こどもアサヒ > ニュースDEジャンケンポン > ニュースDEジャンケンポン過去一覧

FTA(自由貿易協定)ってなんなの?

林 尚行記者(朝日新聞経済部
ジャン

  パパが「ポンの大好きなパパイアが安くなるかもしれないぞ」っていってたよ。

ポン

  うん、FTAのおかげだって。

ケン

  そのFTAってなにさ。

ポン

  知らなーい。

林 記者

  貿易で取引する品物にかける関税を安くしたり、なくしたりする取り決めのこ  とだよ。五月に小泉首相とマレーシアの首相が、FTAをむすぶことを決めた             んだ。ポンのパパは、パパイアの関税がなくなるから値段が安くなるっていった            んだね。

     関税を下げたりなくしたりする取り決め

貿易ふえ輸入品が安くなる
日本はアジア中心に進める

 ケン そもそも関税ってなあに。
  −−外国から輸入する品物に対して、輸入する人によけいにお金をはらわせるしくみのことだよ。

輸入がふえ、特設コーナーもできたマンゴー。FTAをむすぶ国がふえると、海外の果物がますます身近になりそうです=大阪・梅田の阪神百貨店で

 ジャン なぜ、そんなことをするの。
 −−外国からどんどん安い農産物や製品が入ってきたら、国内の農家だとか、国内の会社が値段の競争に負けて、やっていけなくなるおそれがある。関税をかければ、輸入業者はそのぶん、輸入品を高く売らないともうからない。輸入品をあんまり安く売れないようにして、国内の産業を守ってきた。
 ジャン その関税がなくなると、どうなるの。
−−よけいなお金が必要なくなるから品物の行き来がふえて、貿易がさかんになるんだ。FTAは英語で「Free Trade Agreement」(自由貿易協定)の略。いま、世界ではFTAがブームで、ここ十年で百以上が発効しているんだよ。
 ポン 日本にとって、どうしてFTAが大事なの。
 −−資源の少ない日本は戦後、世界の国々と貿易することで発展してきたでしょう。特にアジアの国々との貿易は、日本の輸出入額のそれぞれ半分近くをしめている。FTAをむすべば、日本からの輸出がさらにふえるだろうし、さまざまな品物を安く輸入できるようになるんだ。
 ジャン 日本はどんな国とFTAをむすんでるのかな。
 −−これまでシンガポール、メキシコとのFTAがスタートしている。フィリピン、マレーシアともFTAの内容を決めた。タイとは七月中に合意しようと話し合っているし、インドネシアや韓国とも交渉しているよ。

 

打撃受けるコメなど例外も
協定結ばない国には不公平

 ジャンどうしてFTAがブームになったのかな。
 −−もともと貿易自由化のしくみは、世界貿易機関(WTO)というところで話し合ってきたんだ。でも、WTOは百四十八か国・地域も参加しているから、なかなか話し合いがまとまらない。それなら二国間でFTAをむすぶほうが近道だというわけさ。
 ポン いいことばかりだね。
 −−そうでもないよ。FTAは二国間の協定だから、協定をむすんでいない国には不公平になってしまう。各国がFTAばかりに力を入れるとWTOの交渉が後回しになり、世界の貿易自由化がおくれるという意見もある。

※図にしめしたほか、東南アジアの10か国が加盟(かめい)する東南アジア諸国連合(ASEAN)とも交渉を始めています

 ケン 記者さんは最初に、関税をかけて国内の産業を守ってきた、といったよね。なくしちゃって、だいじょうぶなの。
 −−大事な視点だね。これまで関税に守られてきた国内産業は、輸入品と同じ条件で競争しないといけなくなる。特に農家の人たちにとって、外国の安い農産物が出回るのは大変なことだ。だから、FTAには例外もあって、たとえばタイとの交渉では、コメの輸入は日本の農家が打撃を受けるからって、関税をなくさないことに決めたんだ。
 ポン 自由にならないのもあるんだ。
 −−でも、FTAは自由化が目的だから、なるべく多くの品物やルールを自由化すべきだね。日本国内でも、輸入品との競争に勝ちぬくためのくふうや、外国の人たちといっしょに働く環境づくりが大事になってくるんだ。
 

各国と決まったFTAの内容
【対シンガポール】  輸入 鉱工業製品など計3800品目の関税をなくす、など
【対メキシコ】  輸入 ブタ肉、オレンジジュースなどの関税を一定量なくしたり下げたりする、など
輸出 自動車、鉄鋼製品などの関税をだんだんになくしていく、など
【対フィリピン】 輸入 モンキーバナナ、カツオなどの関税をだんだんになくす、など
輸出 自動車や鉄鋼製品の関税をだんだんになくす
人の移動 看護師や介護士が日本で働けるようにする
【対マレーシア】  輸入 熱帯果実、野菜、エビなどの関税を完全になくす、など
輸出 自動車、鉄鋼の関税をだんだんになくす、など

 

(2005年6月18日)


朝日学生新聞社のホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。
すべての著作権は朝日学生新聞社に帰属します