|
松村 北斗記者(朝日新聞社会部)
ウィニー(Winny)ということばを聞いたことがあるかな?
ぼく、ウインナソーセージなら大好きだけど……。
音楽やゲームソフトなどをインターネット上でやりとりするためのしくみだよ。便利だけど、秘密にしている情報が勝手に公開される危険もある。実際、役所や企業などの大事な情報がもれるケースがあいついで、問題になっているんだよ。
ネットを通じて秘密の情報が次々もれる
 |
|
イラスト・なかむらひろし
|
ジャン どんなしくみになってるの?
――まず自分のパソコンにウィニーのソフトを組み入れて、インターネットにつなぐ。すると、ウィニーを組み入れたほかの何千台ものパソコンと、ネット上で網の目のように特別な連絡網がつくられるんだ。
ケン その連絡網はどう使われるの。
――たとえばケンくんが「ある映画がほしいよ」とウィニーを使ってたのむと、その映画を持っている知らない相手から映像が連絡網を通じてとどくんだ。自分が手にした映画をほかの人にあげることもできる。こうして情報を交換できるので「ファイル交換ソフト」とよばれているよ。
ジャン パソコンのメールでデジタルカメラの写真を送るのとどうちがうの。
――ウィニーは網の目のようにむすびついた何台ものパソコンが、次々とバケツリレーをするように情報を運ぶんだ。でも、だれからとどいたのかはわからない。運び役のパソコンの持ち主も、自分のパソコン内をどんな情報が通っているのかは、わからないんだ。そこが、やりとりの相手がわかっているメールとのちがいだよ。
ポン いつ登場したの?
――東京大学大学院の元助手が開発し、二〇〇二年に公開された。音楽やゲームソフト、映画を無料で手に入れることができることから、十代の若者の利用が多いという調査結果もあるよ。
ジャン 便利そうね。
――でも危険がいっぱいあるんだ。とくに深刻なのは、自分の情報が知らないうちにウィニー上に公開されてしまうこと。パソコン内の秘密の日記が、クラスのみんなに知られてしまったら大変だよね。
ジャン そんなのいやだ。なぜそうなっちゃうの。
――ウィニーで感染するコンピューターウイルスのせいだ。とどいた映像を開くなどすると感染することがある。警察が事件を調べて得た捜査情報や、自衛隊の秘密の情報、企業が保管しているお客さんや取引先の住所や名前などが、ウイルスに感染したパソコンから流出する例が次々に起きているよ。しかも、いったん流れ出ると短い間で多くの人に広がってしまい、消すことができないんだ。
ケン 情報がもれないようにきちんとすればいいんじゃない。
――うーん。ウイルスを取りのぞく専用ソフトをパソコンに入れても、新しいウイルスが次々に登場しているし、ソフトが対応するまでの間に感染してしまう危険があるんだ。
ポン 大変だ。
――もうひとつ。音楽や映画はつくった人に著作権があり、個人が楽しむ以外のために勝手にコピーしてはいけないんだ。ネット上で多くの人が自由に複製できるようにするのも作者や映画会社の許可が必要だ。
ジャン 著作権は大事だって、パパがいってたわ。
――ウィニーはこの点でも問題があって、映画やゲームを不特定の多くの人が手に入れられる状態にしていた少年(当時十九歳)らふたりが、映画会社などの著作権をおかしたとして警察に逮捕されたことがある。ウィニーを開発した東大元助手も、著作権をおかす行為を手助けしたとして逮捕され、裁判がつづいているよ。
ケン へえ、知らなかったよ。
――結局、一番安全なのはウィニーを使わないことなんだ。ウィニーを使わなくても多くの種類のウイルスがあるので、家や学校のパソコンもウイルス対策ソフトを使うことが大切だよ。
|
【きょうのポイント】
|
▽ウィニーは、インターネット上で音楽、映像、文書などのファイルを交換するソフト。パソコンに組み入れてインターネットにつなぐと、ウィニーを組み入れたほかのパソコンと、ネット上で特別な連絡網がつくられる。
▽ウィニーを持つパソコンの間で情報を自由にさがして、ほしい情報があればコピーできるしくみだが、ウィニーを通じて個人情報などが流出する被害があいついでいる。ウィニーで感染するコンピューターウイルスが原因。流れ出すと短期間に広まり、消すことができない。
▽音楽や映画などをつくった人の許可をえないで交換することで、著作権をおかす問題も起きている。 |
(2006年4月2日)
|