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杉本 宏記者(朝日新聞外報部)
アフリカ初の女性大統領が誕生したんだって。
西アフリカのリベリアで行われた大統領選挙の結果、そうなったんだよね。
その通り。「鉄の女」とよばれるエレン・ジョンソン・サーリーフさん(六十七歳)がえらばれ、十四年におよぶ内戦の後始末をすることに全力をつくすとちかったんだ。
何だか大変そうだけど、リベリアってどんな国なの?
内戦で荒れはてた国、教育から立て直し
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アフリカ初の女性大統領になったサーリーフさん。一番の課題として、子どもの教育をあげています=写真はどちらも中野智明さん撮影
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戦闘で校舎壊れ先生も犠牲
勉強できず子どもも兵士に
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――リベリアは、人口約三百四十万人の小さな国。もともとは、アフリカからアメリカにつれていかれた黒人奴隷が自由の身になって、ふたたびアフリカにもどってつくった国なんだ。でも、一九八九年から二〇〇三年まで内戦に明けくれ、国は荒れはてた。
ケン 内戦って何?
――戦争の一種だけど、国と国との戦争とはちがう。かんたんにいえば、ひとつの国の中で天下をとるための戦いだ。その際、政府に反対する集団は選挙など民主的な手続きを無視し、武力にうったえる。政府側も警察の力ではおさえきれず、軍隊を出す。
ポン それでどうなったの?
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リベリアの首都モンロビアで今月八日、大統領選挙の投票をする母親。全国三千か所あまりの投票所では、朝早くから多くの人がならんでいました
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――二十万人以上が死んだといわれている。国民ひとりあたりの年間総所得(年間総収入)は、百五十ドル(約一万八千円)に落ちこんだ。戦闘で校舎がこわされたり、先生が殺されたりしたため、学校で学べない子がふえた。その結果、読み書きのできる人の割合をしめす「識字率」は四〇パーセントを切った。六割以上の人が読み書きできないということになる。
ジャン 内戦に「子ども兵士」が使われたと聞くけれど、本当?
――本当だよ。政府軍も反政府武装集団も子どもを酷使(ひどく使うこと)した。国連によると、その数は〇三年までの四年間で計一万五千人にのぼる。子どもをつかまえ、銃やナイフの使い方を教え、戦闘に無理やり参加させた場合もあるし、家族を失った子が生きるために、みずから戦闘部隊に参加したケースもある。男女を問わず、十歳前後の小さな子までかり出された。
ポン かわいそう。
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義務教育を進め職業訓練も
能力も経験もある新大統領
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きょうのポイント
▽西アフリカのリベリアに、アフリカ初の女性大統領が誕生した。エレン・ジョンソン・サーリーフさん(67歳)。
▽リベリアは内戦が14年つづき、荒れはてた。立て直しの一番の課題は子どもの教育。
▽内戦中、むりやりや仕方なく兵士になる子どもが、4年間だけで1万5000人もいた。子ども兵士の問題は、ほかのアフリカの紛争国(ふんそうこく)にも共通する。 |
――子どもが大人たちの内戦の道具にされたんだ。にげようとしたら、ライフル銃で背中をたたかれた子どももいる。
この悲劇はリベリアだけでなく、アフリカのほとんどの紛争に共通している。たとえば、リベリアの内戦に参加した「ベテラン」の子ども兵がいま、となりの国の政府軍や反政府ゲリラにやとわれているという報告もある。
ジャン 子ども兵士の社会復帰がサーリーフ大統領の課題かしら?
――義務教育の無料化を進めるつもりだ。国を立て直すには、教育の整備がかかせない。戦うことしか知らない子どもたちに職業訓練も受けさせなければならない。
ポン うまくいくといいね。
――大変だけれど、サーリーフ大統領には、能力も経験もある。アメリカのハーバード大で経済学を学び、財務大臣もつとめた。今回の選挙では、イタリアのプロサッカーチームのACミランでプレーした、国民的英雄の元スター選手をやぶった。八人の孫を持つおばあちゃんでもあるから、子どものことはよくわかっているはず。それに、肝っ玉も太い。
【女性のリーダー】
ドイツでは22日、メルケルさんが初の女性首相に就任しました。フィリピンのアロヨ大統領も女性です。過去には、イギリスのサッチャー首相、パキスタンのブット首相、インドネシアのメガワティ大統領らがいました。日本ではまだ女性の首相は誕生していません。 |
ケン どうして「鉄の女」とよばれるの?
――長い間、独裁政権に抵抗しつづけたからだ。独裁を批判して一年近く監獄に入れられ、髪にマッチを近づけられ、政府批判をやめるようおどされたこともあるけれど、決してくっしなかった。
ジャン これからアフリカで女性リーダーがふえるかしら?
――そうかんたんではないけれど、〇四年には、ケニアの環境運動家、マータイさんがノーベル平和賞を受賞した。ナイジェリアの財務大臣やモザンビークの首相も女性だよ。
ジャン 子どもたちみんなが教育を受けられるようになったら、また優秀なリーダーが出てくるかもね
(2005年11月27日)
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