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遅くなる紅葉 目立ったこの秋

武居 克明記者(朝日新聞科学医療部)
ジャン

 ようやく寒さが本格的になってきたけど、ことしは紅葉がおそかったみたいね。 

武居 記者

 葉を紅葉させるしくみが働くには、寒さが必要なんだ。

ケン

 ことしはとくにおそい地域が多かったけれど、紅葉がじわじわおくれるのは近年の傾向だって聞いたよ。 

武居 記者

 長期的な気候の変化や、都市から発生する熱の問題が関係しているらしいんだ。 

ポン

 そもそも紅葉って、どうしてあんなきれいな色が出るの? 

地球温暖化やヒートアイランドの影響?

11月下旬に見ごろをむかえた奈良の紅葉。カエデの紅葉の時期は過去50年で15日もおそくなっています=奈良市菩提山町で、11月24日

黄と赤では違った仕組みで
一日の最低気温がかぎ握る

 


 ――紅葉の色の基本は、黄と赤だね。まず、葉が黄色になる理由から説明しよう。じつは、紅葉する前も、葉には黄色の色素があるんだ。

 ポン えっ、でも葉は緑にしか見えないよ。 

 ――たくさんの緑の色素が、黄色の色素をおおいかくしているんだ。この緑の色素は「葉緑素」といって、太陽の光のエネルギーで栄養分の糖と酸素をつくる「光合成」で重要な役割をはたすんだ。

 ジャン 紅葉するとき、葉緑素はどうなってしまうの? 

 ――秋になると、日ざしが弱まり、日照時間も短く、気温も下がって、気候が光合成に不向きになる。すると、葉緑素はこわれてしまうんだ。その結果、かくされていた黄色の色素が目立つようになる。

 ケン じゃあ、葉が赤く紅葉するのは? 

 ――葉が落ちる準備が進むと、葉のつけ根の細胞が変化して、葉でつくられた糖を枝に運ぶ通路がふさがってしまう。すると、葉に糖がたまって、これらから赤い色素が合成されるんだ。これが、やはり葉緑素の分解によって目立ってくるんだよ。

 ジャン 植物にとって、紅葉するといいことってあるのかなあ。 

 ――果実がなっていることを鳥に知らせ、果実を食べて種を遠くに運んでもらうため、という考え方もあるけど、はっきりしたことはわかっていないんだ。

 ジャン ところで、紅葉はどんな気候になると起きるの? 

 ――1日の最低気温が八度以下になると色づき始め、5〜6度になると急に進むとされているね。

北海道や東北は記録を更新
カエデ、50年で15日こす遅れ


 

 ポン ことしの秋はあたたかかったっていうことかな。

 ――気象庁はそういっているね。陸上の平均気温は記録がのこる1898年以降で、9月としては3番目(平年差プラス1.38度)、10月としては2番目(プラス1.43度)に高かったそうだよ。

 ケン それで、紅葉はどのくらいおくれたんだろう。 

 ――たとえば、カエデの紅葉で北海道の事情をふり返ると、函館は11月15日に紅葉。平年より21日おそく、これまでもっともおそかった記録を11日もぬりかえた。室蘭では、11月22日で平年より19日おそく、記録を6日更新。同じように根室では10日、紋別では5日と、軒なみ記録を更新したよ。

 ポン カエデ以外の木ではどうなの?

 ――イチョウの紅葉のデータで岩手県を見ると、盛岡では11月7日。平年より13日おそく、記録を2日更新。宮古は11月15日で15日おそく、6日更新したよ。

【きょうのポイント】
 ▽ことしは紅葉がおそい地域が多かった。北海道や岩手県などでは、記録をぬりかえた。
 ▽紅葉は、1日の最低気温が8度以下になると始まる。秋があたたかかったのが、おくれた原因。
 ▽カエデの紅葉は、この50年で15日以上おそくなっている。地球温暖化やヒートアイランド現象が影響しているとみられる。

 ケン 紅葉のおくれは、ことしだけの特別のことではないんだってね。 

 ――そう、長期的な傾向なんだ。たとえばカエデの紅葉は、この50年で15日以上おそくなっている。
 日本の年平均気温が、最近100年で1.06度上がるなど、地球温暖化が進んでいる。その影響がさまざまなところにあらわれつつあるけれど、紅葉のおくれもそのひとつといえそうだね。

 ポン ふーん。

 ――とくに都会は「ヒートアイランド現象」といって、周辺にくらべて気温が高くなることがある。都会の樹木は、この現象による冷えこみ不足もひびいているだろうね。


(2005年12月10日)


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