|
竹中和正記者(朝日新聞経済政策グループ)
「食品の値段が上がって困るわ」って、買い物から帰ってきたママがいってた。
えーっ、大好きなお菓子も高くなっちゃうの?
お菓子だけでなく、スパゲティやインスタントラーメン、パン、マヨネーズ、ソーセージ、ハム、魚の缶詰なんかも値上がりしてるんだよ。
どうして急にそうなったの?
小麦の不作、石油の高値などが原因だよ
――お菓子やパン、インスタントラーメンは、原料に使う小麦が世界中で、去年の2倍に値上がりしているからなんだ。
小麦の大きな産地のオーストラリアやウクライナは、干ばつで不作。そのうえ、石油のかわりに使うバイオ燃料の生産が盛んになって、燃料の元になるトウモロコシを作るために、アメリカなどでは小麦畑が減らされているのも影響している。そのトウモロコシや大豆の値段も上がっているんだよ。
ケン 世界の小麦の値段が、なぜそんなにぼくたちの食べ物の値段に関係するのかな。
――日本は、小麦の多くを外国からの輸入にたよっているからだよ。わたしたちが食べている食料のうち、どのくらいが国内で作られているかを示す割合を自給率と呼ぶんだ。カロリー(栄養学で使われる熱量)で計算した場合、パンやめんなどに使う小麦の自給率は13%、油などになる大豆はたった5%しかない。
君たちが好きな料理だと、カレーライスなら材料の自給率は57%、ラーメンは14%、ハンバーグは13%といった具合だ。日本全体の自給率は約40%で、残りはみんな外国から買っている。
ジャン お肉の値段が上がっているのはなぜなの。
――牛やブタ、ニワトリを育てるには、大豆から油をしぼったあとのかすや小麦をえさに使うからなんだ。中国など経済が急成長する国で肉を食べる機会が増えて、肉を買いたい人が増えていることも原因のようだよ。
ケン じゃあ、魚の値上がりは?
――魚の場合は、アメリカやヨーロッパが関係している。もともとはあまり食べなかったんだけど、最近は健康にいいなどと魚を食べるのがブームになっていて、マグロやカツオを競うようにして買っているんだ。
|
石油は輸送・包装費に影響
企業努力も限界という声も
|
ジャン この前、ドライブに行ったとき、パパが「ガソリンの値段が上がった」っておこってた。
――ガソリンの元になる石油の値段が上がっているからだね。石油の値上がりは、食品の値段にも影響しているんだよ。
ポン えっ、石油から食べ物を作るの?
――そうじゃなくて、海外から食品の原料を運ぶ船の燃料費が上がるからなんだ。袋やカップなど食品の包装も石油でできているものが多いから、影響を受けるんだよ。
ケン 今まで、原料の値段が上がったことはなかったの。
――もちろんあるけど、上がったからと、食品会社がすぐに商品を値上げしていたわけではないんだ。インスタントラーメンやカレーだと、十数年ぶりの値上げという会社もある。原料以外にかかるお金を減らす工夫などで、できるだけ値上げをしないできた。お菓子は、値上げをしないかわりに、一箱あたりの量を減らした会社もある。でも「もう限界だ」といっている。
ポン ママは熱心にチラシを見て、一番安いスーパーで買い物をしているよ。値上げしないお店はないの?
――スーパーも、お客さんがほかの店に行くことを心配して、なかなか値上げをしたがらない。コンビニでも、値上げをするかどうか会社によってまちまちだよ。
でも、このままずっと値上げをしないと、スーパーなどお店や会社のもうけが減って、そこで働いている人も困ってしまう。そう考えて、値上げをする店も増えているんだ。
|
【きょうのポイント】
|
▽小麦の不作などで、お菓子やパンが値上がり。世界中で食べる人が増えたりして、肉や魚も高くなった。石油の値段が上がり、輸送費や包装費が高くなったことも影響している。
▽日本の食料の値段が世界の状況に影響されるのは、食料の多くを輸入にたよっているから。日本の食料自給率は約40%しかない。
▽食品会社は原材料が高くなった分、ほかの費用をおさえて値上げをしないようにしてきた。しかし限界まできて、多くの会社が値上げにふみ切っている。 |
(2007年10月20日)
|