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行方 史郎記者(朝日新聞科学医療部)
鳥もインフルエンザにかかるんだって?
山口県の養鶏場でニワトリが「鳥インフルエンザ」にかかって次々に死んだというニュースだね。
人のインフルエンザとはちがうのかな。
どっちも同じインフルエンザウイルスの仲間が引き起こす病気だ。鳥インフルエンザのウイルスは全部で135種類が知られていて、人がかかるインフルエンザのウイルスも、もともとは鳥インフルエンザだったと考えられている。
ウイルスの仲間が起こす鳥の病気
【鳥インフルエンザをめぐる動き】
2003年12月28日 山口県阿東町の養鶏場のニワトリが死ぬ
04年1月12日 阿東町の養鶏場のニワトリから、鳥インフルエンザウイルスが見つかる。国内で79年ぶりの発生
13日 ベトナムで鳥インフルエンザウイルスの感染によって女性ひとり、子どもふたりが死亡とわかる。17日と19日にもひとりずつ亡くなったと発表され、死者は5人になる
15日 台湾の中西部の養鶏場で鳥インフルエンザが見つかる
16日 農林水産省が台湾からの鶏肉などの輸入を一時停止する
17日 山口県が約3万4600羽のニワトリの死がいと、養鶏場のえさを処分 |
ジャン 鳥インフルエンザにかかるとニワトリはどうなっちゃうの。 ――のどやおなかでウイルスがふえて病気になる。ニワトリからニワトリへ次々にうつり、多くが死んでしまう。流行を止めるには、病気になったニワトリをすべてころすしかない。養鶏業者の人は大変だ。 ポン 人が鳥インフルエンザにかかることもあるの。 ――ふつうは、ないと考えられている。動物や植物の体は小さな細胞が集まってできているんだけど、ウイルスが体の中でふえるためには、その細胞の中に入りこむ必要がある。そのためには専用の「カギ」のようなものが必要なんだけど、鳥のインフルエンザは人の細胞に入るカギを持っていないんだ。 ケン 人のインフルエンザはそのカギを持っているんだ。 ――そう。 ジャン でもベトナムでは人が鳥インフルエンザで死んだと聞いたわ。 ――カギを持っていなくても、ドアをこじ開けて入ってくる力持ちのウイルスがたまにいるんだ。こわいのは、細胞の中に入りこむと、カギの形がわかってしまったり、そこに人のインフルエンザウイルスがいると、カギをもらってしまったりすることがあるんだ。そうなれば、次からはドアをこじ開けなくてもカギを使って細胞の中に入ることができる。 ポン そうしたらどうなるの? ――人の間で流行する新しい病気として世界中に広がるおそれがある。いま流行しているインフルエンザも、もともとはそうやって鳥から人にうつってきたと考えられている。
ジャン でも、人のインフルエンザにきく予防ワクチンがあるんでしょ。 ――新型のインフルエンザには、いまの予防ワクチンはきかない。つくり直す必要があるんだ。最悪だと、世界中で30億人がかかって5億人が死ぬという予測もある。ただ、かかってから使う薬については、いまのものがきくと考えられているから、治療法がまったくないわけではない。
ケン ウイルスはなぜ人間にそんな意地悪をするんだろう。 ――それにはウイルスの性質を知る必要があるね。 ケン 「ばい菌」の一種なの?
――ちがう。ばい菌は、正式には細菌という。細菌は、好きな食べ物があれば自分たちの力でふえることができる。でもウイルスは、動物や植物など、ほかの生き物の細胞に入りこまないと生きていけない。ウイルスが細胞の中でふえて、病気を引き起こす。
ところで、インフルエンザはどうやってうつる? ジャン くしゃみやせきでうつることが多いのよね。 ――そう。たとえばインフルエンザにかかった人がせきをすると、細かいしぶきの中にウイルスがまじる。大きさはミリの1万分の1ほどで、特殊な顕微鏡でしか見えない。とびちったウイルスは、地上に落ちる前にだれかの体に入らないと死んでしまう。 ジャン 生きるための戦いね。でも、山口県の養鶏場のニワトリに入りこんだ鳥インフルエンザウイルスは、どこからきたの? ――よくわからない。ふだんはシベリアやアラスカの湖や沼にいて、渡り鳥のカモが南の方へ運んでくると考えられている。 ポン 鳥インフルエンザをなくしてしまえない? ――カモをぜんぶころすことはできないから、無理だ。歴史をみると、10年から40年おきに人で流行する新しいインフルエンザがあらわれている。もっとも新しい「香港かぜ」とよばれるインフルエンザが出てから35年がたっている。いつ新しいインフルエンザが出てもおかしくない。 ジャン 対策はないの。
――治療薬を用意しておくなど、守りをかためることはできるよ。
(04年1月23日)
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