こどもアサヒ > ニュースDEジャンケンポン > ニュースDEジャンケンポン過去一覧

2度目の日朝首脳会談は?

曽我 豪 記者(朝日新聞政治部デスク)
ジャン

 北朝鮮から拉致被害者の家族が帰ってきたニュースを見て、ママもわたしも泣いちゃった。

ポン

 親子がまた会えてよかったね。でも、家族がこなかった人もいて、かわいそうだった……。

曽我記者

 小泉首相が北朝鮮をふたたび訪問して、金正日総書記と2回目の首脳会談をした話だね。

ケン

 うん。でも、記者会見で家族会の人たちがすごくおこっていたよ。家族が帰国できたのに、会談は失敗だったっていうこと?

曽我記者

 どう評価したらいいか、むずかしいなあ。ぼくも取材していて、正直わからないんだ。だから、きょうはみんなでいっしょに考えてみよう。

 課題も残したが話し合い続ける一歩に

 曽我さんの家族再会は先へ
 「死亡・不明」は再調査だが…

地村保志さん(右)の同級生の子ども(手前)から花束をおくられ、歓迎された3人の子どもたち=24日、福井県小浜市の市文化会館で

 ジャン まず、ざっとおさらいをして。

 ――2002年秋の1回目の首脳会談で北朝鮮は日本人を拉致、つまり、むりやりつれさったことをみとめ、被害者のうち5人を帰した。蓮池薫さん・祐木子さん夫婦。地村保志さん・富貴恵さん夫婦。そして曽我ひとみさんだ。

 ポン 今度は?

 ――2度目の首脳会談で、蓮池さん夫婦、地村さん夫婦の子ども計5人が日本にきて、家族再会をはたした。小泉首相は曽我さんの夫と、娘ふたりの来日も強くもとめ、本人たちに会って直接すすめもしたけれど、「行きたくない」とことわられたそうだ。

 ケン なぜ?

記者会見する拉致被害者の家族会。会談について「最悪の結果になった」などのきびしい意見も出ました=22日、東京都内のホテルで

 ――曽我さんの夫は元アメリカ兵で、勝手に軍隊からにげ出したとうたがわれている。来日したらアメリカ政府にとらえられ、裁きにかけられると心配しているようだ。

 ポン 曽我さんは家族と会えないの?

 ――日本と北朝鮮以外の国で会えるよう、日本政府が調整をしているよ。

 ケン 曽我さんの家族をつれてこられなかったから、家族会の人たちはおこったの?

 ――それだけじゃないんだ。おととしの首脳会談で、ほかの拉致被害者10人について北朝鮮は「八人は死亡し、ふたりは北朝鮮に来ていない」と答えた。

 ケン 本当なの?

 ――家族の人たちは信じていない。死んだとする理由や記録書類などに不自然な点が多い。「北朝鮮はいいかげんなことをいっている。本当のことを明らかにし、早く助け出してほしい」と強くもとめてきた。中学生のときにさらわれた、横田めぐみさんの両親もだ。

 「北朝鮮が得した」の声も
 国交へ核問題などもかぎ

 ジャン 2度目の会談で前進は?

 ――金総書記から「もう一度調査します」と約束を取り付けただけ。しかも、いつまでにという時間の約束はないんだ。 

 ケン 待たされてそれじゃあ、家族会の人たちがおこるのもわかる気がする。

 ――うん。しかも日本は25万トンの食糧支援や1千万ドル(約11億円)分の医薬品などの人道支援を行うと約束した。自民党の中にも「北朝鮮の方が得たものが大きい交渉だった」と批判する人もいる。

 ケン 日本人を拉致した北朝鮮になぜ、そんな支援までするの?

 ――北朝鮮は、日本海をちょっとへだてただけの朝鮮半島にあるすごく近い国だ。第二次世界大戦後、半島はふたつの国にわかれた。南の韓国とは、サッカーのW杯をいっしょに開く仲になったけれど、北朝鮮とは国同士の正式なつきあい(国交)もない。

 ジャン 近くなのに国交がないっていうのは不自然ね。

 ――北朝鮮は核開発やミサイルの開発などで、アメリカを中心とする国々からきびしい目を向けられている。そんな国だからこそ、つきあいをきちんとして、問題を平和的に話し合える関係になるのがのぞましい、といえる。

 ジャン でも、小泉首相の北朝鮮行きは、急に発表されてびっくりしたわ。

 ――たしかに。国民年金の未納問題で評判をさげたぶん、拉致問題を解決に近づけて、ぐぐっとポイントを上げたかったんじゃないの?という見方もあるよ。

 ケン 家族全員はつれてこられなくて、家族会におこられて、やっぱり2度目の首脳会談は失敗?

 ――たしかに完全ではなかったけれど、拉致問題で前進はあった。核問題についても、金総書記から「平和的な解決をする」ということばを引き出した。北朝鮮とは、これからもねばり強い話し合いをつづけていくことが大事だ。その一歩だとみれば、まるで失敗とはいえない。政府はまず、曽我さんの家族の問題、ほかの拉致被害者10人の再調査などをしっかりすることだ。

(04年5月29日)


朝日学生新聞社のホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。
すべての著作権は朝日学生新聞社に帰属します