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清水建宇記者(朝日新聞論説委員)
先生が「この4月から国立大学も法人になった」っていっていたけれど、どういうこと?
国立大学のしくみが大きくかわることだよ。
いままでは、どんなしくみだったの?
法人ということばが、わからないよ。
きみたちも、やがては大学生になるかもしれないから、わかりやすく説明しよう。
お金の使い方が自由に、人も集めやすく
ケン まず、国立大学のことを教えて。
――大学のことはきみたちも知っているよね。中学、高校と進んだ後、勉強するところだ。高校までとちがうのは、研究も行っていること。だから先生の数が多いし建物も大きく、お金もかかる。大学の中でも、国がつくってお金を出しているところを国立大学というんだ。全国に短期大学をふくめると89ある。
ポン 国立でない大学もあるの?
――東京都や大阪府、各県や市などがつくった大学は、公立大学とよばれる。しかし、数が一番多いのは、おもに学生の授業料で運営されている私立大学だ。
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高知大学では、学長らが「国立大学法人」と入った看板をかかげました=今月1日、高知市で
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| 東京大学は法人化をきっかけに大学の一体感を高めようと、昨年度から入学式や卒業式で総長らがアカデミック・ガウンを着て式に参列するようになりました(写真は去年の入学式) |
ジャン 中学や高校にも、公立や私立があるわよね。
――とてもいい質問だ。公立の中学校はふつう、市町村がつくって運営している。だから先生たちは市町村の職員と同じように公務員だ。一方、私立中学は学校法人がつくって運営し、先生たちも公務員ではない。会社員に近い立場といっていいだろう。
ポン 法人の意味を教えてよ。
――人が集まってつくった団体に、法律のうえで人間と同じような資格をあたえたもの、といえるだろうね。法人は、たとえば人間と同じように銀行からお金を借りたり、土地や建物を持ったりできる。代表的な法人は会社だ。学校法人も、土地や建物を持ったり、銀行からお金を借りたりして私立校を運営しているわけだ。
ケン 私立校と国立校や公立校はどこがちがうのかな。
――それもいい質問だね。国立や公立の学校は、国や市町村の一部なんだ。だから、お金の心配はあまりしなくてすむし、運営は安定している。そのかわり、学校を月曜から金曜までの五日制にするなど、国からのいろんな指導にはしたがわなくてはいけない。私立の学校は、生徒が集まらないと運営が苦しくなる。だけど、土曜日も授業をして勉強させるなど、自由なやり方で教育できる利点がある。
ジャン ということは、国立大学が法人になると自由になるわけ?
――そうなんだ。いままでは、第一にお金の使い方がとても不自由だった。使い道が細かく決められ、節約して次の年に使おうとしてもみとめられなかったんだ。法人になると、大学はこれまで通り国からお金を受け取るけれど、自分の計画どおりに使うことができるし、銀行から借りることもできる。
ポン 先生は公務員でなくなるの?
――そう。いままでは公務員だから給料もかえられなかったけれど、これからはノーベル賞をとるような研究者は高い給料でまねくことができる。すぐれた人を集めやすくなるわけだ。
ジャン 大学の先生は発明や発見もするんでしょ。
――発明の権利は特許(まねされたり、ことわりなく使われたりしない権利)で守られるけれど、これまでは国立大学の先生が発明しても、大学が特許を持つことはできなかった。ところが法人になると、大学が特許を持ち、会社をつくって実用化することもできるんだ。
ポン 法人になるって、いいことばかりのように聞こえるけれど……。
――心配なことはいくつかあるよ。社会や自然の法則などの学問の基礎的な研究がおろそかになるのでは、という声がある。制度がかわるだけで教育も研究もかわらないのでは、という声もあるんだ。国立大学のこれからの動きを見守る必要があるね。
(04年4月10日)
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