|
石飛 徳樹記者(朝日新聞学芸部)
アメリカのアカデミー賞の候補が発表されたね。
あかでみー
世界の映画の中心地・ハリウッドで開かれる「映画のお祭り」だよ。
ことしはずいぶん話題になってるようだけど。
日本から助演男優賞に「ラスト・サムライ」の渡辺謙さん、外国語映画賞に山田洋次監督の「たそがれ清兵衛」と、ふたつも候補にえらばれたからね。29日(日本では3月1日)の発表に向け、日本の新聞やテレビはますますもり上がるだろうな。
ハリウッドで開く世界的映画のお祭り
ジャン そもそもアカデミー賞ってどんな賞なの?
――アメリカの映画芸術科学アカデミーという団体が1928年度から毎年やっているんだ。作品賞をはじめ、主演(主役)男・女優、助演(わき役)男・女優、脚本、撮影、作曲、美術など20部門以上の賞がある。
ケン 映画芸術科学アカデミーって?
――映画監督や脚本家、俳優、技術者や製作会社のえらい人といった、映画関係の仕事をしている約6000人の会員でつくられる団体だよ。会員たちが投票して賞をえらぶんだ。
ケン つまり、自分たちの仲間うちで一番いい仕事をした人をほめたたえる賞なんだね。
――そうなんだ。世界には、カンヌやベネチア、ベルリンなど有名な国際映画祭があるけれど、そっちは審査員が決まっていて彼らが賞をえらんでいる。そこがアカデミー賞との大きなちがいだね。
ジャン じゃあ、アカデミー賞を取ればハリウッドの映画人に仲間入りできるってこと?
――うん。でも、候補作にえらばれるだけでもすごいことだよ。
ポン いままでも日本で賞をもらった人や映画はあるの?
【注1】
作曲:坂本龍一さん(「ラストエンペラー」)
衣装デザイン:ワダエミさん(「乱」)/石岡瑛子<えいこ>さん(「ドラキュラ」)
短編ドキュメンタリー:「パーソナルズ」(伊比<いび>恵子監督)
(1980年代後半以降のおもな受賞)
【注2】
「羅生門」黒沢明監督
「地獄門」衣笠貞之助監督
「宮本武蔵」稲垣浩監督 |
――新しいところでは前回、宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」がディズニー作品をおさえて長編アニメ賞をとったね。ほかにも、音楽や衣装などで賞をとった人もいるよ(注1)。
ジャン 日本人俳優が演技の賞をとるのはむずかしいの?
――ことばの壁があるからね。1957年の「サヨナラ」でナンシー梅木さんが助演女優賞をとっただけ。アメリカ兵と恋をした日本人女性を演じたんだ。この年は、太平洋戦争のタイ国境を舞台に、日本軍将校とイギリス軍捕虜をえがいた「戦場にかける橋」もあってね、日本人の俳優が助演男優賞候補になった。
ケン 日本に注目が集まってたんだ。
――そういう意味で、57年はことしと似ているところがあるね。50年代は日本映画も、もっともいきおいのあった時代だ。テレビが普及する直前だね。アカデミー賞でも、いまの外国語映画賞にあたる賞に、10年で3作品もえらばれている(注2)。
■アカデミー賞受賞部門数ベスト13■
●11部門 「ベン・ハー」(1959) 「タイタニック」(1997) ●10部門 「ウエスト・サイド物語」(1961) ●9部門 「恋の手ほどき」(1958) 「ラストエンペラー」(1987) 「イングリッシュ・ペイシェント」(1996) ●8部門 「風と共に去りぬ」(1939) 「地上より永遠に」(1953) 「波止場」(1954) 「マイ・フェア・レディ」(1964) 「キャバレー」(1972) 「ガンジー」(1982) 「アマデウス」(1984)
※( )内は公開された年。発表は翌年 |
ポン ことしもがんばってほしいね。
――「たそがれ清兵衛」は、英語では「ザ・トワイライト・サムライ」という題なんだ。ふたつの「サムライ」がダブル受賞するとおもしろいんだけどね。
ジャン 日本映画以外の話題作は?
――何といっても『指輪物語』を映画化した「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」だね。3部作の完結編。前の2本を見て、完結編を待ちこがれている人も多いんじゃないかな。作品賞、監督賞など計11部門で候補にあがっている。
過去には59年の「ベン・ハー」と97年の「タイタニック」が、11部門受賞で最多記録を持っている。「王の帰還」が全部受賞したらそれにならぶね。
長編アニメ賞候補の「ファインディング・ニモ」は、受賞が確実だろうといわれているよ。
(04年2月7日)
|