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大隈 崇記者(朝日新聞東京総局)
教育基本法がかわるんだってね。
うん。全文を書きかえる大規模な改正だ。1947年に定められてから約60年たっているけど、書きかえられるのは初めてだよ。
「教育の憲法」ともいわれているんでしょ。
どんなものなの?
「個」から「公」へ 成立から 年で初の改正
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とても大事な「教育の憲法」
愛国心や公共の精神重視へ
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教育基本法についての特別委員会で質問に受け答えする安倍晋三首相〓国会内で
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――教育基本法は「日本の教育はこうあるべきだ」という考え方や原則を決めているよ。教育に関係するほかの法律などは全部、基本法が基準になる。その名の通り教育の基本になるから、とても大事な法律だよ。
ポン ふーん。
――第二次世界大戦が終わる1945年までは、日本の教育は明治天皇のことばである「教育勅語」が絶対的な考え方だったんだ。自分を犠牲にしても国につくすことをもとめていて、そういう思想のもとに、日本は戦争につき進んでいった。基本法は、その反省を出発点に定められたんだよ。今回の改正前の法律では、始めに「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間を育てる」と宣言していた。
ケン なんでいま、改正されるの?
――自民党の歴代政権はずっと改正をめざしていたんだ。「『個人』を尊重しすぎているから自分勝手になって、国とか社会といった『公』(「おおやけ」とも)がないがしろになっている」とか「子どもが凶悪な犯罪を起こしたり、学ぶ意欲がひくくなったりしているのは、基本法に子どもが守るべき項目が書かれていないからだ」とかってね。前の小泉純一郎首相のときに、政権をとっている自民党と公明党が、改正案を国会に提出した。
ジャン 何がかわるの?
――前は11条の法律だったけど、18条にふえた。生涯学習や大学、家庭教育といったことが新しくくわわったよ。
また「教育の目標」がもうけられ、「愛国心」などの身につけるべき道徳心が書きくわえられた。愛国心の教育というのは、国を愛する心を育てましょうということ。「我が国と郷土を愛する態度を養う」という文言でもりこまれたよ。ほかには「豊かな情操と道徳心を培う」とか「公共の精神に基づき、社会の発展に寄与する態度を養う」とか、「公」を重視した項目が目立つね。
ケン 「愛国心」にも成績がつくの?
――まだよくわからないけど、「心」の問題に評価をつけるのはむずかしいよね。小泉前首相は「評価項目は必要ない」という立場で、いまの安倍晋三首相も「内面に入りこんで評価することは当然ない」といっている。でも、安倍首相は「日本の伝統や文化を調べたり勉強したり研究したりする姿勢、学習する態度」は評価の対象にできるのではないか、とも話しているよ。
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戦前に戻るのではと心配も
指導要領など徐々に影響が
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ジャン ほかにはどんなことがあるの。
――改正前の基本法は「教育は不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われる」って書いてあったんだ。つまり教室での授業などには、外から口出しやじゃまをしてはいけないってこと。それが、改正で「不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われる」とかわった。
前の文言は、正しくないと思う命令を政治家とかがしてきたときに先生がことわる理由になったんだけど、改正された方では逆に、政治家の命令に反対した先生が、法律をはずれた「不当な支配」だといわれるかもしれないおそれが出る。
ポン 反対する人はいなかったの。
――教育を改革しなければと思っている人はとても多い。でも「基本法をかえたからといって教育はよくならない」とか「いまの教育がよくないのは、そもそも基本法の考え方が実現できていないからだ」と改正に反対する声は根強いよ。また「公」がふたたび重視されたことで、戦争前みたいな教育になることを心配する人もいる。
ジャン わたしたちの教室には何か影響があるのかしら。
――基本法は考え方をかかげるものだから、直接すぐに何かがかわるということはなさそうだよ。ただ、今後は関連する法律や、学校で学ぶ内容を決めている学習指導要領などがかわるときは、改正された基本法にそうようにかわっていく。教育現場への国のかかわりが強まるともいわれている。だんだんみんなの教室にも影響が出てくるだろうね。
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【きょうのポイント】
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▽教育基本法は「教育の憲法」といわれ、教育の考え方や原則を決めた法律。1947年の成立以来、初めて改正される。
▽これまで「個」を大事にしすぎたと、改正する項目には、愛国心、道徳心、公共の精神など「公」を重くみるものが目立つ。「戦前のようになるのでは」と心配する声もある。
▽改正ですぐに教育がかわることはない。しかし、学校で学ぶ内容を定めた学習指導要領などは基本法にそって決められるので、徐々に影響するとみられる。 |
(2006年12月16日)
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