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韓国の日本文化開放って?

小倉 いづみ記者(朝日新聞外報部)

ジャン

 韓国の人たちがもうすぐ、日本の音楽CDや家庭用ゲームソフトを自由に楽しめるようになるって、ママがいってたわ。

ケン

 えっ? じゃあ、これまでは禁止されてたの?

小倉記者

 そうなの。韓国政府は日本との歴史のいきさつから、長い間、日本の文化を受け入れなかった。それが1998年から少しずつ受け入れるようになって、来年の1月からは、さらに受け入れるジャンルが広がるのよ。

ポン

 くわしく知りたいな。おとなりの国のことだもの。

韓国の首都ソウルの店の「日本キャラクターコーナー」にならぶ日本アニメ映画のビデオソフト。多くの作品が開放される前から出まわっています=東亜日報提供

歴史のいきさつから禁止していたのを解除

 ケン 日本と韓国の過去の歴史って?

 ――第2次世界大戦が終わるまで、日本が朝鮮半島を植民地にしていたのは知っているかな?

 ジャン ええ、ちょっとだけ。自分の国のことばを話すことが禁止されて、日本語で勉強させられたんでしょ。名前を日本人ふうにかえさせられ、天皇をうやまうよう強制されたとも聞いたわ。

 ケン 文化や伝統をうばわれ、よその国のものをおしつけられるなんて、つらかっただろうね。

 ――だから韓国政府は、戦争が終わって1948年に独立したあとも、日本の文化はつらい過去を思い出させるものとして、入れないようにしてきたの。

 ポン それが、かわってきたの?

日本文化の開放のながれ

 1998年10月
b大きな国際映画祭で受賞した映画
b韓国で上映された日本映画のビデオ
bまんがの単行本・雑誌

  99年9月
b国際映画祭で受賞した映画
b歌謡曲の室内などのコンサート

 2000年6月
b子ども向けなどの映画
b国際映画祭で受賞したアニメ映画
bすべての歌謡曲のコンサート
b日本語の歌詞以外の音楽CDとレコード
b報道やスポーツ、ドキュメンタリーのテレビ番組
b商業用ゲームソフト

 2004年1月(今回の発表)
b18歳以上向けの映画
b日本語の歌詞の音楽CDとレコード
b家庭用ゲームソフト

 ――うん。韓国は経済が豊かになって、国際的な立場も強くなった。日本など、外国とのむすびつきも深まっていったわ。日本も、植民地支配をした過去の歴史を韓国の人たちにあやまった。
 そして98年、当時の金大中大統領のとき、「日本と韓国はもっと仲良くしていきましょう」といって「日韓共同宣言」を発表したの。日本文化の開放が始まったのは、このときからよ。ジャンルをかぎって、少しずつ段階的にね。

 ジャン そして次の開放が、来年の1月なのね。

 ――これで4回目よ。CDやゲームソフトのほか、子ども向け以外の日本映画も対象になる。業者の人たちが、こうしたCDソフトを売ったり、映画を上映したりしていいことになるわけ。

 ポン 開放が始まるまでは、韓国の人たちは、日本でどんな歌がはやっているとか、どんな映画が人気だとか、ぜんぜん知らなかったの?

 ――じつは、そうじゃなかった。日本と韓国の間は人の行き来が多くて、CDやビデオを日本で買って帰る人も多かったわ。法律でいけないことなんだけど、テープやCDを勝手にコピーしたものも韓国の街にはいっぱい出回っていたの。
 最近の若い人はインターネットを使うから、日本文化はますます身近なものになっていたみたい。

 ジャン 政府の決まりごとより、じっさいの開放はもっと進んでいたわけね。

 ケン さっき、文化開放は「段階的に」っていったよね。これまで、順調に進んできたのかな。

 ――そうでもなかったの。98年の次は、99年、2000年ときたけれど……。

 ジャン あれ? 3回目と今度の間が4年もあいてる。

 ――おととしの教科書問題のせいよ。日本の中学生用の歴史や公民の教科書の一部が、植民地にしたときのことなどをねじ曲げ、戦争をいいことのように書いた、と韓国や中国が反発したの。韓国はそれ以後の文化開放をやめていたの。
 でも、去年、サッカーのワールドカップが共同で開かれたことや、いまの盧武鉉大統領が両国の友好をもっと深めていこうとしていることなどから、開放をさらに進めることにしたそうよ。

 ケン これで、どんな日本文化でも受け入れOKになるのかな。

 ――それが、テレビ番組とアニメ映画はだめなの。

 ポン なんで?

 ――テレビ番組は映画とちがって事前に内容をチェックできないし、それぞれの家庭に直接流されるから、韓国政府も慎重になっているようね。アニメ映画については、韓国のアニメより人気が出て、韓国のアニメ会社が倒産しちゃうんじゃないかって心配しているの。

 ジャン むずかしいのね。

 ――文化を知り合うことは、たがいを理解し信じあうことにもつながる。早くドラマやアニメ映画を見てもらえるようになるといいね。

(03年9月19日)


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