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冨岡 史穂記者(朝日新聞科学医療部)
ゲンパツで大きな事故があったって聞いたよ?
9日に起きた、福井県美浜町にある関西電力の美浜原発三号機の事故のことね。配管が破裂して高温の蒸気がふき出したの。
11人がやけどをして、そのうち四人は亡くなったって。こわいわ。
ねえ、ゲンパツって何なの?
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| 高温の蒸気がふき出る事故があった美浜原発3号機の施設(手前の四角い建物)=福井県美浜町で、朝日新聞社ヘリから |
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| やぶれた配管=原子力安全・保安院提供 |
原子核のエネルギーを利用して発電
火力発電にくらべて効率的
国内電力の3割まかなう
――原子力発電所を略して原発。原子力というエネルギーを利用して、電気をつくる施設だよ。
ケン 電気の「工場」か。
――そう。石油などを燃やす火力発電、高いところから落とした水のいきおいを利用する水力発電というのもある。
ジャン じゃあ原子力発電は?
――とても小さな世界の話なんだ。物質は原子というとても小さな粒が集まってできている。その原子の中心には陽子、中性子というもっと小さな粒でできた原子核があって、まわりを電子がぐるぐる回っている。
ポン ふーん。
――この原子核に外から別の中性子をぶつけると、ものすごく大きなエネルギーを出しながら原子核が分裂(核分裂)する。この核エネルギーを利用して水を温めて蒸気をたくさんつくる。普通は、ウランという燃料を使っているよ。
ジャン どうやって蒸気から電気ができるの?
――蒸気は配管を通ってタービンとよばれる巨大な風車を回す。風車がグルグル回って電気を起こす仕組みは、自転車のライトと同じね。
ケン そうか。ペダルをこいでタイヤを回すと電気がつくもんね。原発だと何かいいことはあるの?
――火力発電には石油や天然ガスなど天然資源が必要で、日本は全部輸入しないといけない。ウランも輸入しているけど、核エネルギーは少しの燃料でたくさんつくれるから効率がいいの。火力発電とちがって二酸化炭素も出ないから、環境への心配も少ないといわれている。日本の電気の約3割が原子力でまかなわれているよ。
放射能もれの危険はらむ 事故のきっかけ点検見直し
ケン じゃあ、どんどん原発にすればいいの? 「核はこわい」って聞いたことがあるけど。
――そう。原子力は取りあつかいがとてもむずかしい。核分裂を起こす装置(原子炉)では、放射線という目に見えない危険な光線や粒が大量に発生している。たくさんあびるとがんになったりして、命を落とすこともある。
ポン こわいな。
――原発で使い終わったウランも放射線を出す放射性物質(放射能)だから、きちんと処理しないといけない。1986年に起きた旧ソ連のチェルノブイリ原発の事故では、放射能が大量にとびちって、事故直後だけでも31人が亡くなった。こうした危険から、ドイツやスウェーデンなど、原発を将来、使わなくすることを決めた国もある。
ケン 今度の事故で放射能もれはないの?
――事故は原子炉のある建物とはちがう建物で起きたから、国は「放射線や放射能は外に出ていない」といっている。問題は、配管をきちんと点検していなかったこと。
ケン 点検ミスが原因なの?
――発電所には100度以上の熱い水や蒸気が通る配管がたくさんある。何年かごとに点検して、交換しないといけないけど、関西電力は27年以上も破裂した配管をチェックしていなかった。その間に配管が内側からけずられてうすくなり、中からの圧力にたえられなくなったのが原因と考えられているよ。
ジャン たしか何年か前にも、原発の点検のニュースを見た気がするけど。
――東京電力が点検で見つけた部品のひび割れなどを、きちんと国に報告していなかった事件ね。それをきっかけに去年10月、電力会社の点検を国や他の人の目でチェックする仕組みにかえたばかりだった。
ケン それなのに事故が起きたんだ。ほかの発電所はだいじょうぶなのかなあ?
――今回の事故があって、国は国内のすべての原子力と火力の発電所に、同じような点検もれがないかを調べさせた。もれが見つかった原子力発電所では、すぐに運転を止めて点検や交換をすることになっているよ。
ジャン きちんと点検してもらわないと、安心して電気が使えないね。
(2004年8月22日)
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