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学校の安全を守るには?

尾崎 文康記者(朝日新聞社会部)

ポン

  学校が始まったね!

ケン

 ぼく、始業式の朝に少しねぼうしちゃった。校門で先生に「急いで!」って注意されたよ。

尾崎記者

 先生がみんなを待っていてくれたの?

ジャン

 正門の前にならんで、出むかえてくれたの。そういえば、帰り道も途中まで先生や近所の人たちがつきそってくれたしね。

尾崎記者

 去年の12月、京都と兵庫の小学校に包丁や棒を持った男が侵入する事件があった。大人たちはそれで、いっそう安全に気を配っているんだと思うよ。

事件のあった学校で、3学期の始業式に登校した子どもたち。校門では市の「安全指導員」と地域の人が見守っています=京都府宇治市で

 大人たちの真剣な「目」あると安心だね

 ジャン ふたつの事件のこと教えて。

 ――京都府宇治市の小学校で先月18日、突然包丁を持った男が入ってきて、教室の前の方にいた1年生の男の子ふたりにおそいかかった。かけつけた先生が男を取りおさえたけれど、ふたりは頭を切られてけがをしてしまった。
 兵庫県伊丹市で事件が起きたのはその翌日だ。別の男が学校に侵入し、6年の女の子の頭を棒でなぐった。女の子はけがをし、男はそのままにげた。

 ケン 事件が2日つづくなんて。

 ――大人たちがショックを受けたのもその点だ。2001年には大阪教育大学付属池田小で子どもたちがおそわれ、八人が亡くなった。事件がくり返されるのを見て、学校は悪い人を入れない工夫をしていた。犯人はそれを全部素通りして入ってきたんだ。

 ケン 学校はどんな工夫をしてたの。

 ――宇治市の小学校では、3つある門のうちふたつに防犯カメラをつけて見はっていた。人が出入りするとセンサーで感知して、職員室にチャイムで知らせるしくみもあった。
 事件の後で調べたところ、男は防犯カメラのない門を通っていた。チャイムは「しょっちゅう鳴るとこまる」という理由で学校側がスイッチを切っていた。

 ジャン 門にかぎをかけちゃったら?

 ――宇治市の学校は3つの門をすべて開けていたようだ。伊丹市の学校の場合、6か所ある門のうち四か所にかぎをかけていなかった。
 実は学校を守るために、文部科学省は1年前に「危機管理マニュアル」を配っていたんだ。先生たちに向けて「登下校時以外は、かぎをかけるなどして門を管理してください」とよびかけている。
 だけど、学校は子どもや保護者、給食の業者さんなど人の出入りが多い場所。いちいちかぎをかけるのは大変、という学校は多いよ。

 ポン じゃあ、どうすれば事件をふせげたんだろう。

 ――むずかしい問題だね。でも、大人たちの間には「防犯カメラなどの機械にたよりすぎた」と反省する声があるんだ。宇治市では急きょ3学期から、事件のあった学校の前に職員に立ってもらうことにした。機械より人間の「目」の方がたしかだという判断だ。もちろん門の開けしめもしっかりと管理してもらう。学校のまわりでは、住民たちが登校する子どもを見守る運動を始めたようだ。

 ポン おじさん、おばさんが近くで見ていてくれれば安心だ。

 ――本当は警備員をやとって、学校を見はってもらうのが一番だと思う。でも、お金がかかるのが頭のいたいところだね。
 たとえば兵庫県加古川市のある学校では、親たちが少しずつお金を出し合って警備員に来てもらった。すべての小学校に警備員をおいた大阪府豊中市のような例もある。こうした動きが広がっていくかもしれないね。

 ジャン こんな事件はもう起きてほしくないわ。

 ――宇治市のすぐとなりにある京都市伏見区では4年前、小学校に男が侵入し、男の子がさされて亡くなるという悲しい事件があった。この子のお父さんは、今回の事件を聞いて「学校には『事件がわが校にも起こりうる』という感覚がない。くやしい」と話してくれた。
 いま、大人たちはどんな機械やマニュアルにも完ぺきなものなんてないと気づき始めたんだ。「何かが起きるかも」といつも意識していれば、自然と学校の周囲にも注意が向く。大人たちが子どもを守る責任を重く受け止めることが、楽しい学校づくりの第一歩だと思うね。

(04年1月10日)


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