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飯竹 恒一古記者(朝日新聞外報グループ)
台湾で新幹線が開業したんだって?
うん。日本の新幹線システムが初めて輸出された台湾高速鉄道のことで、台湾新幹線ともよばれている。
でも、運転士さんはフランス人って聞いたけど。
そうなんだ。新幹線技術は日本やヨーロッパがきそい合っているからね。
日本の目と鼻の先にある台湾なのにね。どんな競争があったのかしら。
途中で乗り換え 日本とヨーロッパの混合型に
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| 1月5日、台北郊外の板橋駅を出発する台湾新幹線の一番列車。日本の新幹線「のぞみ」を改良した車両です |
ケン 台湾新幹線はどこからどこまで走るの?
――台湾の南北の2大都市、台北―高雄間の345キロで、ほぼ東京―名古屋間の距離にあたるよ。今月5日に開業したのは台北郊外の板橋と高雄の間で、全線開業は2月以降になる予定。かかる時間は最短90分で、台湾のニュースは「交通新紀元(交通の新しい時代の始まり)」だと大さわぎだ。
ジャン 料金はいくらなの?
――全線開業したさいの正式料金は、台北―高雄間が1490台湾ドル(約5500円)なんだ。
ケン 車両は、日本の新幹線に近いよね。
――白とオレンジのツートンカラーに黒い一本線が走る車両は「のぞみ」700系を改良した700T型だよ。
ポン じゃあ、何でフランス人が運転士なの?
――台湾で1990年代初めから計画された高速鉄道は最初、フランス、ドイツのヨーロッパ(欧州)連合に工事をたのむとみられていたんだ。ところが99年、台湾中部に大地震が起きた。
ジャン 大変だったのね。
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日本から台湾に向けてつみ出される新幹線の車両=2004年5月、兵庫県の神戸港で |
――うん。ただ、日本にとってはそれが有利に働いた。台湾側が「地震にも強い日本の新幹線を」と方針をかえたからね。当時の台湾のトップ・李登輝総統は、日本びいきだったから、それも影響したとみられているよ。
ジャン それなら日本人運転士が登場するべきじゃない?
――そうかんたんにはいかなかった。
ポン 何で?
――方針をかえたために、新幹線の心臓部分ともいえる信号や通信にかかわる会社に損失が出てしまったこともあり、欧州方式にたずさわってきた関係者が、日本式を全面的にとり入れるのをこばんだ。その結果、「日欧混合」とよばれる独特の形になった。
ケン 日本の新幹線は「開業以来、鉄道事故による乗客の死傷者ゼロ」と聞いたことがあるよ。その実績も引きつぐことができるのかな。
――不安はあるというよ。去年9月から始まった台湾人の運転士への教育は、フランスの新幹線(TGV)を運転していたフランス人運転士が英語で行っている。しばらくは、列車指令室の中心にすわるのもフランス人らしいよ。ことし半ばから台湾人運転士にかわるらしいけれどね。
ジャン 開業は何度も延期されたんでしょ。
――そう。工事が難航したり、運転士を育てるのがおくれたりで、3回ものばされた。テレビ局の調査では、74%の人が「安全面が心配」と答えているとのことだよ。
ケン 今回の台湾新幹線が、日本の新幹線技術をもっと世界に輸出するきっかけになるといいんじゃない?
――そうだね。中国の北京―上海間のほか、ロシアでも高速鉄道の建設計画が持ち上がっているからね。
ただ、台湾の場合と同じく、フランスやドイツなどとの競争もはげしくなりそうだ。それに、中国は独自技術の開発による「国産化」をめざしていて、各国をきそわせる形で、安く技術をとり入れたいと考えているだろう。「世界進出」はかんたんではないんだよ。
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【きょうのポイント】
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▽日本の新幹線の技術をとり入れた「台湾高速鉄道」が今月、一部をのぞいて開業した。台湾の二大都市、台北(タイペイ)と高雄(カオション)をむすぶ。
▽最初はヨーロッパの技術で工事を進めていたが、1999年の大地震をきっかけに、日本の技術に変更した。そのため両方の技術がまざった独特の形に。
▽高速鉄道の計画は中国やロシアにもある。台湾新幹線の成功が、日本の新幹線技術のさらなる輸出につながる可能性も。 |
(2007年1月20日)
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