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●アメリカ産牛肉の輸入再々開●

佐藤 泰記者(朝日新聞経済部)
ジャン

 アメリカ産の牛肉が売られ始めたって新聞で読んだけど、たしか去年も同じようなニュースを読んだおぼえがあるわ。

佐藤 記者

 アメリカ産牛肉は、去年十二月にいったん輸入が再開されたけど、ことし一月にふたたびストップしたんだ。今月に入ってようやく「再々開」したよ。

ケン

 あれ? 二度目は何でストップしたんだっけ。

日本の専門家が現地の施設をチェックして許可

BSE危険部位の除去
全部の箱を開けて確認

 


箱をあけて検査される、アメリカからの輸入牛肉〓八日、成田空港で

  ――牛の脳がスカスカになって死んでしまう牛海綿状脳症(BSE)の原因物質は、牛の背骨や脳などにたまりやすい。BSEの牛が見つかって、アメリカ産の牛肉の輸入は二〇〇三年十二月から停止された。輸入を再開する条件として、日本とアメリカの政府は、こういう危険な部位を牛肉からかならず取りのぞくことを約束したんだ。
 ところが、一月にアメリカから輸入した牛肉に、入れてはいけないはずの背骨がまじっているのが見つかった。約束がやぶられたため、日本はふたたび輸入を停止したんだよ。

 ポン 「再々開」を決めるまでには、どんなことが話し合われたの?

 ――去年、輸入を再開したときは、アメリカの牛肉処理施設で危険な部位がきちんと取りのぞかれているか、アメリカ側に確認をまかせたんだ。でも、背骨がまじるミスをふせぐことができなかった。
 その反省から、日本とアメリカの政府でまた話し合って、輸入再開の前に、今度は日本の専門家をアメリカに派遣することにした。日本向けの牛肉を処理する施設で、安全のための作業が正しく行われるかを事前にチェックするためだ。

 

 ジャン じゃあ、今度輸入がみとめられた施設は、日本の専門家が「だいじょうぶだ」としたところだけなのね。

 ――そうだよ。農林水産省と厚生労働省の専門家が六月から七月にかけて、アメリカ国内の三十五の施設を事前に調査した。そのうち三十四施設には「大きな問題は見つからなかった」と「お墨つき」をあたえた。のこりの施設も八月なかばに許可され、合計三十五施設が日本に輸出できるんだ。それにしばらくは全部の箱をあけて、危険部位がまざっていないか確認もする予定だ。

 ケン それで十分な量の牛肉はまかなえるのかな?

 ――輸入がみとめられたのは、BSEの原因物質がたまりにくい生後二十か月以下のわかい牛にかぎられている。輸入が再開されても、一頭からとれる量が少ない、牛丼用のバラ肉やタン(舌の肉)は不足しそうだよ。

原産国表示の枠が拡大
加工品全部には難しい

 

 ポン これからもおなかいっぱい食べられないの?

 ――アメリカからの牛肉が入ってこない間に、オーストラリアなどほかの国からの輸入はふえたよ。これまでアメリカ産牛肉を使っていた牛丼チェーンや焼き肉屋にも、オーストラリアや中国の肉に切りかえる動きが広がっている。アメリカの業者も日本への売りこみに懸命だから、「牛肉を食べたいけど食べられない」という状況にはならないはずだよ。

 ジャン お店で売られている肉は、どこの国のかわかるのかしら?

 ――原産国を表示する義務があるのは、生の牛肉だけなんだ。輸入した牛肉に塩やコショウをまぶしたり加熱したりすると、「加工品」となって、産地を表示しなくてもよくなるんだよ。

 ケン えー! じゃあ、まだアメリカ産牛肉は心配だと思っている人でも、知らない間にアメリカ産牛肉を食べてしまうかも。

 ――十月からはタレにつけたカルビ肉とか、表面だけあぶったタタキのような「生に近い加工品」の牛肉は、産地を表示することが義務づけられる。でも、タマネギとかがまじったハンバーグや、中まで熱が通った肉などは、「牛肉の産地の特定がむずかしい」という理由で、十月以降も原産国を表示しなくていいんだよ。

 ジャン やっぱり、まだちょっと心配。

 ――国会や政府にも、原産国を表示する範囲をもっと広げるべきだ、という意見はある。でも、技術的にむずかしい点もあるので、すべての牛肉加工品に原産国の表示を義務づけるのは、これからもむずかしそうだね。

【きょうのポイント】
 ▽アメリカ産牛肉の輸入が今月から「再々開」された。2003年12月の停止、05年12月の再開、06年1月の再停止につづいての再々開。
 ▽牛海綿状脳症(BSE)の危険部位がちゃんと取りのぞかれているか、事前に日本の専門家がアメリカの牛肉処理施設をチェックした。許可した施設からだけ輸入される。
 ▽10月から「生に近い加工品」の牛肉は、原産国を表示しなければいけなくなる。しかし、技術的な問題もあり、牛肉の加工品すべてに表示をするのはむずかしい。

(2006年8月20日)


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