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柏原 精一記者(朝日新聞科学医療部)
ことしはサクラが早くさくみたいね。高知ではもうさいたんですって?
高知地方気象台が十五日に、全国のトップを切って開花を発表したよ。統計を取り始めた一九五四年以降、二番目の早さだそうだ。
冬は寒かったし、雪もたくさんふったから、おそくなると思ってたのに。
サクラは、あたたかければ早くさくともいえないんだ。
さく時期は、何と関係あるの?
季節の変化知るとても正確な基準のひとつ
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春を感じさせる満開のソメイヨシノ。生物季節観測の大切な指標にもなっています〓写真上、去年四月、東京都内で。丸写真は十五日に開花が発表された高知城のソメイヨシノ
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――サクラの花の芽は、前の年の秋にはできていて、そのままねむってる。二月の中ごろに目をさまして、さく準備を始めるのだけど、目ざめるのには寒さが必要なんだ。つまり、十二月、一月があたたかいと、なかなか目をさませない。そのあとは、気温が高いほど早くさくことになるんだけどね。
ジャン 起きられなかったら遅刻だ!
――「うさぎとかめ」のうさぎさんじゃないけど、それからあわててもおいつかない。南国の鹿児島より、雪国の金沢(石川県)の方が早くさくってことが、最近よくある。温暖化が進んで、鹿児島の冬がサクラにとってあたたかくなりすぎているんだろうね。
でも、ことしの冬は鹿児島も寒かったから、「開花が早く、南から北へとさいていく」という予報になるわけだ。
ポン 開花日といっても、だれがどうやって調べているの?
――気象庁という役所が、国の仕事としてやってるんだよ。毎年ちがう木じゃ正確な観測にならないから、使う木も決められている。サクラの場合は、北海道をのぞいて、ソメイヨシノという品種。開花日とは「その木の花が数個ほど開いた」状態のことだと決まっている。
ジャン サクラ以外にも調べてるの?
――植物ではほかに、タンポポ、ススキの開花だとか、イチョウの紅葉日だとか。動物でも、ウグイスが初めて鳴いた日、モンシロチョウが初めて見られた日などが調べられていて、全部で二十三種の二十七項目になる。「生物季節観測」っていうんだ=右の表を参照。
ケン サクラ前線とか、紅葉前線とかいうのがそれ?
――日本地図の上で、同じ日に観測された地点を線でむすんでいく。地図の等高線みたいなもんだ。そうすると、日本の中で季節がどう進むのかよくわかる。正しくいえば、そうやって季節が進んでいく一番先の線が「前線」ということだよ(上の図はことしの予想)。
ポン なぜ毎年、そんなことを調べなくちゃいけないの。
――村はずれのサクラがさいたら、なわしろ(イネの苗を育てる田)づくりにとりかかろうとか、昔の人たちは身のまわりの自然を、日々の生活の目安にしてきた。その知恵を現代にも生かそうってことかな。
季節のうつりかわりは気温の変化だけではなかなか実感できないと思う。ツバメが来たとか、ホタルがとんだとか、そんなことの方がわかりやすい。温暖化を実感できるという意味でも、生物季節観測の意味は大きくなっていると思うよ。
ジャン その中でも、サクラは特別だって聞いたことがあるけど。
――ソメイヨシノは、江戸時代の終わりごろにつくられた品種だけど、一本の木からつぎ木でふやされてきた。だから、どれをとっても性質が同じ。同じ場所なら、さくのも散るのもいっしょでしょ。全国のすべての木が、同じ根っこでつながっているようなものなんだ。
これは、季節をはかるための、とても正確な機械を各地においているのと同じだね。こんなものは、ほかの国にはない。「特別」っていうのはそのことをいってたんだと思うよ。
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【きょうのポイント】
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▽サクラの開花、ウグイスの初鳴きなど、生物で季節のうつりかわりを調べることを「生物季節観測」という。気象庁が23種の27項目について調べている。
▽サクラの開花日を調べるソメイヨシノはつぎ木でふえた品種なので、どの木も性質が同じ。季節をはかるうえで貴重な指標になる。
▽サクラの芽が目ざめるには、冬の寒さが必要。温暖化で冬があたたかくなり、最近は南のサクラが北よりおそくさくこともある。 |
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気象庁の生物季節観測の対象種目
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【植物】ウメ、ツバキ、タンポポ、ソメイヨシノ、ヤマツツジ、ノダフジ、アジサイ、ヤマハギ、サルスベリ、ススキ、イチョウ、イロハカエデ
【動物】ウグイス、ヒバリ、モンシロチョウ、ツバメ、キアゲハ、トノサマガエル、シオカラトンボ、ホタル、アブラゼミ、ヒグラシ、モズ |
(2006年3月18日)
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