかは、よくわかっていない。
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(2007年2月10日)
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