――――― 朝 小 お す す め 受 験 情 報 ―――――
 

 こどもアサヒ > ニュースDEジャンケンポン > ニュースDEジャンケンポン過去一覧

イラク 選挙終え新しい国づくりは

小森 保良記者(朝日新聞外報部
ジャン

 イラクで選挙があったんだよね。

小森 記者

 国民議会選挙の投票が1月30日に行われた。おととし春にイラク戦争が終わってから初めて行われた選挙で、イラクの将来を決める重要な出来事だったんだ。

ポン

 ずっとはげしい戦闘がつづいているけど、これでイラクに平和がくるのかな。

ジャン

 選挙で当選したのは、どういう人たちなの?

 順調なら新憲法定めて年内に正式政府

人数多いシーア派が勝つ
スンニ派など「選挙は無効」

 ――国民議会というのは、国の大切なことを話し合う、日本でいえば国会のようなものだ。当選が決まった議員は275人。この人数は定数とよばれ、あらかじめ決まっていた。選挙の前にさまざまな政党がつくられ、票を多く集めた政党がたくさんの議員を送りこめる仕組みで行われたんだ。
イラクをめぐるこれまでの動きと今後
2003年  
 3月20日 開戦
 4月9日 フセイン政権がたおれる
 6月3日 アメリカなどによる暫定占
領当局(CPA)ができる
2004年
 3月8日 イラク基本法を制定
 6月1日 暫定政府ができる
 6月28日 主権移譲(CPAから暫定政府に主権がうつる)
 8月15〜18日 国民会議
2005年
 1月30日 国民議会選挙  移行政府
 8月15日まで 新憲法の案をつくる
(いまはここ)
 10月15日まで 新憲法をめぐる国民投票
 12月15日まで 新憲法下で国民議会選挙
正式政府(12月末までに誕生)

 ポン ふーん。

 ――イラクの人たちはイスラム教徒が多いんだけど、その中でも人口の約六割をしめるシーア派とよばれる宗派の人たちが「統一イラク連合」などの政党をつくって選挙に立候補した。人口が多いから当然、当選した人もシーア派の人が多く、議会の多数派をしめることになった。

 ジャン シーア派以外の人たちはどうだったの?

 ――そこが問題なんだ。イスラム教にはシーア派のほかに、スンニ派とよばれる別の宗派の人たちがいるんだけど、その人たちの多くは選挙に参加しなかったんだ。

 ケン 何で?

 ――スンニ派には、イラク戦争の前に国をおさめていたフセイン大統領を支持する人が多かった。フセイン大統領の政府が戦争でたおされ、その後、イラクに軍隊を送りこんできたアメリカやイギリスに反発する人がいまも多いんだ。選挙はアメリカなどの協力で行われたから、スンニ派の人々の多くは、「アメリカの後おしで行われた今回の選挙は、正当な選挙ではない」と主張している。テロをつづけている組織も、「選挙は無効」とうったえているんだ

憲法に難問、イスラム教の扱い
テロ続けば予定ふきとぶ

 ポン ふーん。

 ――イラクの人たちはイスラム教徒が多いんだけど、その中でも人口の約6割をしめるシーア派とよばれる宗派の人たちが「統一イラク連合」などの政党をつくって選挙に立候補した。人口が多いから当然、当選した人もシーア派の人が多く、議会の多数派をしめることになった。

 ジャン シーア派以外の人たちはどうだったの?

 ――そこが問題なんだ。イスラム教にはシーア派のほかに、スンニ派とよばれる別の宗派の人たちがいるんだけど、その人たちの多くは選挙に参加しなかったんだ。

 ケン 何で?

 ――スンニ派には、イラク戦争の前に国をおさめていたフセイン大統領を支持する人が多かった。フセイン大統領の政府が戦争でたおされ、その後、イラクに軍隊を送りこんできたアメリカやイギリスに反発する人がいまも多いんだ。選挙はアメリカなどの協力で行われたから、スンニ派の人々の多くは、「アメリカの後おしで行われた今回の選挙は、正当な選挙ではない」と主張している。テロをつづけている組織も、「選挙は無効」とうったえているんだ。

 ポン だったら、戦闘はまだつづくのかな。

 ――選挙の後もイラク各地でテロがたくさん起き、多くの人が亡くなっている。すぐに平和はこないかもしれない。けど、選挙に参加しなかったスンニ派の人たちも、イラクの将来には関心を持っている。今後、どうやって政治に参加するのか、シーア派や、人口の2割ほどをしめるクルド人の組織と交渉を始めている。うまくいけば、戦闘ではなく話し合いで物事を決める道筋ができるかもしれない。

 ジャン ところで選挙で当選した人たちは何をするの?

 ――大統領や首相を決め、新しい政府をつくる。その後、待ちかまえているのが憲法の制定だ。

 ケン イラクにはこれまで憲法はなかったの?

 ――もちろんあった。けど、戦争後、国の指導者をえらびなおして、一から新しい国づくりをすることになった。そのためには、国の基本方針になる新しい憲法をつくることが必要なんだ。

 ポン 憲法をつくるのってそんなにたいへんなの?

 ――もちろんさ。イラクの場合、政治と宗教の関係をどうするのか、これが一番むずかしい問題になっている。イスラム教の指導者たちは、イスラム教の原理・原則にそった憲法をつくるようもとめている。シーア派の人々の中には、そういう憲法をのぞむ声が強いんだ。その一方で、宗教と政治は切りはなすべきだと主張する人がいて、イスラム教を憲法でどうあつかうかは大きな課題なんだ。日本も、政教分離といって、政治と宗教を切りはなしているよね。

 ジャン 憲法をつくった後はどうなるの。

 ――憲法の案を8月までにつくって、10月には国民投票を行うことになっている。投票で憲法がみとめられると、つぎにもう1度、年末までに選挙をやることになっているんだ。正確にいえば、この選挙によって誕生するのが正式なイラクの議会と政府ということになっているんだ。しかし、テロや戦闘がつづけば、こういった予定もふっとんでしまう。

 ケン 今回の選挙が平和へのきっかけになるといいね。

(2005年2月12日)

 


朝日学生新聞社のホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。
すべての著作権は朝日学生新聞社に帰属します