|
市川 博正記者(編集部)
朝小に「小学校の学期をなくす」って記事があったけど、どういうことかしら?
一年を通して学期で区切らない「通年制」にするとか……。
茨城県総和町がことし四月から町立小学校すべてで始めようとしている取り組みのことだね。
そうすると、何かいいことがあるの。
通年制のねらいなどをくわしく話すね。
 |
|
イラスト・じゅんじゅん
|
学期の区切りをなくして一年を通す
ケン 学期で区切らないって、夏休みや冬休みがなくなるってこと?
――長い休みはいままでどおりだよ。ただ、1学期の終業式や、2学期の始業式と終業式、3学期の始業式をなくす。
ポン なんで?
――算数や国語の補習をしたり、むずかしい問題に挑戦したりする「補充深化の時間」をもうけるためだ。町の多くの小学校ではこれまで、始業式や終業式の後は、学級活動をしたら、子どもたちは帰宅していた。終業式のときは、前の日も授業は早めに終わる。だから始業式と終業式をなくせば、合わせて20時間、授業ができるというよ。
ジャン なぜ授業時間をふやさないといけないのかしら。
――子どもたちにしっかりと学力を身につけてほしいからだよ。総和町の教育委員会の調べによると、おととしの4月に学校完全週5日制になって、授業時間が年間70時間ほどへった。先生から「子どもがきちんと理解するのに時間が足りない」などの声が出ていた。
ジャン そういえば、前に、授業時間をふやすために「2学期制」にする学校があるって、朝小で読んだわ。2学期制じゃいけないの?
――2学期制でも授業時間はうみ出せる。じっさい4年前から2学期制をとり入れている宮城県仙台市の小学校の先生は「3学期制のときより時間ができ、子どもたちもゆったりと学べるようになった」といっている。
ケン じゃあ、なぜ通年制なの?
――それは、みんなが学期末にもらう「通知表」と関係があるんだ。いまの小学校はたいてい、単元ごとに評価する。
ポン 単元って?
――たとえば、算数だったら「足し算」とか「分数」とか「三角形の面積」とか、ひとつのまとまりごとにどれくらい理解できたか評価してるってことだよ。単元ごとの評価をあわせ、学期末に全体としての評価を通知表でしめすんだ。
ポン ふーん。
――総和町は、4月に勉強したことの評価を7月末に知らせても意味がないのではないかと考えた。とくに国語や算数は、前に習った内容を理解していないと次に進んでもわからないこともある。だから、この2教科は単元を終えるごとに評価を「学習カード」で子どもや保護者にしめす。さらに子どもたちの理解度にあわせて、補習などの時間をもうけようというわけだ。
ケン 通知表はなくすってこと?
――学習カードが「通知表の一部分」ということだよ。町ではファイル式の通知表にして、学習カードをとじこんでいってもらおうと考えている。
学期制を見なおす動き
学校完全週5日制にうつったのにともなって、これまでの3学期制を2学期制にする学校がふえてきています。文部科学省の2003年4、5月の調査によると、2学期制など「3学期以外の学期区分」をしている公立小学校は519校で、全国の公立小の2.2パーセントにあたります。
2学期制は宮城県仙台市が2002年度、市全体としては全国に先がけてとり入れました。神奈川県横浜市、京都市、兵庫県神戸市なども一部の学校にとり入れています。「子どもとふれあう時間がふえた」という意見がある一方、「テストの範囲が広くなり、まのびして学習意欲がわかないのでは」と指摘する人もいます。 |
ジャン うまくいくのかなあ。
――千葉大学教育学部の明石要一教授は、通年制に賛成という。算数で計算は苦手だけど図形が得意という子がいれば、体育で球技は得意だけど水泳は苦手という子もいるから、単元ごとに評価する方が子どもたちの個性も引き出しやすいという考えだ。
ケン じゃあ、すべての学校でそうすればいいのに。
――明石教授は、通年制だと先生たちに、よりきめ細かくひとりひとりの子を見ることが要求される、ともいっている。どこの学校もやったことがない試みだから、総和町の先生や保護者たちからは「もっと準備期間が必要ではないか」「どうなるか不安だ」などの声も上がっている。どんな成果や課題が出るか、4月からの取り組みを見守りたいね。
(04年2月28日)
|