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山本 智之記者(朝日新聞科学医療部)
南の海にうかぶ小笠原諸島(東京都小笠原村)が、世界自然遺産になるかもしれないんだって。
小笠原って、どこにあるんだっけ?
小笠原諸島は大小三十あまりの島々で、一番大きな父島は東京の都心から千キロほど南にはなれている。父島と母島には、計二千四百人ほどがくらしているんだ。世界でここにしかいない動植物が多いので、環境省などが日本で四番目の世界自然遺産に推薦しようとしているんだよ。
へー。どんな生き物がいるのかな?
コウモリなど固有種守る、外来種の駆除が条件
――たとえば、国の天然記念物の大きなコウモリが有名だね。「オガサワラオオコウモリ」といって、世界中で小笠原にしかいない。父島で、自然観察ガイドの人に案内してもらったら、円をえがくように夜空をとび回っているようすを見ることができたよ。
ポン ほかには?
――めずらしいカタツムリもたくさんいるよ。東北大学の千葉聡・助教授によると、もともと島にすんでいるカタツムリ九十五種のうち、世界で小笠原でしか見られない「固有種」は八十八種もいるんだ。
ジャン どうして固有種が多いの?
――小笠原の島々は、過去に一度も大陸と地つづきになったことがない。こういう島を「海洋島」というんだ。広い海にへだてられているから、たまたま島に流れ着いたり、空からとんできたりした生物が、長い年月のうちに独自の進化をとげたんだ。
植物も固有種が多い。母島のジャングルにたくさん生えている「マルハチ」という巨大なシダの仲間も固有種だし、白い花をさかせる「ムニンツツジ」は、野生のものは世界中で父島にしか生えていないんだ。
ケン すごい。それじゃ、世界自然遺産は確実だね!
――それが、そうかんたんにはいかないんだ。もともと小笠原にいなかった「外来生物」がたくさん入りこんで、固有種の生き物がへりつつある。この問題に解決の見通しがつかないと、世界自然遺産への登録はむずかしいといわれている
。
ジャン どんな生物が入ってきたの?
――小笠原の上空を飛行機でとぶと、草がなくなり、赤土がむき出しになっている島がある。これは、人が家畜として持ちこんだヤギが野生化して、草を食べつくしてしまったせいなんだ。
アメリカ原産のグリーンアノールというトカゲは、固有種のチョウやセミなどの昆虫を食べて爆発的にふえ、いまでは父島と母島に推定で六百万匹もいる。
ポン たいへんなことになってるんだね。
――アフリカマイマイという外来種のカタツムリも多い。そのせいで、陸上にすむヤドカリで天然記念物のオカヤドカリは、いまでは大部分がアフリカマイマイの殻に入ってくらしているほどだ。植物の世界でも、人が植えたアカギなどの外来樹木が勢力をひろげたせいで、固有種の樹木などがへっているそうだよ。
ジャン いったいどうしたらいいの?
――固有種を守って、小笠原の本来の自然をとりもどすために、国や東京都などが外来生物の退治を進めている。たとえば、アカギは、木の皮をそぎとって枯らせたり、若い苗を手でぬきとったりといった地道な作業がつづけられている。
ポン ほかは?
――ヤギは、父島などにはまだたくさんのこっているけれど、島によっては完全に捕獲できたところもある。ただ、貴重な昆虫を食べつくすグリーンアノールの本格的な駆除(取りのぞくこと)は、まだ計画ができたばかり。世界自然遺産に名乗りを上げるのをきっかけに、小笠原の大切な固有種の生き物を守る取り組みを、ぜひ強めてほしいね。
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【きょうのポイント】
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▽東京の南約1000キロにある小笠原諸島は、そこにしかいない動植物「固有種」の宝庫。日本で4番目の世界自然遺産への推薦(すいせん)が考えられている。
▽小笠原は大陸と地つづきになったことがない。空や海からたまたま島に入った生物が、独自の進化をしたために固有種が多い。
▽もともと島にいなかった「外来生物」が入りこみ、固有種がへりつつある。世界自然遺産への登録のために、外来生物の駆除(取りのぞくこと)が始まっている。 |
(2006年7月22日)
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