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EUが大きくなったんだって?

大塚 誠 記者(朝日新聞外報部)
ケン

 5月1日、ヨーロッパに新しい時代が来たってニュースで聞いたよ。

ポン

 何があったの?

ジャン

 新しい時代って何のこと?

大塚記者

 ヨーロッパ連合(EU)が大きくなったんだ。これまでドイツやフランス、イギリスなど15か国だった加盟国が、一気に25か国になったんだよ。総人口は約4億5千万人、経済の規模はアメリカにせまる大きさだ。

「EC」(ヨーロッパ共同体)はEUの前身の機構です。ドイツはECができたときは「西ドイツ」で、1990年に「東ドイツ」とひとつになっていまのドイツになりました

 25カ国に拡大、ヨーロッパに新しい時代

アメリカ EU25か国
面積 963万 399万
(平方キロメートル)
人口(人) 2億9400万 4億5400万
国内総生産(ドル) 10兆4000億 9兆1000億
※総務省、世界銀行の統計か ら。人口は2003年推計。経済 の力のめやすとなる国内総生 産(GDP)は2002年

 ポン EUっていったい何なの?

 ――ヨーロッパの加盟国でつくる機構の名前さ。国をこえて、通貨(お金)や関税、法律、防衛などを共通にし、人の移動などを自由にするのが目的だ。平和と発展のためにひとつにまとまろうというんだね。

 ケン いつ、どうしてできたの?

 ――いまのEUができたのは1993年。でもその考え方は、20世紀初めに生まれた。ふたつの大国、ソビエト連邦(ソ連。いまのロシアなど)とアメリカにはさまれ力が弱っていたヨーロッパの再建をめざしたんだ。
 形になったのは、第2次世界大戦が終わってからの1950年代。ヨーロッパが平和でありつづけるための組織が原点だ。初めの加盟国は、たった6か国だったんだよ。

 ケン EUにくわわるとどうなるの?

 ――たとえば、ふつう旅行などで外国へ行くと、パスポートを見せて入国手つづきをしなければいけない。でもEUの中なら、どこの国へ行くのも手つづきがいらなくなるんだ。「国境」がなくなるようなもんだね。

 ジャン あとは?

 ――お金もひとつになるんだよ。いままで加盟していた15か国のうち、12か国で「ユーロ」という共通のお札と硬貨が使われている。国がちがっても両替の必要がないんだよ。

 ポン それから?

加盟国の音楽学校生でつくる「EU青少年オーケストラ」。ここにも、新メンバーがくわわります

 ――EUの議会や裁判所がある。EU憲法もできそうだ。憲法の中ではヨーロッパ大統領やヨーロッパ外務大臣をもうけたり、EUの歌を決めたりしているんだ。でも、細かい部分で話がまとまらず、まだ調整中だ。

 ジャン 新しく入る国はどこ?

 ――ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリー、エストニア、ラトビア、リトアニア、スロベニア、キプロス、マルタの10か国。大きくいうと、昔は「敵だった国々」だよ。

 ケン え、敵だったの?

 ――そう。第2次世界大戦が終わってから、世界はアメリカ中心の西側世界と旧ソ連が中心の東側世界にわかれて、対立していたんだ。戦争はしてないけど、敵同士。これを「冷たい戦争(冷戦)」といったんだよ。いままでのEU加盟国は「西側」だった国なんだ。

 ポン 新しく入る10か国は?

 ――キプロスとマルタ以外の8か国は「東側」だったといえるだろう。

 ジャン つまり、昔の敵同士が、ひとつになったということなの?

 ――そうだね。冷戦は1989年に終わって、旧ソ連も91年になくなったんだ。ヨーロッパをわけていた高い壁がこわれた。広がるEUは、そうした歴史の集大成、しめくくりといえるんだよ。

 ケン 質問。国がちがうんだから、ことばもちがうんでしょ。書類や話し合いはどうするの?

 ――これまでのEUで正式に使われた「公用語」は、多くの人が話せる英語やドイツ語、フランス語など11のことば。今度はポーランド語やチェコ語、ハンガリー語などもくわわるから、20の公用語が使われる。通訳をする人がたくさん必要になるね。

 ジャン 拡大でこまることはないの?

 ――いや、ありそうだ。新しくEUに入る国の人は、ずっと加盟国だったイギリスやドイツ、フランスの人にくらべて、ゆたかとはいえないんだ。だから給料の高い国に引っこそうとするかもしれない。すると、ゆたかな国の人は自分たちの職場がなくなると反発するだろう。新たな問題が起きるかもしれないんだ。

 ケン 拡大はこれで終わりなの?

 ――まだルーマニアやブルガリアもくわわりたいといってるし、将来もっとふえることは確実さ。

(04年5月1日)


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