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石川 尚文記者(朝日新聞経済部)
最近、ニュースで「日銀」ってよく聞くけど、どうしてなのかな。
日銀、つまり日本銀行が今月、五年ぶりに政策を大きくかえたからだよ。
でも政策っていったら国とか県とかが決めることなんじゃないの。
日銀は、ひとつの国にひとつしかない「中央銀行」なんだ。特別の法律があって、日本の「お金」の政策について、いろんなことを決められるんだよ。
金利の上げ下げを使って物価を安定させる
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「量的緩和」は
こういう仕組みだった
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イラスト・藤井龍二
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――日銀とお金を貸し借りできるのは、日銀以外の銀行や政府だけで、ふつうの会社や個人はだめなんだ。だから日銀は「銀行の銀行」ともよばれるよ。
ケン 銀行の銀行って何をするの?
――銀行どうしのお金のやりとりの中継ぎをしているよ。そのために、たいていの銀行は日銀に預金口座を持ってるんだ。そして、銀行は、日銀の口座にあるていどお金を入れておくことが義務づけられている。お客さんが銀行に急にお金を引き出しにきたときに、はらえるようにという準備なんだ。
ジャン さっき、「お金の政策」っていってたのは?
――じつは、日銀が一番大事にしなければいけない仕事は、物価を安定させることなんだ。ものの値段がどんどん下がる「デフレ」、ぎゃくに上がりつづける「インフレ」って聞いたことあるかい。このどちらでもないのが、物価の安定さ。
ポン アイスの値段は下がったほうがうれしいよ。
――アイスだけ安くなるのならいいけど、ものの値段が全体として下がると、ものを売ったり、お金を借りたりしている会社がこまってしまう。それで、おうちの人の給料がへったり、仕事がなくなったりすれば、ポンちゃんのおこづかいもへっちゃうよ。
ジャン でも、物価って、どうやって安定させるの?
――ふつうは金利の上げ下げを使うんだ。金利というのはお金を貸し借りするときにつく利子の割合のことだ。
お金を借りるなら利子が少ない方がいいよね。だから、金利を下げると、お金を借りる会社がふえて、借りたお金で材料をたくさん買ったり、働く人をやとったりする。買いたい人が多くなると、材料の値段や給料は上がるよね。つまり、金利を下げると物価は上がり、金利を上げると物価は下がるんだ。
ケン 日銀は金利を決められるの?
――銀行どうしが、短期間で貸し借りするときの金利を動かすことができる。そこから銀行を通じて、世の中全体に影響が広がるよ。
その金利が七年前にゼロパーセント(%)になった。でも物価は下がりつづけた。金利をゼロ以下にはできないから、物価を上げる方法はもうないと思われた。
ケン それで?
――日銀は二〇〇一年三月に「量的緩和政策」というのを始めたんだ。「緩和」は「ゆるめる」こと。かんたんにいうと、銀行にお金をたくさん持たせようという政策さ。水道にたとえると、日銀が、お金の蛇口をゆるめ、世の中にお金がたくさん回るようにした。
ジャン どんな方法で?
――銀行が会社や国にお金を貸した証拠の書類を日銀が買いとって、銀行の手持ちのお金の量をふやしたんだよ。日銀の口座にある銀行の預金を、三年間で約八倍にふやした。
ジャン それ、いいことあったの?
――銀行の手持ちのお金がふえれば、会社などへの貸し出しがふえて、物価も上がると考えたんだ。この効果はあまりなかったとみられている。
ポン 意味がなかったの?
――そうでもない。短期間の金利はだいぶ先までゼロがつづくとみんなが思うようになり、その影響で、長い期間の貸し借りの金利も下がったんだ。そして今月、物価が上がり始め、景気もよくなってると判断して、この政策を終わりにした。
ケン 短期の金利も上がったの?
――いまは〇%のままだ。日銀は「短期金利は急いで上げない」といってる。お金の政策は、国民みんなの生活に大きな影響をあたえるのだから、十分慎重にやってもらいたいよね。
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【きょうのポイント】
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▽日本銀行(日銀)の重要な仕事は、物価を安定させること。日銀が銀行にお金を貸すときの金利で、物価を調節する。
▽金利を下げると物価が上がり、上げると物価が下がる。金利をゼロまで下げたが、物価が上がらないため、5年前に量的緩和政策がとられた。
▽銀行が会社などにお金を貸した証書を日銀が買いとり、銀行の手持ちのお金をふやすのが量的緩和政策。物価が上がり始めたので、今月で終わりにした。 |
(2006年3月25日)
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