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きびしい寒波、なぜ?

瀬川 茂子記者(朝日新聞科学医療部)
瀬川 記者

 毎日、寒いわね。十二月は、関東から九州にかけて戦後もっとも寒かったんだって。つもった雪のふかさも、全国の計百六地点で記録を更新したそうよ。

ジャン

 最近は、暖冬が多かったのに、気象庁は、二十年ぶりの寒冬になるかもしれないといっているんでしょ。どうしてこんなに寒くなったの?

瀬川 記者

 北極付近の冷たい空気が流れこみやすくなっているようなの。くわしいしくみを説明するね。

偏西風が流れを変え寒気が日本を直撃

「西高東低」で季節風がふく
日本海側に雪、太平洋側へ風

 


 

道路の両側に、人間の背たけをこえる雪のかべができました=1月6日、新潟県津南町で

 ――広い地域に二、三日またはそれ以上、気温を低下させる寒気がくることを「寒波」とよぶのよ。

 ジャン 日本にはどこから寒気がくるの?

 ――地図を見ると日本の西には広いユーラシア大陸があるでしょ。大陸の北、シベリア地方で地面が冷やされて、その上の空気も冷やされるの。冷たい空気のかたまりで、シベリア寒気団とよばれているのよ。シベリア寒気団が発達することが、日本に寒波をもたらすおもな原因ね。

 ポン シベリア寒気団が日本にきちゃうの?

 ――結論をあせらない。その前に気圧について説明させてね。地面には、空気の重さによる圧力がかかっていて、気圧とよばれるの。天気図には、同じ気圧の点をむすんだ「等圧線」がえがかれているでしょう。等圧線でかこまれた場所の気圧が、まわりより高いと、高気圧。逆に低いところが低気圧。冷たい空気は重いから、まわりより気圧が高くなる。だから冬はシベリアに高気圧ができやすいの。

イラスト・藤井龍二

 

 ジャン 気圧が高いところから低いところに風がふくんだよね。

 ――その通りよ。シベリア高気圧から、北海道の東の海上で発達した低気圧に向かって風がふくことが知られているわ。気圧の差が大きいと、北西の風が強くふくことになる。この気圧配置は、シベリア高気圧が西にあり、東に低気圧があるので、「西高東低」とよばれるの。

 ケン それで、季節風がふくんだね。

 ――そう。強い季節風は、日本海をわたる間に、海面から蒸発した水蒸気をたくさんふくむのよ。それで雲が発生して、日本海側に強風と雪をもたらすの。雪をふらせた後、山脈をこえると、かわいた風になっているので、太平洋側にはからっ風がふくわ。天気は、晴れね。




秒速100bこすジェット気流
北極周辺の冷たい空気運ぶ




 ジャン この冬がとくに寒い理由は?

 ――北緯二〇〜六〇度のあたりに、上空を西から東に向かって「偏西風」とよばれる風がふいている。一部では、秒速一〇〇メートルをこすこともある強い風で、「ジェット気流」とよばれるの。

 ポン 地球のまわりを回ってるんだ。

 ――偏西風はまっすぐ流れずに、北や南にへびのようにまがりながら流れている。「蛇行」というの。

 ケン それと寒さと、どんな関係があるのかな。

 ――偏西風の蛇行で、北極周辺の冷たい空気を南に運ぶのよ。日本はちょうど、冷たい空気が流れてきやすい場所にあるから、冬、寒くなるのね。この冬は、偏西風がいつもの年より南に下がって、冷たい空気を運びやすい状態がつづいているんですって。

 ケン その状態がかわって、暖かくなることもあるのかな。

 ――ええ。どうして変化するのか、きっかけはよくわからないけど、偏西風の位置がかわって、寒さがゆるむことも考えられるわ。


【きょうのポイント】
 ▽広い地域に2、3日またはそれ以上、気温の低下をもたらす寒気がくることを「寒波」とよぶ。
 ▽シベリア寒気団が発達することが、日本に寒波をもたらすおもな原因になっている。
 ▽この冬は、偏西風がいつもの年より南に下がって、冷たい空気を運びやすい状態がつづいている。それで、とくに寒くなっていると考えられる。

 

 

(2006年1月8日)


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