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コメの値段はどう決まるの?

佐藤 泰記者(朝日新聞経済部)
ジャン

食欲の秋本番ね。おいしい新米を使ったおにぎりやお弁当が、わたしは大好き。

ケン

 ママが新聞を読んで「ことしはお米が安くなりそう」って話していたよ。本当かなあ。

ポン

 コメの値段って、いったいどうやって決まるんだろう。

佐藤 記者

 ほかのモノの値段と同じで、売りたい人と買いたい人が話し合って決まるんだ。ほしいと思う量よりも多くのコメが売られそうだと、あまっちゃって値段は下がる。ことしは夏場の天候にめぐまれ、多くの地方でイネがスクスク育っているんだ。台風の影響で急に収穫が少なくならない限り、多くの人は値下がりすると予想するんだ。

とれ具合見て売り手と買い手が話し合う

秋はコメの収穫の時期。イネを刈りとる農家の人=埼玉県幸手市で

価格センターの入札が目安
ひとりが食べる量は半分に

 


 ジャン コメって、毎年どのくらいつくられるの?

 ――850万トンくらいだよ。農家の人が自分で食べたり、知人にあげたりするのがこのうち約150万トン。ぼくたちが米屋で買ったり、外食で食べたりするのは700万トンくらいだ。

 ケン すごい量だなあ。やっぱり日本の主食だね。

 ――でも、お肉やパンなどほかのメニューを食べる機会がふえているから、コメを食べる量は年々ヘっているんだ。40年前には、ひとりが毎年112キロのコメを食べていたんだけど、いまでは約半分の59キロしか食べないんだよ。

 ポン ぼく、学校の社会科見学でお魚の市場を見に行ったことがあるよ。コメにも、値段を決める市場みたいなものはあるのかな。

スーパーで、コメを手にする買い物客=東京都江東区で

 ――全国米穀取引・価格形成センター(コメ価格センター)というのが、東京にあるよ。適正(高すぎず安すぎず、ちょうどいいこと)な値段の取引などを進めるためにもうけられているんだ。全国の農家からコメを集めてきた農協などが、産地や品種別に「この値段で売りたい」と申しこむんだ。買い手はコメの卸会社。「この値段でコメがほしい」と申しこむ。入札というやり方で売り手と買い手の希望をてらし合わせて、価格が決まるんだ。

 ケン 全部のコメの値段がそこで決まるの?

 ――コメ価格センターで取引されるのは年間に50万トンから100万トンくらいだ。ほかのコメの値段は、農家からコメをあずかっている農協などとコメの卸会社が、価格センターでの入札の結果を目安にして、話し合って決めるんだ。

 ポン となりのおばさんは、農家の人から直接コメを買っているんだって。

 ――インターネットなどを利用して、農家が農協を通さずに、消費者や米屋さんに直接売っているコメは毎年150万トンくらいもあるんだ。こうしたコメの値段は、コメ価格センターでの入札結果も参考にはするけれど、売り手と買い手の話し合いで決まるのが普通だね。

長い間、政府が決めていた
ことしは去年に比べ安そう

 

 

 ジャン むかしは政府がコメの値段を決めていたと、おじいさんから聞いたんだけど。

 ――太平洋戦争のさなかや戦後しばらくは、コメが足りない時代がつづいたんだ。政府は主食を安定的に提供するため、すべてのコメを買い入れていたんだ。このころは、コメをつくった農家に支払う値段や、米屋さんなどに売る時の値段も政府が決めていた。1990年代までつづいていたんだ。

きょうのポイント
 ▼毎年つくられるコメの量は約850万トン。消費者が米屋で買ったり、外食で食べたりするのは約700万トンだが、コメを食べる量は年々へり、国民ひとりが食べる量は40年前の約半分になっている。
 ▼コメの値段は、売りたい人と買いたい人が話し合って決まり、おもにこんな方法がある。@コメ価格センターで、売り手の農協などと、買い手の卸会社が、希望の値段を出し合って決めるA農協やコメの卸会社が、価格センターの値段を参考にして決めるBインターネットなどを通じて、農家が消費者や米屋と直接取引する。
 ▼ことしはコメの生育が順調。コメが多く売り出されると、値段が下がる可能性がある。

 ケン どうして、いまのようなやり方にかわったの?

 ――世の中がどんどんゆたかになって、いろんなモノや食べ物が自由に売り買いされている時に、コメだけは取引のやり方や値段まで政府がすべて決めてしまうという制度には、無理がめだつようになった。長い時間をかけて少しずつ制度を手直しし、いまのように値段を自由に決められるしくみにかえてきたんだ。

 ジャン ママがいってた、ことしはコメが値下がりしそうという話は本当かしら?

 ――コメは去年、その前の年と2年連続して、平年よりも少しの量しか収穫できなかった。ところが、ことしは生育が順調。平年なみの収穫が期待されているんだ。食べる量が年々へっているところに、多くのコメが売り出されたら値段は下がる。実際、8月末にコメ価格センターで行われたことしつくられた米の最初の入札では、価格が60キロあたり1万4664円となって、去年の同じ時期より557円も下がったんだ。農家や農協の人たちは、どうなることかとやきもきしながら、コメの値動きを見守っているよ。

 

(2005年9月10日)

 


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