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もんじゅって何?

 

桑山朗人記者(朝日新聞科学医療部
ジャン

  景気がいいとか悪いとか、よくいわれるけれど、それってどうやってわかるの?

ケン

 もんじゅって、「夢の原子炉」ともよばれる施設なんでしょ。それをめぐって住民と国があらそっていたんだね。

ポン

  もんじゅ? 原子炉? なんの話なの。

桑山 記者

  原子力を使った新しい科学技術開発をめぐる話だよ。将来のエネルギーを考えるきっかけになる。くわしく説明してみるね。

核燃料サイクル技術開発のための原型炉

発電しながら燃料ふえる
放射線への安全策が重要

 ケン そもそも「もんじゅ」ってなに? いままでの原発とはちがうの?
  −−ふつうの原発は、地球上にある鉱物のウランが、核分裂という反応を起こすときに出る熱を利用して発電する。この場合は熱を運ぶのに水を利用するから、軽水炉ともよばれる。現在、日本では五十三基が運転しているよ。

 ジャン じゃあ、もんじゅは?
 −−ふつうの原発でウランをもやしたあとの、使用ずみ核燃料を再利用して電気を起こす。
 ポン リサイクルだ!
−−それだけじゃない。ウランは核分裂するとプルトニウムにかわる。このプルトニウムを取り出し、もえのこったウランとともにふたたび燃料にしてもやす。すると、プルトニウムがもえるだけでなく、もえないウランまでプルトニウムにかえてしまうんだ。
 ケン もともとあった燃料より多い燃料がえられるわけだね。
 −−そう。核燃料になるウランは天然資源でかぎりがある。火力発電の燃料になる石油や石炭もそう。日本はそうした天然資源のほとんどを輸入にたよっているから、プルトニウムを国内でつくることができれば、輸入にたよらなくてもだいじょうぶと、国は考えたんだ
 ポン ふーん
 −−核分裂をさせる装置を原子炉というけど、もんじゅは高速増殖原型炉という。国の核燃料サイクル=図を参照=の計画の柱となる新しい原子炉だ。原型炉だから研究段階の炉なんだよ。

 ケン エネルギーをえながら燃料がふえるなんてすごい。

 −−そうだね。でも、核分裂には、人の体に有害な影響をおよぼすおそれがある放射線というものがつきもの。とくに、プルトニウムは核爆弾に使われるぐらいで、少量で大きなエネルギーと放射線を生み出すから、新しい原子炉はとくに安全性を確保して研究を進めなければいけない。

最高裁「安全審査は適法」
メリット明確にする必要

 ジャン それで、安全の審査が正しかったかどうか、裁判所であらそわれていたんだね。
 −−その通り。
 ケン ナトリウムということばも記事にあった気がする。
 −−もんじゅは一九八三年に国が福井県敦賀市での建設を許可。九一年五月に設備が完成し試運転を始め、九五年夏に初めて発電に成功した。でも、その直後の十二月、熱を取り出すのに使うナトリウムがもれる事故が起きて、止まったままなんだ

ポン 裁判はいつからつづいていたの?
 −−建設許可の二年後、周辺住民らが許可の無効をもとめる訴えを起こした。
 ジャン 八五年から二十年もかかったんだ。
 −−二〇〇〇年には福井地方裁判所(地裁)が住民の訴えをしりぞける判決を出した。控訴審の名古屋高等裁判所金沢支部は〇三年一月、一転、国の安全審査に見すごせないあやまちがあったと、住民の訴えをみとめる判決を出した
 ケン そして、ことし五月三十日に最高裁判所(最高裁)の判決が出たんだね。
 −−最高裁は地裁と同じように、安全審査はちゃんと行われ、建設の許可に問題はないと判決、住民敗訴が確定したんだよ。
 ポン これで、もんじゅはすぐ動くの?
 −−そうかんたんではないんだ。
 ナトリウムもれ事故では、もれたナトリウムと床の鉄が化学反応を起こすことがわかった。 国は、より安全性を高めるために改造工事することを決めていて、工事には二年あまりかかる。実際に役に立つかどうか見通せない新しい原子炉の運転をそのまま進めていいのか、という批判もある。安全性の確認と同時に、もんじゅを動かすメリットがどこにあるのか、みんなが納得できる説明が必要だね

【もんじゅ】福井県敦賀市にある高速増殖原型炉。1991年に完成しました。高速増殖炉は、原子力発電所の使用ずみ核燃料にふくまれるプルトニウムを取り出し、ふたたび燃料にしてもやす原子炉。「もんじゅ」は、その実用化に向けた研究段階の炉である原型炉です。その前の段階の炉として実験炉「常陽」(茨城県大洗町)があります。

 

 (2005年6月11日)


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