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桜井 泉 記者(朝日新聞外報部)
イラクでふたりの日本人の記者が殺された事件、ショックだったわ。
そうだね。イラクでは毎日のように、外国人もふくめたくさんの人が殺されたり傷つけられたりしているけれど、テロはいっこうにおさまるようすがないんだ。
戦争は終わり、新しい国づくりが進んでいるんじゃないの?
その新しい国づくりに向けて、今月末に「主権移譲」という大きなできごとがあるよ。
きょうはその勉強だ。
「国が治める力」が外国人からイラク人へ
まず暫定政府や新しい憲法 正式政府は来年12月までに
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新しい国づくりが進むイラク。子どもたちが安心して勉強できる日はいつくるでしょうか=イラク・バグダッドで
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ケン まず主権ってなに?
――国をおさめる力といったらいいかな。日本は「主権在民」といって国民に主権がある民主国家だ。選挙で自分の考えに近い政治家をえらぶことで、国民ひとりひとりの意見が政治につたわる仕組みなんだ。
ジャン イラクはちがうの?
――長い間、フセイン大統領がすべての権力をにぎって自分の好きなように政治を動かす「独裁国家」だった。イラク戦争でフセイン政権はつぶされ、去年5月、アメリカのブッシュ大統領は「大きな戦闘が終わってイラクは自由になった」と宣言したんだ。
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イラクの新しい国づくりの流れ
2004年6月30日
暫定占領当局を解散、暫定政府に主権をうつす
7月中 国民会議を開く
2005年1月末までに
選挙で国民議会をえらび、移行政府をつくる
12月15日までに
新憲法にもとづく総選挙
12月末までに
正式な政権の誕生
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暫定政府=選挙をして国民議会をえらび、移行政府をつくる→移行政府=新憲法をつくり、本格的な民主選挙をする→正式な政権が生まれる
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ケン じゃあいまは、イラクの主権は国民にあるんだね。
――いや、それがまだなんだ。イラクに軍隊を出しているアメリカやイギリスの「暫定占領当局」が国をおさめている。つまりイラクを占領した外国人が主権をにぎっている。その主権をイラク人の手にわたすのが「主権移譲」で、その期限が今月30日にせまっている。
ジャン これでイラクも新しい国に生まれかわるのね。
――そうかんたんではない。今月1日にイラク人の大統領や首相がいる暫定の、つまり仮の政府がえらばれた。しばらくは、この暫定政府が主権をにぎる。
ポン なぜ、ずっとじゃないの?
――この政府は国民が選挙でえらんだわけじゃないんだ。アメリカがつくったイラク統治評議会(イラク人による代表組織)が中心になって、メンバーをえらんだ。だから、来年1月までに選挙をして正式な政府ができるまでの「移行政府」をつくって……。
ケン いろんな名前の政府があるな。
――その「うつりかわる間の政府」で、国の決まりの大本になる憲法をさだめる。その憲法のもとでもういちど選挙をして、来年12月までに正式な政府をつくり、民主的な国ができあがる、という道のりなんだ。
ジャン うまくいくの?
――ブッシュ大統領は、主権移譲は「占領の終わり」だといっている。でも、イラクの人たちの中には「暫定政府のメンバーはアメリカのいいなりになる人が多く、占領がつづくのと同じことだ」と反感を持つ人も多い。事実アメリカは、イラクでの影響力をのこしたいと考えているんだ。
ジャン 主権をわたしたあともテロはなくならない?
――ざんねんながらね。フセイン政権の元兵士や支持者、アメリカをきらう外国のテログループが、道路に爆弾を仕かけたり車に爆弾をのせてつっこんだりしている。こうしたテロは、最近ひどくなるばかりなんだ。
ケン どうしたら、みんなが安心してくらせるの?
――イラクの人たちが本当に、「これは自分たちがえらんだ、自分たちの政権だ」と思える政府をつくってもらうことだ。でも、宗派や民族のちがいもあって、なかなかひとつにまとまらない。そこにアメリカなど外国の考えもからむから、かんたんにはいかないだろう。
ジャン 日本はどうかかわるの?
――日本はいま、イラク南部のサマワに自衛隊を送り、給水や医療面で支援活動をしている。政府は、引きつづき自衛隊を派遣したい考えだ。でも、自衛隊への攻撃が起きない保証はない。安全面でとても心配なんだ。
(04年6月12日)
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