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豊 秀一 記者(朝日新聞論説委員)
わたしたちが大人になったら、裁判所に行かなきゃいけないかもって、ママがいってたわよ。
ええっ。ぼく、悪いことしないよ。
ぼくらが裁判官といっしょに人をさばくことになるんだってさ。ニュースでやってただろ。裁判員ってよばれるらしいよ。
そう。つい先日、法律ができたばかりなんだ。アメリカやヨーロッパにも似た制度はあるんだよ。どんなものになるのか、いっしょに考えよう。
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■裁判員制度■
殺人などの重大な刑事事件の裁判に、市民が裁判官といっしょに参加して、被告人をさばく制度。参加する市民を裁判員とよびます。政府は2009年4月スタートをめざしています。年間、約12万7000人が裁判員候補になり、約2万5000人がえらばれるとみられます。67人にひとりが一生に1度は経験する計算です。 |
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裁判員制度が始まったら、法廷はこんなふうになりそう
イラスト・林 美香誇
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ふつうの人の感覚を裁判に取り入れる
20歳以上の人の中から えらばれ事件を1件担当
ポン 大人になると、みんな行かなきゃいけないの?
――そう。20歳以上の人の中から、くじでえらばれ、よび出しを受けるんだ。病気なんかの場合は仕方ないけど、理由もなくことわったりさぼったりしちゃ、だめなんだ。
ジャン 一度も裁判所に行ったことないし、イメージがわかないわ。
――ニュースを思い出してごらん。黒い服を着た3人の裁判官がならんでいるところ。3人を真ん中にして、両どなりに3人ずつ、6人の裁判員がならぶと考えてごらん。裁判官と裁判員を足して9人でさばくんだ。
ケン それで、何をするの?
――大切な仕事はふたつ。ひとつは、裁判にかけられた人が犯人なのか、つまり有罪か無罪かを決めること。有罪の場合、刑務所に何年入って罪をつぐなわせるのがいいか、刑の重さも決めるんだ。
ジャン 半分以上が賛成すれば有罪?
――その通り。ただ半分といっても、裁判官と裁判員のそれぞれひとり以上が賛成しなきゃ有罪にはならないんだ。
ケン 事件をいくつも担当しないといけないの?
――そんなことはない。殺人とか強盗のような重大な事件を1件やれば、それで任務終了だ。
法律のプロである裁判官と 素人が話し合い結論を出す
ポン 責任重そう。ぼくには無理な気がする。
――気持ちはわかるよ。でも、わすれちゃいけないのは、法律のプロの裁判官といっしょにやるってこと。きみたちにもとめられるのは、専門知識じゃない。裁判に出て、わからないところがあれば聞けばいい。プロと素人が話し合いながら結論を出すことに、この制度の大切さがある。
ケン どういうこと?
――プロだけにまかせるんじゃなく、ふつうの人たちの感覚を生かして、裁判をもっといいものにしようというねらいがあるんだ。国民が参加すれば、とっつきにくくてわかりにくいといわれる裁判が、ぐんと身近なものになるはずだ。
ケン 初めてのこころみなの?
――1928年から43年まで「陪審制度」というのがあったんだよ。裁判員制度とはちがって、国民からえらばれた12人だけで有罪か無罪かを決めたんだ。アメリカの映画に、よく出てくるよ。
ジャン 裁判って時間がかかるんでしょ。パパは、何日も何日も裁判所に通ったら、仕事できなくなっちゃうって、ぼやいてた。
――裁判のスピードアップは大きな課題なんだ。会社やおうちの仕事を休んで出かけるわけだから、いままでのような、だらだらした裁判じゃだめだよね。もちろん、会社を休んでも、会社側はパパに意地悪しちゃいけないって、今度の法律できちんと決められた。交通費や日当も出るよ。
ジャン ママがいってたけど、裁判官やほかの裁判員とどんな話をしたのか、だまっていなきゃいけないの?
――有罪に賛成したのはだれ、反対はだれ、とか、結論を出すまでのやりとりをしゃべったら罪になる。でも、裁判員の感想を多くの人たちに話してもらい理解を広げていくのが大切なのに、それじゃ腰が引けちゃうね。罰則でおどして「だまっていろ」というのは行きすぎ、という声があるよ。
ポン それで、いつから始まるの?
――予定だと5年後の2009年4月。課題は多いけど、みんなでいい裁判にしていきたいね。
(04年6月8日))
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