|
前多 健吾記者(朝日新聞新潟総局デスク)
新潟県中越地震で、家がつぶれた人たちが仮設住宅に入り始めたというニュースを見たわ。
そう。仮設住宅は全部で約3500戸つくる予定なんだ。
よかったね。
よろこぶのはまだ早いよ。仮設住宅に住めるのは2年間だけ。その間にこわれた家をなおさなければならないし、土砂くずれや道路の被害もなおさなければならない。住民も、復旧作業を応援する県や市町村も、お金がかかってたいへんなんだ。
全部直すのに県予算の2年半分のお金
ポン 中越地震の被害って、どれくらいなの。
――全部こわれた家は3千棟近くある。一部こわれた家もふくめると約10万棟。家だけじゃなくて、学校や図書館など公共の施設も3万件以上あるし、道路や田んぼのあちこちに地われができた。新潟県は、全部をなおすのに3兆円かかるとしている。
 |
| 仮設住宅に家の道具を運び入れる被災者=11月24日、新潟県長岡市で |
ジャン 金額が大きすぎて、ピンとこないけど……。
――どこの都道府県や市町村でも、新しい小学校をつくったり、道路をよくしたりするためのお金を持っている。予算とよばれるお金だ。新潟県の1年の予算は約1兆2千億円。もし、このお金を全部、地震の被害のためだけに使うと、2年半分がなくなる計算になる。
ケン でも、こまっている人がいるから仕方ないね。
――そうかんたんにいかない。確かに被災者のために使うことは大切なんだけど、新潟県には、そのほかにもたくさんの課題がある。それも解決しないといけない。みんなの家でも、お父さんやお母さんの給料が急に2年半分なくなったらたいへんでしょ。
ポン 生活できなくなっちゃうよ。だったら、どうすればいいの。
――地震や台風で大きな被害が出ると、その地方はもちろんだけど、国全体の経済に影響が出る。だから、もとの状態にもどすため、国が「激甚災害」というものに指定する。指定されると、学校などの公共施設や農地などの復旧事業に、国から地方に出るお金「補助金」がぐっとアップするなど特別な対策がとられるんだ。中越地震も、激甚災害に指定されたよ。
ケン よかった。
――中越地方は、美しいニシキゴイの産地でもある。地震で養殖池がわれて水がなくなり、たくさんのコイが死んだ。養殖業者はみんな絶望していたけど、また事業を始めるために九割近い補助が出るようになって、「またがんばろう」という気持ちになっている。
●地震発生からのおもなできごと
10月23日 午後5時56分ごろ地震が発生。川口町で震度7を記録
10月24日 気象庁が「04年新潟県中越地震」と名づける
10月25日 道路がくずれるなどして孤立した山古志村の村民全員が長岡市に避難
10月27日 長岡市の土砂くずれ現場で、皆川優太ちゃん(2歳)が救出される。いっしょにいた母親と姉は死亡(姉の死亡確認は28日)
11月8日 休校していた被災地のすべての小中高校が授業を再開
11月24日 まず長岡市と小国町で仮設住宅への入居が始まる
11月25日 新潟県中越地震が激甚災害に指定される |
ジャン じゃ、もと通りになるのも、もうすぐね。
――確かに、一部には元気な動きも出てきている。でも、家の建てなおしなど、深刻な問題がのこっているんだ。
ポン 仮設住宅に入っている間にがんばればいいんじゃないの?
――激甚災害の指定も、家をつくりなおすお金には関係ないんだ。別の「災害救助法」などの法律でお金は出るんだけど、そんなに多い額じゃない。
そんな中で一番問題になっているのは、「一部だけこわれた家」のあつかい。被害家屋の8割に当たるんだけど、まったく補助金が出ない。被災地では「住めない家になっているのに、どうして補助がないのか」という不満も出ている。
ジャン 新しい家ができないということもあるの?
――土砂くずれの心配がある山も多いし、もとの場所に、建てられないということはあるかもしれない。新潟県が特に心配しているのは、被災地にお年よりが多いこと。ひとり暮らしのお年よりは収入がないし、補助が出るからといって新しい家を建てるのはとてもむずかしい。
ケン 家のない人がいっぱいいたら、たいへんだ。
――その通り。だから、新潟県は、国に「特別に法律をつくって、もっとお金を補助してください」とお願いしている。1995年一月に起きた阪神大震災のときには特別な法律ができたんだ。これからの国の対応に注目したいね。
(2004年12月4日)
|