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●三宅島に住民がもどって1年●

山西 厚記者(朝日新聞東京総局)
ジャン

 伊豆諸島の三宅島(東京都三宅村)に住民がもどって一年がすぎたのね。

山西 記者

 道路や家もだいぶ元通りになったし、島の学校も再開したよ。

ポン

 何で島をはなれていたの。

山西 記者

 二〇〇〇年七月に噴火が始まったから。灰がふったり地震が起きたりしたので、その年の九月に住民約三千八百人が全員避難したんだ。

ケン

 噴火はもう終わったのかな。

山西 記者

 いまも雄山からは煙といっしょに、火山ガスが出ていて、いつまでつづくかわからないんだ。

 

高齢化が一番の問題「観光客来てほしい」

六十五歳以上十人に四人
いまも火山ガスへの備え

 


 

アシタバの畑で作業をする島のお年より。後ろに見えるのは、いまも火山ガスを出しつづける雄山〓2006年1月31日、三宅島で

 ジャン 島には何人ぐらいがもどったの?

 ――〇五年二月二日に帰った約六十人を始まりに、いまでは約二千九百人が島でくらしている。避難していた四年五か月の間に亡くなった人もいるし、病気になって、もどれない人もいるよ。島外で就職して新しい生活を始めた人もいるね。

 ケン 島の小学生は?


 ――六十七人いるよ。避難前の二百八人からへったので、三つの小学校がひとつになったんだ。島の学校に通うのが初めての子どもたちもいる。

 ポン 島の人はどんな仕事をしているの。

 ――農業をしている人や漁業をしている人が多いみたいだね。畑ではアシタバやイモなどの野菜がとれるよ。ことしから本格的な作付けが始まるようだね。
 海ではイセエビや、寒天の材料になるテングサがたくさんとれるよ。でも、みんな「避難中に年をとってしまったので、思うように体が動かない」ってなげいていたな。

 ジャン 若い人が少ないのかな。


 ――それが一番大きな問題だね。住民十人のうち四人は六十五歳以上のお年より。ひとりぐらしも多く、こわれた家をなおしたり畑を手入れしたりするのも大変なんだ。
 老人ホームは再開していないし、お年よりの世話をするヘルパーの数も少ないままだ。体の弱い高齢者が、火山ガスをすいつづけることで病気になるおそれもある。

 ポン 火山ガスって何。

 ――火山から出る煙にまじったガスなんだ。雄山では二酸化硫黄という成分が多くて、たくさんすうとのどがいたくなることもある。噴火から五年以上たったいまでも、毎日二千〜五千トンがふき出ているんだ。
 だから、島ではガスマスクを持ち歩かないといけない決まりもある。火山ガスがたくさん出たときは島中に放送が流れて知らせてくれるよ。

 ケン 家の中にいればだいじょうぶなの。

 ――そうだね。でも特に火山ガスが多く出ているふたつの地区は、住むことすら禁止されたままなんだ。これらの地区に住んでいた人は島にもどっても、家には帰れないでいる。

 

噴火で生物の種類に変化
水べの鳥、ウミガメふえる


 ジャン 島の生き物に影響はないの。

 ――森の多くでは、スギやサクラの木が真っ白にかれてしまった。でも、シダや背の低い木の中には火山ガスに強い種類もあって青くしげっている。アシタバも火山ガスに強いみたいだね。

 ケン 噴火前、三宅島は「野鳥の楽園」ってよばれていたんでしょ。

 ――いまもカラスバトやメジロ、国の天然記念物のアカコッコなどたくさんの野鳥が見られるよ。観察をつづけている人たちは、オオバンという水べの鳥がふえるなど、噴火前とくらべてかわった部分もあると話していた。
 ポン 海はどう。

 ――もぐるとサンゴも見られる。色とりどりのウミウシもきれい。噴火後はウミガメがふえて、産卵もしているようだね。魚もたくさんいるのでつりを楽しみに来る人も多い。

 ケン だれでも島に入れるの。

 ――村役場の人は「ぜんそくの人や心臓が弱い場合などは来ないほうがいいけど、そうでなければだいじょうぶ」といっている。平野祐康村長は「観光客にたくさん来てもらって島を立ちなおらせたい」とも話していた。



【きょうのポイント】
 ▽伊豆諸島の三宅島は、雄山の噴火で、2000年9月に約3800人の住民全員が島外に避難。去年2月に島にもどれるようになった。
 ▽現在の人口は約2900人で、4割が65歳以上のお年より。いまも火山ガスがふき出していて、ガスマスクを持ち歩かなくてはいけない。
 ▽噴火後も島の自然は豊富。野鳥観察や魚つりなど、観光をさかんにし、島の立てなおしをはかろうとしている。

 

 

 

 

 

 

 

(2006年2月11日)


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