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防げたはずの「次」の事故

星野 哲記者(朝日新聞電子電波メディア本部デスク)
パパ

 自動回転ドアにはさまれて死んでしまった男の子は、本当にかわいそうだったね。役所や会社がもっと注意していたら事故はふせげたのに。

ママ

 ほんとに危機管理がなっていないわね。最近、そういう事故がとても目につくわ。

ポン

 ねえ、何の話をしてるの?

清水記者

 最初の事故が起きたときにきちんと対応していれば、被害を広げずにすんだのではないかな、と思わせる事故が最近立てつづけにあったんだ。

ケン

 危機管理って、どんなこと?

 回転ドア、タイヤ脱落、公園の遊具…

死亡事故のあった自動回転ドア(右)と、指を切断する事故のあった遊具(上)を調べる捜査員。危機管理のあまさを感じさせるできごとが、あいつぎました

 ――パパさんがいっていた、東京・六本木ヒルズの自動回転ドアに六歳の男の子がはさまれて死んでしまった事故はおぼえているよね。

 ジャン とてもショックだったわ。

 ――六本木ヒルズ内の自動回転ドアに人がはさまれる事故は、実は去年春のオープンから30件あまり起きていた。首や足をはさまれて救急車で運ばれるなど、事故にあった多くは子どもたちだ。

 ケン 会社は安全対策をとらなかったの。

 ――ドアの前にかけこみ防止のさくを置いていた。でもドア本体については、人の出入りがスムーズになるよう、事故防止のセンサーの働きを弱めたり、回転の速度をあげたりするなどしていた。
 こうした対応について、六本木ヒルズを管理する会社と、ドアをつくった会社のいいぶんがくいちがっている。警察は安全管理に問題があったとみて調べているよ。

 ジャン 最初の事故で、きちんと対策をとっていたら、男の子は死なずにすんだかもしれないわ。

 ――そうだね。トラブルにすぐ対処しなかったせいで、重大な結果をまねいたケースはほかにもあるんだ。

 ケン どんな?

 ――三菱自動車がつくったトラックやバスで、10年以上前から、タイヤが外れる事故が相次いだ。2年前には、外れたタイヤが道を歩いていた親子を直撃し、お母さんが亡くなる事故も起きた。

 ポン 会社は何をしていたの?

 ――「うちは悪くない。車の整備をきちんとしていないのが原因」といいつづけてきた。つい最近になって「部品の設計に問題があった」とみとめ、社長があやまった。本当は前から、部品に問題があるとわかっていたのに、かくしていたうたがいがあるとみて警察が調べている。

 ジャン 車に問題があったら、人の命にかかわるわ。そんな重大なことかくす理由があるの?

 ――設計上のミスをみとめると、「リコール」といって車を無料で回収し、修理しないといけなくなる。会社のイメージが悪くなると思ったのかな。

 ケン うそをつく方がよほどイメージ悪いよ!

 ――今月2日には、大阪の公園の遊具で子どもふたりが同じ日に指を切断する事故が起きた。これも、1件目の事故のあと、公園の管理者がただちにその遊具の使用を禁止していたら、2件目は起きなかっただろう。

 ジャン 2件目の事故のあとも、2時間くらい、遊具が使える状態で放っておかれたそうよ。どうなってるの。

 ――公園を管理する住宅供給公社の職員が、「記者会見のことなどで頭がいっぱいになり、使用禁止にするのをわすれた」というよ。

 ポン えっ、わすれたの!

 ケン 「すぐ」が大事なのに。

 ――京都の鳥インフルエンザでも、養鶏場を経営する会社の責任者が、ニワトリがたくさん死んだにもかかわらず通報をおくらせて、感染の被害を広げてしまったうたがいがもたれている。

 ジャン どれも、最初にきちんとしていれば被害は広がらなかったのに、と思うと、なんだかくやしいような悲しいような気がするわ。

 ――その通りだね。どのケースも会社の利益を優先させたり、危険性に対する考え方があまかったりすることが共通している。

 ケン ママが「危機管理がなっていない」っていっていたのはこのこと?

 ――うん。事故や災害などが起きたとき、会社や役所などの組織がどう対応するか、というのが危機管理。これをきちんとしないと、どんどん被害を広げてしまう。

 ジャン トラブルが起きたとき、どうするか。正しい判断が、「次」の事故をふせぐカギね。

(04年4月17日)


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